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連載コラム

進化から深化へ LED NEXT STAGE 2016 レポート

[ 2016年5月13日 ]

2016年3月8日~11日まで東京ビッグサイトにて、LED NEXT STAGE 2016が開催されました。ライティング・フェアと隔年で開催されているこの展示会は既に照明・建築業界の方にとっては恒例行事のようなものになっているかと思います。普段、照明のプラニングを行っている私も楽しみにしているイベント一つですが、今年は例年に比べ少し静かな印象を受けました。というのも大光電機、コイズミ照明、遠藤照明、山田照明といった大手照明メーカーが出展していないというが大きな要因の一つではないかと思います。

これまでもこのコラムで紹介してきましたが、特にLED照明に移行してからは各社製品開発のスピードが上がり、非常に速いペースで自社の展示会・イベントで新製品の発表を行うようになりました。また、自社の展示会のクオリティは各社共に年々高くなっており、正直なところLED NEXT STAGEやライティング・フェアよりも充実した展示内容が見られる事も少なくありません。おそらく、メーカー側の新商品を発表するタイミングとLED NEXT STAGE、ライティング・フェアのタイミングがズレ始めているのも大手メーカーが出展を見合わせるようになった要因ではないかと思います。LED NEXT STAGEとライティング・フェアを合わせて考えれば大規模な照明展示会は実質毎年行われているので、それであればどちらかに絞ったほうが効率的であると考えるようになっているのかもしれません。

さて、前置きが少し長くなってしまいましたが、そんな状況の中でも新しいコンセプト持った器具、早く使ってみたいと思う器具などに出会うことができました。全体的な印象としては照明の知識をある程度持っている人、または建築関係の仕事をしている人などにとっては、「ここが改善されたらなー」とか、「こんな時にこんな器具があれば・・・。」といった、いわゆるかゆい所に手が届くような製品が増えてきているように感じます。それぞれの用途やジャンルに特化した照明が増えてきている印象です。これまではLED照明の根幹となる明るさ、色温度、演色性など、照明器具としての基本特性を育て続け、太くしっかりとした幹がようやく形成されました。そしていよいよ細かい分野へとどんどん枝分かれをはじめ、その先でもさらに枝分かれしLED照明という大木がまだまだ育っているように感じます。

また昨年のライティング・フェアや世界の照明業界のトレンドから感じているスリム、コンパクトというコンセプトを持った器具がより充実しているように感じます。特に日本では2020年の東京オリンピックに向けホテルなどの新築、リノベーションが活況であると照明メーカーから伺う機会が増えました。一般的なホテルや店舗などのインテリアでは2.5m~3m程度の天井の高さが多くなりますが、こういった空間では照明器具がいかにコンパクトであるか、照明器具の存在感を感じさせないかということが、上質な空間を作る上でとても重要です。実際私自身もホテルや住宅、店舗などのプランを検討する際、ダウンライトにおいては開口径Φ75mm以上の器具を使用することはほとんどありません。従来光源ではこのようなプランは難しかったのですが、LEDのコンパクト化、ハイパワー化が進み実現可能となりました。最新の照明器具ではそこからさらに一歩進んで開口径Φ60mm、Φ50mmといった器具が増えてきています。また、ダウンライトだけでなくこのコラムでも度々取り上げてきた面発光するスリムタイプのライン照明もさらに進化しています。

建築照明の視点から個人的に気になったものメーカー別に紹介したいと思います。

■森川製作所

いち早くコンパクトなダウンライトに着目し、販売していた森川製作所ですがLEDの高効率化により明るさや光の質が徐々にアップデートされているとの事でした。インテリア用だけでなく、軒下にも使用できるコンパクトダウンライトを展開している点が他社メーカーにはない強みです。


図001 森川製作所のブース


図002 開口径Φ35mmのダウンライト
極小の開口径Φ35mmのDX20シリーズのダウンライト。器具自体の小ささにも驚くが、開口径に対応して施工可能な電源(トランス)を用意している点にも驚く。配光も12度、20度の2種類が選択可能。2w、195lm。


