2010.04.01
講師: 京セラコミュニケーションシステム株式会社
セキュリティ事業部 セキュリティシステム課 佐藤宏昭氏
京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、診断系ソリューションを軸に、変更管理や各種ソリューションを展開しています。「PCI DSS」は、カードビジネスに関わる事業者向けのセキュリティ基準ですが、実装に近い部分が規定されており、他の業態のセキュリティ対策にも有効に使うことができます。ここでは、要件2、6、11に関する導入事例をご紹介します。
大手決済代行事業者のデジタルガレージ イーコンテクストカンパニーは、2008年12月にPCI DSS完全準拠を終えており、国内では安全対策に対して先進的な取り組みを行っている企業の1社です。今回の準拠においては、要件11.5のファイル整合性監視に対応するため、変更管理ソリューション「Tripwire Enterprise(TE)」が導入されました。
もともとシステム構築・運用ノウハウをお持ちですので、大半の要件は自社で対応されましたが、要件11.5については、工数をかけるよりもツールを用いた方がトータルでコスト削減ができるという判断から、TEの導入に至りました。
検討時の課題はスケジュールでした。通常は見積もりから運用まで2カ月弱かかりますが、監査日程の関係から与えられた時間は1カ月弱でした。KCCSでは、独自のヒアリングシートを活用して工程を切り詰めることで、短期間での導入・稼働を実現することができました。
導入効果(図1)は、まずファイル整合性監視を自動化できたことです。要件11.5への対応にあたっては、レポーティングなどで多くの工数を想定していましたが、TEによって運用管理の効率を大幅に向上できました。またPCI DSSに加えて、SOXなどのコンプライアンスに必要な監査証跡を得るツールとして活用できる点も、導入効果の1つに挙げられます。
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図1 デジタルガレージ イーコンテクストカンパニーにおける導入効果 [図をクリックで拡大]
KCCSから見たこの事例のポイントは3つです。1つは導入後のチューニングや運用トレーニングまで提供できること、2番目は監査用の証跡取得ツールとしての利用、そして3番目はTE導入では国内ナンバーワンの実績を有し、短期間での運用が可能な点です。
KCCSは、国内で初めてTripwire社の認定コンサルタントの資格を得ており、きめ細かな技術的サービスを提供できます。また、PCI DSS対応を検討している企業には、「Tripwire PCI DSSファイル整合性対策パック」も用意し、短期間での体制作りをサポートしています。
次の事例は、カード会員向けのインターネットサービスを、PCI DSSに完全準拠させた企業です。もともとKCCSの脆弱性・リスク管理システムなどのユーザーで、2009年にPCI DSS対応でのTE導入を機に、その他の診断系ソリューションの導入に至りました。
導入目的は、要件6、11.2、11.3、11.5への完全対応でした。例えば、要件6に準拠するには、WAF(Web Application Firewall)を経由した診断に加えて、WAFの内側も診断する必要があります。しかし対象ページが増加したため、コストが課題となりました。当然、発見された脆弱性の修正にも費用がかかります。
KCCSでは、まず内部の診断により内在する脆弱性を把握し、発見された脆弱性に対してWAF越しの診断を実施することで、コスト削減に結びつけました。こうした手法を用いることで、アプリの改修を的確、迅速、安価にできます。
また、ペネトレーションテストも必要でしたが、すべてのエリアを対象にするのではなく、脆弱性診断の結果を用いた上で実施し、効率を上げることに成功しました(図2)。
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図2 カード会員用インターネットサービスにおける導入効果 [図をクリックで拡大]
KCCSから見たこの事例のポイントは5つです。1つは、WAF経由の診断は内部診断の結果を元にして最小限に抑えること。次に、診断明細の提供により修正個所を必要最小限にできること。残り3つは情報提供とフォローとして、四半期に1度のASV(認定セキュリティベンダー)による診断、 既存製品の運用支援と今後の診断継続策、昨年の診断内容をご提供することで、準拠を終えた後も、セキュリティに問題が生じないように支援しています。
この事例で適用したソリューションは、TEと大規模な環境にも対応できるnCircle社の脆弱性管理システム「IP 360」、そしてKCCSの「Web脆弱性診断サービス」です。
KCCSの診断ソリューションは、IP 360を軸とした「ネットワーク脆弱性診断」、IP 360を利用した「ASPサービス」、そしてペネトレーションテスト、PCI外部診断を含む「Web脆弱性診断」に体系化されています。
Web脆弱性診断は、件11.2に対応する診断を含むサービスで、PC向けWebサイトから携帯向けWebサイトまで細かな診断が行えること、マニュアルとツールを組み合わせて精度が高く確実な診断を実施できることなどの特長があります。
京セラコミュニケーションシステム
PIC DSS要件11.5で要求されるファイル変更管理ソリューションとしてTripwireを利用した「Tripwire PCI DSSファイル整合性対策パック」の紹介。また、Tripwireを利用したPCI DSS要件1,2,4,6,7,8,10などの項目についてのソリューションも紹介する。