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連載コラム

<第12回>日本防犯設備協会制度事業部会と総合防犯設備士【日本防犯設備協会 武富正隆氏/平野富義氏】

[ 2010年1月20日 ]

社団法人 日本防犯設備協会
制度事業部会長 兼 総合防犯設備士委員会 委員長
総合防犯設備士 第01-0029号
武富 正隆

理事 兼 制度事業部会 防犯設備士委員会 委員長
総合防犯設備士 第02-0001号
平野 富義

制度事業部会は日本防犯設備協会の事業の要(かなめ)

日本防犯設備協会 武富 正隆 氏日本防犯設備協会 武富 正隆 氏

社団法人 日本防犯設備協会(以下、日防設)には4つの部会と、その下に18の委員会がある。武富氏と平野氏が所属する「制度事業部会」は、全国に約2万名いる防犯設備士及びその上位資格で、2009年12月末時点で284名の総合防犯設備士を支え、優良防犯機器(RBSS)の認定・普及・促進活動を展開している、日防設の事業の要の部会である。

制度事業部会は、防犯設備士委員会、総合防犯設備士委員会、BSSマーク制度委員会及び優良防犯機器委員会(略称 RBSS委員会)の4つの委員会と、これらの委員会を支える事務局で構成されている。その中で、防犯設備士委員会は、防犯設備等の設置に携わる者に対する養成講習、資格認定試験、防犯設備に関するテキスト類の執筆・編集などを担当しており、総合防犯設備士委員会は、総合防犯設備士の受験資格を満たした防犯設備士を対象にした受験セミナー、講習認定及び資格認定試験並びに総合防犯に関するガイドの執筆・編集などを担当している。

日本防犯設備協会 平野 富義 氏日本防犯設備協会 平野 富義 氏

RBSS委員会は、優良防犯機器を製造・販売または輸入販売している事業者から申請があった場合に、事業者としての資格審査と、RBSSマークを貼付できる優良な防犯機器であることを認定する事業を担当している。RBSS認定機器は協会のサイトでも紹介されている。
BSSマーク制度委員会は、全国に展開されている「防犯優良マンション認定制度」の基礎となる審査基準を作った委員会である。現在はマンション以外の新しい基準づくりを目指して準備中である。

制度事業部会の4つの委員会が行う事業によって、安全・安心なセキュリティを実現するための「人」「物」「施設」が完備されることになる。

日本防犯設備協会の部会・委員会組織日本防犯設備協会の部会・委員会組織

防犯優良マンション認定制度や優良防犯機器認定制度(RBSS)で、安全と秩序の維持に貢献

日防設の認定制度の中で、RBSSは徐々に普及が進んできており、現在防犯カメラとデジタルレコーダー(防犯用)を合わせて125機種が認定されている。市民の安全・安心のため、防犯機器に必要とされる機能と性能を審査し、基準に適合した機器を認定することで優良防犯機器の普及促進を図るといった当初の取り組みが広まっていった結果と考えられよう。

日防設のもう一つの認定制度が、BSSマーク制度委員会で推進している防犯上優れた施設の認定制度で、「防犯優良マンション認定制度」がそのひとつである。このほかにも、「駐車場」や「戸建て住宅」などの認定制度づくりも進められているようだ。
マンションや駐車場などの安全基準を作り、防犯にすぐれた施設を認定していこうというもので、保険会社によっては被害発生時の免責額が低くできたり、料率を下げることができる制度として期待されているという。
「これは非常にいい制度なので、全国的に運営していこうと警察関係の方からも言われ、取り組みを始めています」と、平野氏はその必要性の高さを訴える。

日防設では、一つでも多くの施設にRBSSロゴが貼付された防犯カメラやデジタルレコーダー(防犯用)を総合防犯設備士・防犯設備士が設計段階から関わって設置・運用し、地域住民の安全と秩序の維持に貢献できることを期待している。
なお、BSSマーク制度委員会で作成した審査基準がもとになった「防犯優良マンション認定制度」は、その後、日防設と財団法人全国防犯協会連合会、財団法人ベターリビングの公益3団体によって認定事業を行うことでスタートしたという経緯がある。
いずれにしても、防犯を考えるとき戸建て住宅はもちろんだが、マンションのような集合住宅が優良制度などによって認定されるということは、住民にとってこの上ない安心感につながる。しかも、集合住宅の画一的なセキュリティは犯罪者に狙われやすいため、一日も早い認定制度の普及が待たれるところだ。