図003 開口径Φ50~58mmのダウンライト
開口径Φ50~58mmのDX20シリーズ、DX50シリーズのダウンライト。グレアを抑えたタイプ、ユニバーサル、ピンホールのような形状をしたタイプなど様々なコンパクトダウンライトを揃えている。


図004 開口径Φ65~80mmのダウンライト
開口径Φ65~80mmのDX60シリーズ、DX70シリーズのダウンライト。このサイズでも十分すぎるほどコンパクトであるが、さらに小さいダウンライトが自然に陳列されているため、何故か大きく感じてしまうという珍事になっている。このクラスになると光源の設置位置が深くなるより、グレアレスを意識した作りになっている。実際にベースとなる明るさを作るのはこのクラスのダウンライトが主流になるため質の高い設計となっている。


図005 ブース外壁の間接照明に使用しているライン照明
100Vで使用可能なライン照明。幅29mm、高さ38mm。100Vタイプのライン照明では非常にコンパクトでスリムなライン照明。色温度、モジュールサイズ共に豊富で使いやすい。

■DNライティング

間接照明、什器照明などに特化したライン照明を多く取り扱うDNライティングでは発光面が均一に光る幅8mmのLEDライン照明「XC-LED」を全面的に押し出した展示が行われていました。


図006 DNライティングのブース

    
図007,008 新製品のXC-LEDを前面に押し出したブースデザイン
スリムなXC-LEDの特徴が良く分かる明快なデザインとなっている。

DNライティングにはこれまで幅14.4mmのMC-LEDという製品がありましたが、さらに細いXC-LEDが発表されたことで、設置場所に応じた選択ができるようになりました。色温度、モジュールの展開が豊富なのはこれまでのDNライティングの照明器具と同様です。


図009 狭いスペースに設置可能なXC-LED
幅10mmのスペースに設置可能なXC-LED(取り付けにマグネットを用いた場合)

通常こういったスリムタイプのライン照明でも実際に設置する際の最小施工寸法は、熱の問題が懸念されるため、ある程度スペースを確保しなければなりませんが、XC-LEDはマグネットを用いて設置する場合は、器具幅とほぼ同等の10mmのスペースに設置可能となっているのが特徴です(専用の取り付けホルダーを用いた場合は幅18mmが最小施工寸法になります)。しかしながら長い距離を連結する場合はコネクタの設置スペースを確保する必要があるため注意が必要です。これは他社製品でも言えることですが、連結の距離が伸びる場合、コネクタや電源・配線のためのスペースを確保しなければならない物が多いので、長い距離を連結しても最小スペースを保ったままで器具が設置できるという事がスリムタイプのLEDライン照明の今後の課題ではないかと思います。


図010 均一な発光面を持ちながらフレキシブルに曲がるLEDライン照明の試作品
試作品の段階であったが均一な発光面を持つフレキシブルタイプのLEDライン照明が展示されていた。現時点ではインテリア用のみの製品として開発を進めている。


図011 高演色タイプMC-LED「Vivid Line」
今回メインで展示されていたXC-LED以外にも、DNライティングでは既にMC-LEDという面発光するスリムタイプのLED製品を持っている(器具幅14.4mm)。この製品に「Vivid Line」というRa96の高演色タイプが新しく製品化される。

■ルーチ

先に紹介したDNライティングと同様、間接照明に特化したルーチでは特にテープライトの製品群が充実していますが、昨今トレンドとなっている均一な発光面をもつスリムタイプのライン照明や、色温度可変のライン照明など次々に新しい製品を発表しています。


図012 ルーチのブース
昨年の社名変更に伴いロゴも刷新された

    
図013,014 リニア・モジュールシステムの展示
テープライトを組み合わせて光のラインを見せるタイプ

そして今回は新しいコンセプトを持った製品を展示していました。照明器具というよりは照明システムといったほうがよいかもしれません。その名もリニア・モジュールシステムといいます。簡単にいうとパワーフレックス(テープライト)トフ(色温度可変のLEDライン照明)といったルーチを代表する器具を取り付けることが可能なラインタイプの照明ボックスになります。ダウンライトのようにバネで固定するタイプのボックスで取り付けは簡単です。ボックスにテープライトのドットを消し発光面を均一にすることができるディフューザーカバーが取り付け可能で、建築的にスペースを用意することなくダウンライトのように設置でき、簡単に光のラインを作り出すことができます。条件次第では上の写真のように壁にも取り付け可能です。


