住宅・店舗・ビル用の最新の各種建材、設備機器やソフトウエア、設計・工事、関連製品・サービスなどを幅広く紹介する「建築・建材展2017」(東京ビッグサイト/東3・5・6ホール)が3月7日から10日まで開催された。今回の開催規模は、出展者数295社・団体、出展小間数764小間(過去最大)となり、会場を東3ホールにまで拡大。会期中の来場者数は昨年並みの102,695人(「建築・建材展」と「JAPAN SHOP」の合計)であった。主な見どころとなるのは、新しい住環境・商環境づくりに欠かせないデザイン性・機能性に優れた「一般建材・関連製品ゾーン」の製品・サービスをはじめ、昨年好評だった「工事現場ゾーン」、リニューアルした「木造・木質建築ゾーン」、環境分野の最新技術を紹介する「光触媒ゾーン」の3つの集中展示ゾーン。また、熊本地震により関心が高まっている耐震性や、2020年を目前にしたZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関わるセミナーも実施された。本レポートは、会期中に興味深い出展者ブースを取材して、それらの内容を要約したものである。
(ライター・西村弘志)
「建築・建材展」と「JAPAN SHOP」の合計来場者数
| 日付 | 天気 | 来場者数 ※カッコ内は昨年 |
累計 |
|---|---|---|---|
| 3月7日(火) | 曇り時々晴れ午後一時雨 | 19,011人(19,276人) | 19,011人(19,276人) |
| 3月8日(水) | 晴れ | 25,513人(25,649人) | 44,524人(44,925人) |
| 3月9日(木) | 晴れ | 28,448人(29,136人) | 72,972人(74,061人) |
| 3月10日(金) | 晴れ | 29,723人(29,252人) | 102,695人(103,313人) |
| 合計 | 102,695人 | ||
近年、地震や台風に加えゲリラ豪雨や竜巻といった災害も増えており、従来の構造基準やマニュアルでは対処できないようなケースも生じている。そのため、今回の展示ではこのような災害にも対応できる製品・技術やサービスへの関心が高く、多くの来場者が足を止めて説明に耳を傾けていた。
気象庁のデータによると、日本で発生した竜巻の発生数は近年特に増加傾向にあるわけではないそうだが、深刻な被害がもたらされていることは事実だ。頑丈そうな鉄筋コンクリート造の建物でも窓ガラスなどの開口部に被害が集中し、一旦窓ガラスが割れると飛来物が建物内に入り被害を増幅させる。そこで、クラレが提案しているのが合わせガラス用中間膜「トロシフォル」。2枚以上のガラスの間に樹脂膜を挟み接着して一体化した合わせガラスは、万一ガラスが割れても強靱な樹脂膜により飛散することなく、雨風の浸入を防ぐ効果がある。また、遮音性・防犯性にも優れているのが特徴だ。
東日本大震災をはじめとする強い地震による天井落下が問題視され、2014年には建築基準法の改正が行われた。サクシスが開発した「サクシス天井W」(2kg/m2以下)は、軽い、落ちない、壊れないという特徴を持つ耐震用落下物等防止措置軽量システム天井。軽いことにより地震の揺れの影響を受けにくいだけでなく、地震の揺れを吸収し落下しない構造を採用し、天井裏からの落下物により天井板が壊れないようネットで受け止めるしくみになっている。また、不燃性、施工性、意匠性にも優れているのが特徴だ。

地震による天井の落下は、天井材の重さとも大いに関連がある。内装用膜材料を開発しているトニーが提案する幕天井は、軽量であることから地震で万一落下しても被害は少なく、吊り下げる構造がシンプルなため一般的な吊り天井のような天井裏への落下物が少ないのが特徴。しかも、曲面への施工が容易で透光性に優れているためLED照明などとの組み合わせによる意匠性も高い。
商業施設や公共施設、教育施設や医療施設などでよく見かける造形用の天井板。シーレックスが開発したグラスウールの天井板は、軽量で地震に有利で、不燃性により火災に強く、吸音性に優れているため会議室や劇場などでも真価を発揮する。また、様々な形状にカッティングできることから、自由で個性的なデザインの実現も可能だ。
マンションなどのバルコニーには避難ハッチが設けられており、はしごを使って階下に降りる仕組みになっているが、高齢者や子供を抱えている場合は容易ではない。そこで、ナカ工業が開発したのが避難用器具「UDエスケープ」。手すりの付いた架台が階上と階下を結ぶ支柱を使って自動昇降する仕組みになっており、自立歩行できる人なら安全かつスムーズに避難することができる。人の重さと支柱内部の遠心ブレーキの働きで動作するため、電気を使用せず停電時でも避難が可能だ。





政府は低炭素時代を目指し、2020年までにすべての新築住宅の省エネルギー基準への適合を義務付けた。この基準を満たすのに不可欠なのが構造躯体の断熱性である。素材としては従来のものに、紙、羊毛、木質繊維などの新たなものが加わり、断熱性能の向上が図られてきた。また、構造や施工の面でも改良を加え、断熱ロスを減らす努力が進んでいる。
