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連載コラム

<第1回> セキュリティに正解を求めて〜環境に合わせた対策と適切な運用を提案 【三菱電機 塩原義浩氏】

[ 2009年1月8日 ]

三菱電機株式会社
ビル事業部 ビルシステム第三部 システム技術第一課
総合防犯設備士 第03-0094号
塩原 義浩 氏

運用コンサルタントとしての総合防犯設備士

三菱電機 塩原 義浩 氏
三菱電機 塩原 義浩 氏

三菱電機では、「トータルセキュリティ」をコンセプトにしている。業務として、セキュリティシステムの提案やコンサルタント的な活動を行う機会が多いため、防犯設備士の資格を取得したと塩原氏は語る。

資格取得は仕事の一環というが、本人が入社する前から同社幹部が日本防犯設備協会(http://www.ssaj.or.jp/)の理事をしていた関係で、資格の存在には早くから気づいていたという。防犯設備士の資格を取得した後、総合防犯設備士の資格ができたことを知り、すぐに取得に動いたのも、周りの環境が好影響をしているようだ。塩原氏の所属部門では、組織的に防犯設備士及び総合防犯設備士の資格取得を目指しているという。

塩原氏は、総合防犯設備士の資格を取得してすでに5年。2009年は資格更新の年になる。
セキュリティ提案における総合防犯設備士の役割としては、システムの運用コンサルタント的な立場で、ユーザーにアドバイスし、対応策や考え方の提案を行うとともに、導入後のサポートも行っている。

国内ではセキュリティのコンサルタント専門の会社がほとんどないことから、防犯設備士の資格を取得したメーカー社員等がコンサルタント的な活動も行っているのが現状だ。

警戒線でセキュリティレベルのイメージづくり

「物理セキュリティに関する設計や提案をしています。当社はメーカーですから自社システムのPRも行いますが、その前段として、どのような脅威があり、それからどのように守ったらよいかといったセキュリティのプランニングをする際に、『警戒線』などの概念を説明し、実際のセキュリティ構築を提案しています」と語るように、エンドユーザーだけでなく、設備設計事務所に対してもアドバイスやサポートの役割も担っている。

ビル・オフィスセキュリティー(入退室管理&映像監視) 「警戒線」イメージ〜オフィスセキュリティーの取り組み例

防犯設備士のテキストにもある「警戒線」のイメージは、セキュリティレベルの切り分けが把握しやすく、セキュリティシステムを提案するときの説明がわかりやすくなり、大いに役立っているという。実際の提案書では、色分けや利用者毎の動線を追加することで、さらに視覚的にも理解しやすいように工夫しているといった配慮も忘れない。

この「警戒線」をベースにした提案書を作成することで、セキュリティの漏れや抜けを防止できるとともに、システムのオーバークオリティーを回避することができるという。

正解のないセキュリティに正解を求めて

小規模店舗から、ビル全体のセキュリティシステム提案など、小規模から超大規模までを、ネットワークセキュリティも含めて提案ができるのが三菱電機の大きな強みだ。

セキュリティーマネジメントを支える製品・製品体系

しかも、製品ラインアップが豊富で、2007年末から本格展開している「DIGUARD(ディガード)」のようなソリューション提案が可能になっている。システム構築時点から連携を念頭にプラットフォームを作っておけば、追加システムも簡単に連携させることができるので、システムに柔軟性が備わり、幅広いユーザーに対応できるメリットがある。

しかし、システム提案だけで適切なセキュリティができるわけではないという。たとえば、利用動線の境界を示すことができたとしても、そこに建築構造として何もないとき、とびらや壁の必要性を説き、実際に建築物を追加する必要も生じる。

また、既設の施設に対するセキュリティ提案としては、予算等も関係してくるので、段階的に導入していく提案もするようだ。予算の関係から、数期にわたって構築していくことも提案としてはあり、敷地の広い工場などでは、スモールスタートにして、外周からスタートしたり、内部の最重要箇所からスタートしたりと、ユーザーの要望と予算に合わせた提案もしているという。導入にかかる期間中にも、業務は止めるわけにはいかないので、運用や業務形態を考慮した提案をユーザーによっては考えなければならないときにも防犯設備士の知識が生きるという。

利便性とセキュリティレベルの両立にはヒアリングが重要

三菱電機 塩原 義浩 氏

塩原氏は、システム提案するときの心構えや事前準備として、ヒアリングの重要さを説く。「運用を含めた提案でないとうまく機能しません。たとえば、昼間と夜間でセキュリティレベルを変えたり、利便性を考慮した設計をしていかないと、使いづらくなり結局使われずにセキュリティレベルを下げたり、抜け穴になってしまう可能性もあります。時には、運用しながらシステムを柔軟に変更することも必要になります。」と語るように、利便性とセキュリティレベルの二律背反に対し、ユーザーの意向を取り入れながら提案していくことになるという。

そこで、提案が一方的な押しつけにならないようにするためにも、ヒアリングが重要になる。
その上で、「正解がない」といわれるセキュリティ導入に、「できるだけ正解に近づける努力を惜しまないことが重要になります。」と語る。 (終)

セキュリティ事情最前線 〜総合防犯設備士に聞く

【インタビュアー】西山 恵造(有限会社 センス・アンド・フォース 代表)
オーディオ・ビデオ機器、計測制御機器、コンピュータ周辺機器などを製造販売する電気機器メーカーの宣伝部にコピーライターとして勤務。計測制御機器やコンピュータ機器に関するパンフレット、広告等のコピーを制作する際に接した、産業機器関連に興味を持つ。1995年に独立後も、IT関連と産業機器関連のコピーおよび原稿制作等に関わりを持ち、2005〜2006年には「震災時帰宅支援マップ」(昭文社刊)の原稿制作にも携わる。セキュリティ分野では、ネットワークセキュリティと防犯のいずれにも携わっており、2007年からはセキュリティ雑誌への記事掲載も担当した。現在、防犯だけでなく防災にも興味を持ち、2008年に「防災士」と「防犯設備士」の資格を取得。

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