図015 リニア・モジュールシステムの展示
トフと組み合わせて半埋め込みのライン照明として使用した例

また少しサイズの大きいトフをリニア・モジュールシステムに組み合わせる場合は、上の写真のように半埋め込みのLEDライン照明として用いることができます。トフの器具形状はスクエア形で非常にシンプルなので、直付けしても決して見栄えは悪くありませんが直付けの場合はやや器具の高さが気になるところでした。このシステムと組み合わせると、それもあまり気にならず、オフィスなどでも積極的に採用できるシステムだと感じました。こうした器具を超えたシステムの提案は施工の手間とコストを軽減させ、逆に意匠性を向上させる非常に先進的な発想だと思います。

またルーチのハイパータイプのライン照明の定番であるコネクティッドライトの形状が刷新されました。以前はカマボコのようにラウンドしたタイプでしたが、トフと同じようなシンプルな四角い形状に変りました。形状がシンプルになったことにより、間接照明としてだけでなく、直付け照明としての可能性も増えそうです。さらに調光が可能になった点も大きな変化です。

    
図016,017 新しくなったコネクティッドライト
シンプルな角形の形状は直付けでも使いやすい


図018 JAPAN SHOPに出展されていたルーチのブース

またルーチはLED NEXT STAGEの会場だけでなく、ビッグサイトで同時開催されているJAPAN SHOPの会場にもブースを出展していました。今回発表されたリニアモジュールシステムの思想からも分かるように、単に照明器具としてだけでなく、LED照明を建材として、また建築と一体となった照明装置として捉えているのだと感じました。実際JAPAN SHOPのブースでは建築や家具にスリムな照明を組み込んだ手法が数多く展示されていました。

    


図019〜021 JAPAN SHOPに出展されていたルーチのブース
器具の展示というより、器具の使い方、光を用いた空間の提案を見せるブースとなっている。照明器具というよりも「光る建材」のイメージ

■FEELUX JAPAN

FEELUX JAPAN(以下FEELUX)は韓国発のメーカーです。こちらもLEDライン照明に特化した製品を展開していますが、まるでブロックのように器具同士をはめ込んでいく独自の器具連結方法や、複雑な電気工事を必要としないケーブルを差し込むだけで点灯できるシステムで異彩を放っているメーカーです。


図022 FEELUXのブース

    
図023,024 新しいスリムタイプの面発光ライン照明FLX Stix NDP

これまでFEELUXの製品にもDIVAシリーズという面発光するスリムタイプのLEDライン照明はありましたが、それはドットタイプのライン照明にオプションの拡散カバーを取り付けるという器具でした。そのため他社製品よりも若干サイズが大きかったのですが、幅10mm、高さ10.6mmという非常にスリムな面発光のLEDライン照明「FLX Stix NDP」が発表されていました。この器具がFEELUXの独自の照明システムで展開されれば非常に魅力的な選択肢の一つになるでしょう。


図025 極小のスポットライト「Mono Rail Spot」


図026 一回り大きくなって明るくなった新しいスポットライト

また、既に発売されている超小型のスポットライトで「Mono Rail Spot」という製品がありますが、Mono Rail Spotよりも一回り大きい新しいコンパクトスポットが展示されていました。Mono Rail Spotは驚くほどのコンパクトさでしたが、やや明るさが控えめでした。そこへさらに明るさの増したスポットライトの登場は注目度が高まります。サイズが一回り大きくなったといっても手のひらに乗るサイズで、既存のスポットライトに比べると遥かに小さいコンパクトな器具です。工夫次第で様々な使い方ができそうです。

■パナソニック

既にパナソニックが展開するSmart Archiの中でペンダントやブラケットとして製品化されている導光版パネルを用いたシリーズの新しいバリエーションが展示されていました。特に折上げ天井の間接照明に代わって導光版を用いるアイデアが斬新でした。