木は鉄やコンクリートに比べて断熱性能が高いことはよく知られている。木の繊維は25年以上前からドイツで採用されていた技術をもとにして、北海道産の針葉樹カラマツの間伐材をチップ状にし、さらに細く繊維化したウッドファイバーを用いた断熱材を7年前に日本で開発した。ウッドファイバーの熱容量はグラスファイバーの約5倍。断熱材として大いに威力を発揮するが、間伐材の有効利用という観点からは森林整備にも貢献するため、北海道以外の産地からも供給の希望があるという。
設立当初から羊毛断熱材の開発製造を続けてきたコスモプロジェクト。その主力商品である「サーモウール」は100mm厚で熱抵抗値R=2.6という高い断熱性を発揮するが、調湿性能にも優れていることから防湿層を設けなくても結露しない。そのため、室内側は「サーモウール」を充填した上に石膏ボードを張ることができる。また、消臭機能によりいやな臭いやVOCを分解するとともに、吸音性能にも優れているので快適な室内環境を実現する。
高い断熱性能が期待できる外張り断熱システムだが、施工精度が低いと所定の性能が出ない。東邦レオは近年需要の増加しているZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に不可欠な強化外皮基準をクリアする木造用外張り断熱システム「エコサーム」を2015年から提案。同システムでは、断熱材にグラスウールとEPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)を併用するとともに、外壁は耐久性の高いアクリルシリコン樹脂系塗材を用いた大壁仕上げとし、さらに施工精度を高めるためにこれらの作業を同社が責任施工を行い、熱抵抗値3.40(北海道基準は3.3)を実現している。
マンションなどの土間床の断熱施工を確実にかつ短時間に行うには、油化三昌建材の「ネダフォーム」が便利だ。通常の床構造はコンクリートスラブの上に金属の束もしくは木の根太を設置し、その上にフローリングを張るが、同製品自体の厚みにより束や根太の役割を果たすため施工が簡単。もちろんEPSでできているので断熱性能が高く、クッション性や遮音性にも優れている。今回は、その「ネダフォーム」とコンクリートスラブの固定に発泡ウレタンを用いる乾式工法の「ネダフォームドライ」(2016年10月リリース)を新たなラインナップとして加えた。
建材を選ぶ際には、機能・性能、安全・安心、環境、価格など複数の要素が検討されるが、多くの人の目に触れる場所に施工するものは、やはり意匠性が大きなポイントとなる。本展示会でも、伝統文化を継承した和の趣き、金や銀の華やかさ、石や鉄の重厚な質感、リアルな写真テイストなど、様々な素材やカラーのニーズに応えられる製品が出展されていた。
インバウンドの影響もあり、和のテイストが建材業界にも色濃く反映されている昨今、1931年から京都で和装用白生地の製造を生業としてきた伊と香(いとこう)が提案する「絹ガラス」は、2枚のガラスをはじめとした透明な素材の間に絹織物を挟んだ合わせガラス。同社こだわりの16種類の図案、金銀のラメに加え絹本来の美しさを表す白生地を、合わせガラス、アクリルパネル、フィルムといった素材の間に織り込むことにより、16×3×3=144通りの組み合わせのデザインテイストが生まれる。商業施設だけでなく、一般の住宅でも使える家具なども製作しており、新しいニーズの開拓にも努めているという。
ヨーロッパで誕生した金箔を使う装飾ギルディング。この技術を愛媛県内子町の手漉き和紙の伝統文化と融合させステイショナリーとして製造販売してきた五十崎(いかざき)社中が、新たに提案しているのが世界に類のない内装仕上げ用建材「ギルディング和紙壁紙」だ。サイズは幅53cmと大きくはないが、5色の金箔による艶やかさを生かしてストライプ使いにするケースが多い。ちなみに、愛媛県のコーヒーチェーンで壁のアクセントとして採用されているという。
光触媒ゾーン内での出展では、汚れや臭いの除去や抗菌作用、親水性による汚れ落ちや曇り止め効果を発揮する光触媒の働きに重きが置かれていた。今回TOTOが提案する「ハイドロソリッド」は、従来の光触媒技術であるハイドロテクトの機能をベースに、経年変化の美しさをデザインに取り入れた内装用大型磁器質陶板。意匠性とスケール感をアピールする展示となっていた。
建築資材や住宅設備の企画開発と販売を行うサンワカンパニーが、今回メインと位置づけ出展したのはバイブレーション仕上げと呼ばれる無方向性のヘアーライン仕上げのステンレス製システムキッチン。独特の鈍い光沢が高級感を醸し出している。他にもビンテージ感を演出するために木を用いたものや日本では珍しいタイルを使用したものなど、素材の違いによるシステムキッチンを提案していた。