防犯の専門家として、総合防犯設備士と防犯設備士を育成

防犯機器や設備、施設などの認定や運用を行ったり、導入のコンサルティングをするには、防犯設備士の力が大いに必要になる。しかし、総合防犯設備士と防犯設備士の現在の人数については、平野氏も武富氏も「さらなる拡充が必要です」と声を揃える。
中でも、総合防犯設備士の少なさは悩みの種で、全国に均等な分布を考えると1000人以上までの増員が必要と考えられる。

日防設では、総合防犯設備士の育成に当たって、そのガイドとなる「総合防犯」を編集・発行しており、これが総合防犯設備士の資格取得試験時のテキストになるとともに、資格取得後も座右の書として自主研鎮に役立つという。また、会員から要望の多かった講習も、平成24年から実施することが決議されている。
セキュリティのプロフェッショナルを育てるための仕組みが、急ピッチで整えられようとしており、多くの専門家が育っていくのもそう遠いことではなさそうだ。

総合防犯設備士の資格を取得するには、「総合防犯設備資格認定試験」を受けなければならない。その試験を受ける資格は、防犯設備士として3年以上の経験が必要となるが、今年その資格を満たす防犯設備士が約2000人になり、すでに受験資格を満たしている防犯設備士と合わせると6000人にものぼるという。

「先日、総合防犯設備士の受験資格を満たした2000名ほどの防犯設備士にアンケートを取ったところ、回答数4%のうち1/3ほどの方が、総合防犯設備士試験の受験を検討しているという結果が出ました」と武富氏は頬をゆるませる。現在の受験有資格者にこの数字を当てはめれば、約2000人ということになるからだが、そのためにもそのアンケートで寄せられた「勉強する機会やセミナーを増やして欲しい」という要望にも速やかにこたえていかなければならないという。

総合防犯設備士および防犯設備士の全国分布(警察管区別分布)総合防犯設備士および防犯設備士の全国分布(警察管区別分布)

総合防犯設備士・防犯設備士の拡充と資格の地位向上を目指して

消防を例に取ると、消防法によって火災報知設備や機器を扱うことのできる技術者を厳しく規定しているため、資格のない者が勝手に機器の設置や点検をすることはできない。
しかし、セキュリティシステムは法律の規定もなく、防犯設備士の資格がなくても、自由に設備機器を選んで設置できる状況にある。これが、不良品、工事不良、誤報多発を生みだし、不信、無駄な設備投資などを招く温床になっているという。

そこで、日防設ではRBSS製品の普及促進と防犯設備士による設計や工事品質の確保などを一体化して考えてもらえるよう、民間レベルのみならず、官公庁・自治体にも働きかける取り組みを行っている。

写真

機器や施設の認定制度が根底を支える重要なアイテムなら、それを活用する人材を広く育て、総合防犯設備士や防犯設備士の地位を向上させるのも大きな課題となってくる。
それと併せて、従来の総合防犯設備士や防犯設備士は、機器や設備の供給側のメンバーが多かったが、今後はセキュリティシステムを活用する店舗や施設側の利用者が資格を取得し、「自ら守る」を実践する時代になっていく可能性もある。 (終)

セキュリティ事情最前線 〜総合防犯設備士に聞く

【インタビュアー】西山 恵造(有限会社 センス・アンド・フォース 代表)
オーディオ・ビデオ機器、計測制御機器、コンピュータ周辺機器などを製造販売する電気機器メーカーの宣伝部にコピーライターとして勤務。計測制御機器やコンピュータ機器に関するパンフレット、広告等のコピーを制作する際に接した、産業機器関連に興味を持つ。1995年に独立後も、IT関連と産業機器関連のコピーおよび原稿制作等に関わりを持ち、2005〜2006年には「震災時帰宅支援マップ」(昭文社刊)の原稿制作にも携わる。セキュリティ分野では、ネットワークセキュリティと防犯のいずれにも携わっており、2007年からはセキュリティ雑誌への記事掲載も担当した。現在、防犯だけでなく防災にも興味を持ち、2008年に「防災士」と「防犯設備士」の資格を取得。

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