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連載コラム

<第10回>女性視線による防犯相談とセキュリティ対策で、安心・安全を提供【神奈川県防犯設備士協会 塩谷信子さん】

[ 2009年11月10日 ]

NPO法人 神奈川県防犯設備士協会
防犯アドバイザー
総合防犯設備士 第06-0190号
塩谷 信子さん

カギのプロとして、信用性を高めるために資格を取得

神奈川県防犯設備士協会 塩谷 信子さん神奈川県防犯設備士協会 塩谷 信子さん

錠前会社に勤務していた当時、カギに関する資格がなかったため、社命で防犯設備士の資格を受験したと語る塩谷さんは、名刺に「防犯設備士」と表記できたことがお客様からの信用にもつながったという。
社団法人日本防犯設備協会(以下、日防設)の試験に合格しことの証が信頼感の基になったもので、特にピッキング被害が増大した以降は、その効果も大きいものになっていったと当時を振り返る。

その後、2006年に地元の神奈川県で現在の「株式会社 横浜トータルセキュリティ」を立ち上げるに際して、一段上の総合防犯設備士の資格試験に挑戦し、合格している。女性としては全国で4人目の資格取得者だ。
現在、253名いる総合防犯設備士の中で、女性はまだ8名しかいない。

資格取得後、神奈川県防犯設備士協会(以下、神防設)に所属することになり、現在では「防犯相談実行グループ」と、「防犯セミナー実行委員会」「日防設受託事業推進グループ」「防犯機器普及推進委員会」の3つの委員会に所属している。

女性ならではの防犯相談で、安心感を提供

総合防犯設備士として、塩谷さんが女性の視点で防犯をとらえられることの意義は大きい。
当然のように、女性特有のアドバイスは、主婦や一人暮らしの女性にとって大きな力であり安心感になることは言うまでもない。
その上で塩谷さんは、「現在、とてもいい設備機器が出ていますが、いいものを設置しているのに使わない人が多いようです。中には、『泥棒が怖い』と言っているのに『うちは大丈夫だ』という理由でカギをかけないという人がいます。しかし、防犯の基本は設備ではなく、カギをかける心がけなのです」と持論を語る。
カギのプロならではの視点だ。

現在、女性の一人暮らしや女性専用マンションなどが増える傾向にある。しかし、女性の総合防犯設備士は少ない。塩谷さんは、セキュリティ分野への女性の進出が多くなることを願っているという。
理由は、個人宅の場合、防犯相談の窓口としては女性が多いためだ。女性の一人暮らしは当然のことながら、一般家庭でも家主ではなく主婦が相談相手になるケースは多い。機器や設備だけではない対応には、女性としての視点が大きなメリットになると塩谷さんは語っている。

特に犯罪の被害女性宅などの場合、相談員が男性というだけで案件がスムーズに進まないこともある。また、金銭目的以外の侵入犯罪に関しても、女性ならではの視点から、アドバイスできる点が強みにもなっている。
その提案は、カギや窓ガラスの対策強化にとどまらず、ゴミ出しや洗濯物の干し方などといったことにまで、きめ細かに対応していることが大きな安心感として受け止められているという。

女性の総合防犯設備士ならではの対応で、女性のお客様にも安心感を提供女性の総合防犯設備士ならではの対応で、
女性のお客様にも安心感を提供
(株式会社 横浜トータルセキュリティ Webサイトより)

10分間を守りぬくのが防犯の基本

神防設のパンフレットでは、「5分間で侵入できなければ7割近くがあきらめます」と、防犯に対する原則をうたっている。
そこで、カギのプロとして塩谷さんは、よりパーフェクトな状態を目指し、「防犯のキーワードは、10分間を守りぬくこと」として、犯罪者に狙わせないためには、しっかりした事前の防犯対策が重要であることを説いている。

この考えを広めるために、神防設の防犯セミナー実行委員会のメンバーとして、年に一度の防犯セミナーを開催し、住民への防犯意識を高めるための活動を行っている。総合防犯設備士になった年から取り組みを始め、今年で4回を数えることになった。
加えて、所属する防犯機器普及委員会では、セキュリティ機器の使い方や機種の選定などをアイテムごとにわかりやすく説明するといった活動も行っている。
対象者としてはマンションや自治会などの集合住宅が多いというが、考え方が個人宅や企業にまで広がっていくことを望んでの活動といえよう。

神奈川県は、法人会員を中心とした他の地域の設備士協会と違い、個人の正会員を中心とした協会になっている。防犯設備士の個人会員が正会員として活動しているのは全国33協会の中でも神奈川県のみだ。
その中で、防犯設備士の普及、拡大の働きかけとともに、防犯の啓蒙活動も含めた活動を行い、神奈川県の新しい街づくりに貢献していくことで、さらに知名度を上げていくことを考えているという。

5分で侵入できなければ、7割近くの犯罪が防止できる5分で侵入できなければ、7割近くの犯罪が防止できる
(神奈川県防犯設備士協会「防犯機器ガイドブック」より)

狙われない防犯対策のために、日々研鑽を積む

神奈川県防犯設備士協会 塩谷 信子さん

総合防犯設備士の資格を取得し、「防犯はカギだけではないということを知りました」と語る塩谷さんは、「お客さまのために複合的に現場を見ることができ、窓ガラスや防犯カメラのことなど、知識が広がっていったことが大きいですね」と、総合的な力の必要性を説く。
しかも、個人会員の多い神防設では、専門分野の会員へのサポート依頼や知識吸収のための助け合いがスムーズで、お客さまへの提案にも大いに役立っているという。

「日々が勉強」と語る塩谷さんが、総合防犯設備士の講習で学んだ中で心に刻んでいることがあるという。講師が語った、総合防犯設備士の心がけの中の「絶えざる研鑽」という言葉だ。
「資格を取得したからといって、日々の精進や勉強を忘れてはいけないということが、この言葉に通じると思います。犯罪の手口は年々変わっており、10年前に防犯設備士を取ったとしても10年前の防犯知識や犯罪知識が今の防犯に通じない可能性が大です。したがって、資格取得によって学んださまざまな範囲の知識を基に、『今がどうなのか』ということを自分なりに研究していかないと、総合防犯設備士とはいえないのではないかと思います」。 (終)

セキュリティ事情最前線 〜総合防犯設備士に聞く

【インタビュアー】西山 恵造(有限会社 センス・アンド・フォース 代表)
オーディオ・ビデオ機器、計測制御機器、コンピュータ周辺機器などを製造販売する電気機器メーカーの宣伝部にコピーライターとして勤務。計測制御機器やコンピュータ機器に関するパンフレット、広告等のコピーを制作する際に接した、産業機器関連に興味を持つ。1995年に独立後も、IT関連と産業機器関連のコピーおよび原稿制作等に関わりを持ち、2005〜2006年には「震災時帰宅支援マップ」(昭文社刊)の原稿制作にも携わる。セキュリティ分野では、ネットワークセキュリティと防犯のいずれにも携わっており、2007年からはセキュリティ雑誌への記事掲載も担当した。現在、防犯だけでなく防災にも興味を持ち、2008年に「防災士」と「防犯設備士」の資格を取得。

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