創業89年の総合印刷会社である金羊社は、長年培ってきた印刷技術を生かして2015年10月からプリントタイル「CRIOS」をブランド化し販売を始めている。タイル、塩ビ、カーペットの3種類の素材の上に印刷を施すもので、同社がストックしているデザインから選べるセミオーダーの「CRIOSオリジナルプリントタイル」と、自由なデザインを選べる完全オーダーの「特注プリントタイル」を用意。小ロット、短納期、低価格で提供できるため、店舗用での需要が多いという。
建築の工程は「設計」、「施工」、「メンテナンス」に大別されるが、「施工」や「メンテナンス」の現場では想定外のこともしばしば発生する。そのような現場で必要とされるのはフレキシブルな対応力。本展示会でも現場力がものをいうことをアピールしている出展者が見受けられたので紹介しよう。
日本の住宅メーカーの年間着工棟数では長年上位を占めてきた大和ハウス工業。多くの信頼を勝ち取ってきた裏には、定期点検やメンテナンスにも力を入れていたことがうかがえる。今回出展した狭小空間点検ロボット「モーグル」は、狭く、暗く、動きにくい床下空間でも隅々まで点検することができるため、作業者の負担の大幅低減を実現した。さらに、モニターに映し出された点検の様子を施主も確認できる「見える化」を図ることで、不信感を払拭することができ、リフォーム時の提案にもつながるというメリットも。今後は、2018年に改正される見込みの宅地建物取引業法でのホームインスペクションにより点検ロボットの需要が増えると考えられており、リースだけでなくスポットのレンタルも検討しているという。
建設工事現場で活躍するコンプレッサーや発電機などの振動や作業音は、近隣の環境に影響を及ぼさないようカバーなどで覆って遮音したい。しかし、熱を発生するものは上部を開口するなどして熱を逃がさなければならず、振動や騒音も開口部から漏れ出してしまう。岐阜プラスチック工業では、同社のハニカムサンドイッチパネル「テクセル」の表面に微細な開孔を設けて吸音性を高め、さらに遮音シートを組み合わせることで遮音性も向上させた防音パネル「セイント」を開発した。これにより、75dBの騒音が60dBにまで低減。軽量で設置も容易で、工事現場だけでなくオフィスに設置すれば情報漏洩を防ぐ効果もあるという。
マンション共用部分の修繕工事の中でも配管に関わるものは住民の日常生活を妨げることなく行いたいものだ。マルナカが提案している「マルライナー工法」は、老朽化した排水管を洗浄した後、管内にエポキシ樹脂の塗膜により新たなパイプを形成する技術。1日目に管内のクリーニングなどの準備工事を行い、2日目に塗膜を形成し、3日目に復旧作業を行うという工程で排水管を更生させるため、排水制限は1、2日目のほぼ日中に限られ、居住者の不便を最小限に抑えることができる。
配管の更生を必要とするのは排水管だけではない。傷んだ給水管のメンテナンスも必要だ。京浜管鉄工業のNPBラピッド工法は、高速空気流と研磨材を用いて給水管の錆や汚れを除去した後に防錆塗膜を施す技術。仮設の配管工事がいらず、工期は1日で済むため夕方には通水できる。



木毛セメント板といえば工場や倉庫などの屋根の野地板に使われている下地材のイメージが強いが、竹村工業が提案している「レノウッド」は室内用に開発された細木繊維化粧板。ヒノキの長繊維木毛とポルトランドセメントをプレスしたパネルで、耐火性、調湿性、吸音性はもちろん、デザイン性にも優れているため幼稚園などの教育施設、飲食店をはじめとする商業施設、一般住宅にも採用されている。
ナノテクノロジーを駆使して水谷ペイントが開発した「ナノコンポジットW」は、直径が50~60nmの非常に小さなエマルジョン樹脂の塗料。耐候性、防火性に優れているだけでなく、セルフクリーニング機能により汚れの付着を防ぎ美観を長く保持する。窯業系サイディングの塗り替え塗装をはじめ、コンクリートやモルタルなどの新規塗装で真価を発揮する壁用塗料だ。
約50年にわたり、階段の滑り止めや床の床材押さえ金物(見切り材)を提供してきたアシスト。これらの製品は施工現場での最終工程で設置されることが多く、短納期が求められるため豊富なバリエーションとクイックデリバリーなどの即納体制にも対応している。近年は、LEDや蓄光材を組み込んだ視認性の高い製品の開発にも力を入れているという。
繊維基材、高分子材料などの素材に防水・防炎をはじめとする加工を施している平岡織染。本展示会で提案していたテントシートに太陽電池を組み込んだ「ソーラーターポ」は、シート状なので軽くて曲面などの形状にも対応できるため、オーニングやビニールハウスにも設置できる。
もっぱら埋め立てに使用されてきた瓦の廃材のリサイクルに取り組んできたエコシステム。瓦の廃材を骨材化した後にセメントと特殊な混和材により固化することで生まれた「K-グランド」は、多孔質なため透水性・保水性が高く、環境にやさしい舗装として用いられている。また、表面を滑らかに磨いた「瓦テラゾーブロック」はデザイン性に優れているので、ロビーやホールに適した製品だ。