図027 パナソニックのブース

    
図028,029 導光版タイプのLED照明

導光版を用いたLED照明はこれまでもいくつかありましたが、パナソニックの導光版パネルは独自の技術で単に明るく発光させるだけでなく、導光版から発せられる光の配光を制御できるという点が優れています。間接照明のように器具の設置スペースを設けることなく、器具だけで完結することができ、それでいて建築との一体感もあるという、これまでにない発想から生まれたこのシリーズの今後の展開に期待が高まります。

    

        
図030〜034 大型のLED投光器
東京ドームでもスタジアム照明として採用されたハイパワーなLED投光器。単色のみならずRGBも選択でき、配光も狭角、中角、広角が展開されている。特殊なレンズ設計により見た目ほどのまぶしさはない。これだけバリエーションが選択できるとスタジアムだけでなく、建築や橋梁、タワーなどの構造物のライトアップにも使用が可能。特に屋外で常設可能な大型のRGB投光器は選択肢が限られるため貴重な存在である。2020年東京オリンピックに向けて大型投光器のジャンルは開発が活発になっている。

■ウシオライティング

昨年のライティング・フェアではウシオライティングが取り扱っている高品質なLEDランプを製造しているSoraa社の光源ユニット「Optical Light Engines」が斬新で今後の展開に期待が高まりました。(昨年のライティング・フェアのコラムはこちらをご参照下さい。)ウシオライティングのグループにMAXRAYが加わったことで、高性能な光源ユニットを高品質な器具に組み込むという流れができているのも期待が高まるもう一つの理由です。


図035 ウシオライティングのブース

今回の展示ではウシオライティングオリジナルの光源ユニット「LEDライトエンジン」が展示されていました。演色性はスタンダードなモデルでRa93、より高演色で彩度にこだわったVIVIDはRa95となっており、配光は狭角、中角、広角の3種類があります。色温度はスタンダードタイプで2700K、3000K、3500K、4000K、VIVIDタイプは3000K、3200K、4000Kが選べます。

    
図036,037 ウシオライティングのライトエンジン
演色性、色温度、配光の選択肢が豊富である。

    
図038,039 ライトエンジンを組み込んだグレアレスダウンライト


図040 非調光、位相調光、PWM調光が選択できる

このライトエンジンはガラスレンズ+ダイクロイックミラーの組み合わせで配光制御を行っており、従来の樹脂性レンズに比べ劣化が少ないことが特徴です。

また非調光、位相調光、PWM調光が選択できるので施設や状況によって使い分けが可能です。最小のライトエンジンはΦ59mmとなっており、開口径Φ75mmのダウンライトにライトエンジンを組み込む事が可能です。今後MAXRAYからライトエンジンを組み込んだダウンライトが展開されていくそうです。会場では実際にライトエンジンを組み込んだグレアレスダウンライトも展示されていました。ベース、ユニバーサル、ピンホール、コーンの仕上げのバリエーションなども含めると2200アイテムになるそうです。もちろんコンパクトサイズのみならず、ライトエンジンのサイズが大きくなれば明るさも増しますので、より明るいダウンライトも今後増えていくと思われます。

    
図041,042 RGBにライムライトを加えたRGBLタイプのLEDによるカラー演出

以前はカラー演出に用いる照明はRGBタイプのものが主流でしたが、昨今はより美しい光、特に美しい白の光が求められる事もあり、赤+緑+青の混色によって作り出される少し不自然な白色ではなく、別に白色の光源を組み込んだRGBWタイプ(WはWhiteの略)のLED照明を用いた製品が多くなってきました。ウシオライティングのブースに展示されているものはRGBLというタイプのLED照明で、LはLIME GREENの略です。鮮やかな色彩のLIME GREENを入れ、RGBと組み合わせることにより、色彩自体の鮮やかさが増し、特にピンク、薄紫、アンバーといった淡い色彩が美しく見えます。以前からRGBLのカラー演出の噂は耳にしていましたが、実際の光を見てその鮮やかさに驚きました。これからはRGBLがカラー演出のスタンダードになっていくかも知れません。

■aeco light(※同時開催「街づくり・店づくり 未来提案EXPO 最新・光空間演出ゾーン」に出展)

aeco lightは台湾発の高品質な照明メーカーTONSの器具を扱いながら、自社の照明の開発も行っています。近年のライティング・フェアやLED NEXT STAGEではいち早くコンパクトなダウンライトやホテル向けのリーディングライトなど、オリジナリティ溢れる器具を展示し、年々存在感を増しています。今回もコンパクトでシンプルなデザインのブラケット、ダウンライト、スポットライトが特に印象に残りました。


