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セキュリティ産業新聞 SECURITY SHOW 2011 会場レポート(上)

 3月8日(火)から11日(金)までの4日間、東京ビッグサイトで開催された「SECURITY SHOW 2011」は、製品、システムの最新動向に加え、新たな運用例の提案、今後の方向性を示唆する展示内容が多数紹介された。そこで、当レポートでは、「映像監視」「入退管理・その他」の2回に分けて、注目された内容を紹介する。

(セキュリティ産業新聞社)

映像監視

 映像監視市場における注目点は、近年市場拡大傾向が続くネットワークカメラシステムの最新技術動向。メーカー、SIer、ユーザの各々の関心も高い。期間中に開催されたセミナープログラムでも、ネットワークカメラシステムに関する内容が多く見られた。異なる企業の機種間でも互換性を実現する標準プロトコル策定作業などを進める、ONVIF(Open Network Video Interface Forum)の最新動向も多数の聴講者を集めていた。

 ネットワークカメラに関しては、VGAから高画質ニーズを踏まえたメガピクセル、HD(ハイビジョン)対応カメララインナップが拡大基調にある。しかし、日本市場に関しては、欧米、北米市場などに比べて、ネットワークカメラシステムの普及速度が遅い、当初期待程には市場拡大が進んでいないとの声も多い。

 今回の出展内容を見ると、更なる高画質化を実現する、フルHD対応製品の出展が拡大。価格的にもエントリーモデルからハイエンドモデル、タイプもBOX型、ドーム型など市場の細分化を踏まえたラインナップが揃い、ユーザの選択肢が急速に拡がった印象がある。

 近年「HD」を前面に打ち出して、ネットワークカメララインナップを拡充しているのが、ソニービジネスソリューション。エントリーモデルではHD対応機種で希望小売価格が5万円台、フルHD対応機種も8万円を切る価格で市場投入。同社では、こうしたモデルを流通、店舗などでの採用を視野に入れているが、こうしたモデルを採用することで、システム構成の際、価格面で従来のアナログCCTVシステムと同様、あるいはネットワークカメラシステムの方が安価に構築可能。従来、システム普及のネックとされた、アナログシステムとの価格差といった課題が、デジタルの普及局面において解消に向かう時代が到来したとも言えるかもしれない。同社ブースでは、従来発表されているモデルに加えて、展示会の開催直前に発表した旋回型ネットワークカメラ最新モデルも展示され注目された。

ソニービジネスソリューションのブースでは、HDネットワークカメラの画質比較を行っていた

 レコーダの高性能化、長時間記録などへの対応も進んだようだ。カメラのデジタル化が進む中、データ容量との兼ね合いもあるため、如何に効率的な記録を残すかといった課題を持つ向きも多い。出展各社から、最新型のレコーダが提案されたが、日本ビクターは、業界初のブルーレイディスクへのエクスポートに対応するハードディスクレコーダ「VR-816/809」を展示。高圧縮効率として、業界デファクトとなったH.264対応による高画質映像の長時間録画に加え、ブルーレイ、DVD-R/RWへの書き出しにも対応。独自色を打ち出した製品として、市場での反応が注目される。

ブルーレイディスクにエクスポートが可能な日本ビクターのレコーダ「VR-816/809」

 欧米などと比較すると、国内では数千台から万単位のカメラ台数を統合したシステム、屋外環境下による大型案件は殆ど見られない。だが、国内の案件に適した効率的な統合監視を実現するソフトウエアは要望が高い。日本テクノ・ラボでは、統合監視映像システム「Fire Dipper」を紹介。主要アナログ/IPカメラへの対応に加え、ユーザが求める緊急時のサポート体制も備え、安心して利用できる点などを訴求した。

日本テクノ・ラボの統合映像監視システム「Fire Dipper」

 一方で、ネットワークカメラシステムへの移行が進むものの、市場では依然としてアナログカメラが多数を占めるのが現状である。そこで、アナログ/デジタルの双方に対応可能な「ハイブリッドシステム」を前面に打ち出して、提案する企業も見られた。アバーメディア・インフォメーションは、16CHまでアナログ/IP入力に対応するハイブリッドDVRとして、「AVerDiGi IWH3216 Touch」を提案。フルデジタルシステムを視野に入れるが、コスト的に困難で、既存のアナログ環境を活かしたいといったユーザなどを見据えた展示内容だった。

ハイブリッドDVRのデモを行っていたアバーメディア・インフォメーションのブース

 初出展のインターシルは、最新ICソリューション「SLOC」を展示。アナログ/IPの混在環境下でも、同軸線にフルHDデータとアナログデータを同時に流して、DVR側で双方のデータを取り込むことを可能とした。アナログデータはリアルタイム表示、フルHDデータは記録といった運用をすることで、解析などへの活用も期待できる。「SLOC」を用いて、ソニーと「ハイブリッドカメラ」という新たな市場開拓への取り組みも開始する。


同軸線にフルHDデータとアナログデータを同時に流せるインターシルの「SLOC(Security Link Over Coax)」

 今後のネットワークカメラは、フルHD対応モデル登場により、更なる画素数アップを視野に入れるのではなく、監視用途以外に加え、どんな実用性を備えるかといった面も必要となる。パナソニックグループでは、防犯以外の用途でもネットワークカメラシステムを有効活用できる「ビジネスインテリジェンス拡張キット」を提案。これは、監視カメラシステム開発で培われた顔の検出技術を踏まえ、更に高度な検証を実現したもの。顔照合機能を搭載した同社製ネットワークディスクレコーダにインストールすることで、カメラ側から送られた顔画像を分析。年齢、性別や人数集計なども可能となるため、店舗の来店層を把握といったマーケティングデータ収集、分析にも応用可能。映像監視市場におけるマーケットリーダーのパナソニックの先駆的な取り組みは、セキュリティだけでなく、円滑な日常業務の遂行、経営的な観点でも活用できる点は、ユーザの導入を促す訴求ポイントとして注目される。

「ビジネスインテリジェンス拡張キット」を提案するパナソニックグループ

 レンズメーカー各社からも高性能レンズ新製品が多数展示された。富士フイルムでは、展示会直前に発表した、世界初の監視カメラ用デイナイト60倍高倍率ズームレンズ「D60x16.7SR」を展示。60倍の監視カメラ用ズームレンズとして、世界初のフルHDカメラに対応した製品。空港、港湾で求められる遠距離監視に加え、今回の東日本大震災で改めて必要性が注目される河川などの防災監視にも適した仕様となっている。

60倍の監視カメラ用ズームレンズとしてフルHDカメラに対応した富士フイルムの「D60x16.7SR」

 タムロンは、可視光域、近赤外光域の全域で高画質を実現した3メガピクセル対応バリフォーカルレンズ「M13VM288IR/M13VG288IR」などのCCTVレンズラインナップを展示。同社では新たな取り組みとして、遠赤外線カメラ用光学式防振機構搭載ズームレンズに加え、遠赤外線カメラ、魚眼レンズ搭載の全方位カメラも参考出品。今回参考出品した製品は、光学系で豊富なノウハウを持つ同社が、赤外線カメラなどに強みを持つNEC Avio赤外線テクノロジーと共同開発したもの。

タムロンが参考出品した魚眼レンズ搭載の全方位カメラ

 今後セキュリティ関連企業では、自社の強みを活かせる他社との共同開発、協業といったアプローチが進む可能性もある、こうした取り組みにより、次回の「SECURITY SHOW 2012」で新たな製品、システムが紹介されることが期待される。

SECURITY SHOW 2011 会場レポート(下)につづく

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