事業内容
カミカワミライデザインは、北海道上川町の大雪山を軸とした観光・環境などに対して官民一体となりまちづくりを推進する法人である。
大雪山国立公園に抱かれ、石狩川の源流に位置する上川町。この立地を観光資源としてだけでなく、下流の大都市に対する経済的・環境的な価値として捉え直し、源流の自然を再生することで流域全体を豊かにする。それが上川町の「流域構想」である。行政・住民・企業・大学が一体となって自然環境を再生し、その環境データを蓄積して、ネイチャーポジティブや環境再生型の経営を目指す企業が価値として活用できる仕組みづくりを進めている。カミカワミライデザインは、この構想を推進するため、これまで町に関わってきたカミカワークプロデューサーや地域活性化起業人、連携協定を結んできた企業・大学を一つのプラットフォームに集約し、テーマごとの実証実験を行う母体として設立された。
主な取り組みは以下の通りである。
一つ目は、資源循環のプロダクトづくり「上川に座る」プロジェクトである。景勝地・層雲峡に不法投棄されたペットボトルキャップを町民とともに回収し、ペレット加工・3Dプリント技術によって世界に一つだけの椅子へと再生する。デザインには上川町の輪郭、石狩川の流れ、新緑・紅葉・雪解けの四季の色彩が編み込まれ、「負の遺産」を「町の資産」へ転換する物語を体現している。完成した椅子は層雲峡氷瀑まつりに展示され、来場者が実際に座って体験できる観光コンテンツとなっている。また、町民参加型ワークショップ「SDGsマテリアルハント&ツアークリエイション」では、名古屋市立大学・ExtraBold・トヨタ自動車など都市部の大学・企業と町民、地元の中高生が一体となって観光プランを共創。上川大雪酒造の酒粕をフィラメント素材として再活用する検討など、地域に眠る未利用資源の再定義も進めている。
二つ目は、生物多様性の「見える化」である。TSIホールディングスとの包括連携協定のもと、企業版ふるさと納税を財源に「大雪いきもの図鑑プロジェクト」を実施。登山者や観光客がスマホアプリで生き物や植物を撮影すると、そのデータがそのまま北海道大学の生物多様性データとなる仕組みで、保全活動の担い手と研究資金を同時に生み出すモデルを実証した。2026年には羅臼町・環境省とともに「HOKKAIDOネイチャーポジティブフォーラム」を主催し、TNFD時代の自治体経営のあり方を発信している。
三つ目は、アウトドアブランド・コロンビアスポーツウェアジャパンとの包括連携協定である。「アウトドアの力で持続可能な地域社会の構築」を目指し、層雲峡・黒岳ロープウェイ駅舎内へのコンセプトショップ開設、通年型山岳リゾートとしての体験コンテンツ開発、ふるさと納税のコラボ返礼品、テレビ番組での情報発信などを共同で推進。役場の制服への採用など、ブランドと地域が日常から接続する関係を築いている。
これらの取り組みの根底にあるのは「感動人口」という考え方である。住民票や観光客という区分を超え、上川町と関わって心が動いた人すべてを人口と捉え、企業版ふるさと納税や連携協定を通じた新しい財源の流れを生み出してきた。源流の一滴の水が川となり海へ広がるように、上川町で生まれた感動と価値を流域へ、世界へとつないでいく。