図043 aeco ligtのブース

    
図044,045 コンパクトなダウンライト
ポップなデザインが特徴で角形のダウンライトもある。

ダウンライトは丸型だけでなく角形もあります。いわゆるグレアレスダウンライトではありませんが、中にはコーンがラウンドしているようなデザインのダウンライトもあり、建築の仕上げ次第では器具と天井が一体になって見えるようなデザインになっています。

    


図046〜048 コンパクトなブラケットシリーズ


図049 コンパクトなフットライトと地中埋設照明

驚くほど小さなブラケットが展示されていました。今までありそうでなかった器具です。これならば短いピッチで連続して並べたり、場所によってはフットライト的に使う事もできそうです。ここまで小さいとつい「かわいい」といってしまいそうになります。


図050 専用レールと組み合わせて使用するスポットライト

以前のコラムでも紹介した事がありますが、aeco lightでは既に屋外用ではコンパクトなスポットライトを販売しています。新しく専用のレールを用いたコンパクトスポットライトが展示されていました。先に紹介したFEELUXのMono Rail Spotと同様のコンセプトを持った器具です。スポットライトがここまで小さくなると、これまで考えられなったような場所や狭いスペースに設置できるため、注目しているデザイナーや建築家は多いのではないかと思います。

    

    
図051〜054 個別調光システムの展示

アドレスを持ったスポットライトを個別調光するシステムも展示されていました。このシステムは台湾のLite-Puterという照明制御を得意とするメーカーとコラボレーションしています。スポットライトのみならず、ブースのRGB照明とも連動して様々な照明演出を行っていました。

■パイフォトニクス

シャープで長く伸びる平行光、曲がる光、虹のような光を作り出す「ホロライト」ですっかりお馴染みなったパイフォトニクス。いつもブースを訪れると光の実験室に足を踏み入れたような楽しい気分になります。


図055 パイフォトニクスのブース


図056 ホロライト・ウェイブによって照らし出された光の模様


図057 より明るくなったホロライト・カク

新しく四角の平行光を出すホロライト・カクが明るくなったとのこと。よりはっきりとした光のラインが見えるようになりました。イベントやファサードライティングなどで効果を発揮すると思われます。これだけの面白い光の効果を目の当たりにすると、逆にこの光を使って何か新しいことをやってやろうという気持ちにさせてくれます。

その他に気になったものを写真を中心に紹介していきます。

■ルートロンアスカ


図058 ルートロンアスカのブース

    


図059〜061 Eco SystemでDALI対応器具のコントロールが可能になった
個別調光システムの分野で次々と新しい製品を発表しているルートロンでは、ついにDALI対応器具の調光が可能になった。これで実質Eco Systemではほぼすべての照明器具を調光制御できることになった。

■神田通信機


図062 神田通信機のDALIを用いた無線個別調光システム

    
図063,064 Helvar社のアプリケーションを使ってスマホやタブレット端末をリモコン代わりにDALI対応器具を個別調光する。
DALI2にも対応しているためRGBタイプの器具もコントロール可能。

■コニカミノルタ


図065 コニカミノルタのブース

    
図066,067 手軽に平均演色評価数や分光分布が計測できる演色照度計CL-70F
これまで手軽に平均演色評価数(Ra)を計測できる機器は同社のCL-500が代名詞的な存在であったが、価格が安価になったCL-70Fが登場した。スマホのように液晶画面で計測値を確認できる点が非常に画期的。昨今演色性の評価で話題となっているDUV値も計測可能。照明業界の方にとっては必携のアイテム。

■神保電器

洗練されたデザインのスイッチなどを取り扱っている事で知られている神保電器がLED照明向けの調光器を展示していました。調光用スイッチは意匠性に優れたものが少なく、我々も建築家からもっといいものはないの?とよく指摘を受けます。LED照明の調光に特化した逆位相調光、PWM調光にも対応した調光スイッチもあり、照明デザイナーのみならず、建築家にも喜ばれる製品だと思います。


図068 神保電器のブース

    
図069,070 LED照明向けの逆位相調光、PWM調光にも対応可能な調光スイッチ

■みんなで参加 ヒカリ体感ラボ

企画展示ブース「みんなで参加 ヒカリ体感ラボ」で行われていたヒカリゲート1万人の大実験が非常に興味深い内容でした。2700K、3000K、3500K、4000K、5000Kの光で照らされたゲートを用意し、来場者に自分の好みの光のゲートを通ってもらいその集計結果を分析しようという試み。内容自体はどれが好き?という単純なものであるが、1万人規模でこのような実験を行った例はないのではないでしょうか?普段照明のプランニングを行っている我々にとっても結果が気になります。ゲートの色温度は一定時間で入れ替えが行われ、ランダムに変化するという徹底振りです。


図071 ヒカリゲート1万人の大実験の様子


図072 光ゲートの結果速報

集計結果の速報が毎日貼り出されています。私が会場を訪れた時点では3500Kの支持率が最も高くなってしました。我々のように照明のプラニングを専門としているような方々は2700K~3000Kの温かみのある電球色の光を用いることが多いと思いますが、日本人は4000~5000Kの白色を好むとよく言われます。2700~3500Kの温かみのある光の支持率が全体の7割ほどを占めていて思わず嬉しくなりました。会場に足を運んでいる人は建築や照明のプロフェッショナルの方も多いので判断が難しい所ではありますが、集計結果の分析は現在専門家が行っておりその結果はLED NEXT STAGEのホームページにて報告されるそうです。結果が非常に楽しみです。

■まとめ

1. 進むコンパクト化
全体的にコンパクト、スリムなLED照明の種類が増加しているように思います。先に紹介したコンパクトなLED照明以外にも、様々な場所でコンパクトなLED照明を目にするようになりました。このジャンルは確実に成長しつつあります。今回のLED NEXT STAGEには出展しておりませんでしたが、山田照明は昨年大規模なショールームの改装を行い、エントランスホールでは開口径Φ50mmのLINE50シリーズのダウンライトをメインに構成した空間を作り上げています。ベース、ユニバーサル、ウォールウォッシャー、ピンホール、ダウンスポットなど種類が豊富です。このショールームの改装に山田照明がコンパクトな照明にかける意気込みを強く感じました。

    


図073〜075 山田照明のショールーム
エントランスホールは開口径Φ50mmのコンパクトなLEDダウンライトを中心に構成されている。器具が非常に小さいためピッチが狭い、数が多いという問題も気にならない。さらにグレアレスタイプのダウンライトであるためより器具の存在を感じにくい。

LED NEXT STAGEよりも少し前にビッグサイトで開催されたライティングジャパンでもコンパクトなダウンライト、スポットライトなどが展示されているブースがありました。ブルーウェーブテクノロジーズは2011年に誕生した新しいメーカーですが、商品点数を厳選しながらクオリティの高い照明器具を製造していることで業界関係者の中では高い評価を受けています。


図076 ライティングジャパンに出展されていたブルーウェーブテクノロジーズのブース

    


図077〜079 開口径Φ35mm、Φ60mmのダウンライトや小型のスポットライト

開口径Φ35mm、Φ60mmのダウンライト(AMATERASシリーズ)や小型のスポットライトを取り扱っており、コンパクトなLED照明においては大手メーカーの器具と比較しても同等、もしくはそれ以上の性能を有しています。その他以前のコラムでも紹介した事がありますがライティング創などもコンパクトで高品質な器具を製造していることで知られています。さらにコイズミ照明では昨年開口径Φ60mmのダウンライト「cledy microシリーズ」を発表し好評であると聞いています。

    
図080,081 ライティング創のブース(昨年のライティング・フェアにて)
コンパクトなダウンライトなどが展示されていた。

私自身は参加できなかったのですが、2016年3月にドイツ・フランクフルトで行われた世界最大級の照明見本市「Light+Building 2016」でもコンパクトなLED照明の存在が目立っていたということでした。(現地に行かれた照明デザイナー、/Light Collabの窪田照彦氏から現地の様子を伺った)Light+Buildingでは2012年頃からコンパクト化の流れがありましたが、回を重ねるごとにその流れは大きくなっているようです。コンパクト化の流れは世界的な潮流となっているのだと思います。LEDの高効率化やレンズ、反射鏡による光学制御技術の向上、放熱技術の向上などにより、熟成の域に入ったLED照明がコンパクト化の流れに移行するのは必然のように思えます。空間に光は欠くことができませんが、照明器具の存在はできることならば消し去りたいというのが照明デザイナーや建築家の長年の想いです。この思想にLED照明が少しずつ、着実に近づいているように感じました。今後日本でも高品質でコンパクトなLED照明がますます増えていくことを期待します。


図082 照明デザイナー/Light Collabの窪田照彦氏にLight+Building 2016の概要を聞く

    
図083,084 Light+Building 2016より PROLICHTのコンパクト照明(写真提供 Light Collab 窪田照彦)
以前のコラムでも紹介したPROLICHTのコンパクトダウンライト。単に小さいだけでなくコーンのカラーを選べたり、同じデザインのコーンがペンダントとしても使用できるなど、プラスアルファの発想が新しい。


図085 Light+Building 2016より FLOSのコンパクト照明(写真提供 Light Collab 窪田照彦)
日本でも広く知られているFLOSのコンパクトスポットライト。天井内に埋め込んだボックスと組み合わせて使用する。コチラも単にコンパクトなだけでなく、クロスルーバー、ハニカムルーバーなどが取り付けられるなど、グレアに対する配慮もぬかりない。

    
図086,087 Light+Building 2016より DGAのコンパクト照明(写真提供 Light Collab 窪田照彦)
小さなダウンライトを連灯したウォールウォッシャー。ライン照明に比べて光伸びが良い。屋外の地中埋設照明にもコンパクトな照明が展開されている。

2. 変化している展示会のあり方
LED照明に移行してからの照明展示会のあり方が変化していることは、これまでも感じていましたが、今回のLED NEXT STAGE 2016ではその変化を特に強く感じました。メーカーが取り扱うほぼすべての照明がLEDとなった現状で、LED NEXT STAGEとライティング・フェアの差別化が難しくなってきていると感じます。LED NEXT STAGEも開催10年を超えメーカー、ユーザー、主催者それぞれにメリットがあるコンテンツの再構築、大規模な照明展示会のあり方を考え直す良い機会ではないかと思います。今回はルーチがLED NEXT STAGEだけでなく、JAPAN SHOPの会場でもブースを出展していました。ルーチのように間接照明に特化しているメーカーにとってはLED照明は照明器具というより建材に近いイメージを持っているのではないかと思います。照明業界のみならず、より建築家やインテリアデザイナー、サインディスプレイの関係者の目に留まる機会が多いJAPAN SHOPに出展するという発想の柔軟さに共感しました。


図088 JAPAN SHOPに出展されていたルーチのブース

3. 進化から深化へ
LED照明はそれぞれのジャンル、空間、設置場所に特化した製品が増え細分化が進んでいます。照明器具のみならず、調光制御の分野も年々成長しており、これまでできなかった様々なことが実現できるようになってきています。加速度的に成長を続けてきたLED照明は「進化」という言葉がぴったりハマッていたように思いますが、近年のLED照明は「深化」という言葉がしっくりきます。目には見えにくい使い勝手や心地良さの追求、高度な技術をなんでもない事のようにサラッとみせるといったような、横の広がりではない深さを感じます。深く、そしてそこからさらに細かく枝分かれしているようなイメージです。細かなアップデートを繰り返しながら、ユーザーが気付かない間に便利に快適になっている、LED照明はそんな深化の領域に入りつつあると感じました。

光のデザインレポート
執筆者:岡本 賢

岡本 賢(おかもと けん) 
照明デザイナー/Ripple design(リップルデザイン)代表

1977年愛媛県生まれ。2002年株式会社ライティング プランナーズ アソシエーツに入社し、幅広い分野のプロジェクトに参加し建築照明デザインを学ぶ。2007年独立し、Ripple designを設立。現在は住宅、集合住宅、店舗などの照明デザインを手がける。
URL http://ripple-design.jp

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