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連載コラム

<第11回>ハードとソフトの一体化で、「総合防犯」を提案する総合防犯設備士の会【総合防犯士会 武富正隆氏】

[ 2009年12月8日 ]

総合防犯士会
会長
総合防犯設備士 第01-0029号
武富 正隆 氏

総合防犯設備士の全国ネットとして設立された「総合防犯士会」

総合防犯士会 武富 正隆 氏総合防犯士会 武富 正隆 氏

総合防犯設備士や防犯設備士(以下「設備士等」という)は、社団法人日本防犯設備協会(以下、日防設)の制度事業によって誕生した資格者で、どちらかといえば個人資格の色合いが強いため、設備士等の連携や協会との連携が十分であるとはいい難い状況にあると、総合防犯士会会長の武富氏は語る。

活動を続けていく中でも、「資格取得後の研修や資格更新講習もほとんど実施されていないのが現状で、最新情報の共有や情報交換も十分とはいえない状況にあります」と、その現状を憂いていた。
このような思いを持っていたのは武富氏だけではなかったようで、その現状を打破・打開しようという志の士が集って設立されたのが、「総合防犯士会」だ。
会として、まず取り組んだのが総合防犯設備士の全国ネットの構築で、会員同士の連携や協会との橋渡しを行うことによって双方に意義のある資格者制度に育てていきたいという願いがあったという。

総合防犯士会設立では、連携や交流、情報交換にとどまることなく、安全で信頼できる防犯機器や防犯システムの情報提供などを通じて、情報セキュリティシステムや防犯対策を広く一般に普及させることを方針として掲げている。その活動により、公共の安全と秩序の維持を図るとともに、犯罪防止によって生活の安全に寄与できることこそが、この会の目的ということになる。
現在の会員数は、総合防犯設備士140名と1団体だ。

総合防犯士会の組織総合防犯士会の組織

連携強化のためにも、全国規模での展開と活動を目指す

現在、総合防犯設備士は全国に252名いるが、その大半が大都市圏に集中しているため、総合防犯設備士のいない県が全国に11県ある。総合防犯士会の会員も同じような分布になっており、「役員を警察管区ごとに最低1名、会員数の多い管区は複数名選出することにしていますが、残念ながら活動できる役員のいない管区も1つあります」と語る武富氏は、「全都道府県に最低5名の総合防犯設備士が誕生するように活動計画を立てている協会を支援し、総合防犯設備士の増強の第一歩である受験者増に向けて活動を開始することとしていますが、現在は組織整備、活動体制構築に向けて整備をしているところです」と、歯がゆさを残している様子だ。

警察や消防、行政などとの連携も積極的に図っていきたいと考えているという。
武富氏は、「特に、地方自治体への働きかけを活発にして、自治体条例に優良防犯機器の導入や防犯設備士等の知見・活用を盛り込んでいただくことで、地域の安全・安心に貢献していきたいと考えています」と語り、連携の重要性とともに、会の存在自体が防犯に果たす役割が大きいことを力説する。
今のところ、消防が担当する防災面は他の国家資格者が存在するため、総合防犯士会では主として防犯に絞って連携活動の提案をしていく方針を採っていくようだ。
その活動の根底にあるのは、起こる前に防ぐ「未然防止」に尽きるという。

未然防止の徹底で、安心の防犯提案を

「犯人検挙報奨金制度や、時効による逃げ得は絶対許さないという姿勢はもちろん必要とは思います。しかし、犯罪が発生してから時間と労力とお金を掛けて犯人を追いかけるようなやり方では犯罪被害者の悔しさは晴れないと思います」という武富氏は、犯罪の未然防止に知恵とお金を掛けるべきであると力説する。

特に、お年寄りや未成年者、女性など、犯罪に対して弱い立場の人たちに味方する緊急通報システムの導入、防犯照明による暗い夜道の解消、防犯カメラなど犯罪抑止装置の設置及びパトロールの強化など、犯罪の未然防止に人とお金をつぎ込む方が、国民の安全・安心と体感治安向上に効果があると思うと、武富氏は強く語る。

「基本は、『自分の身は自分で守る』につきると思いますが、防犯のプロでない人々にはどのようにすれば良いか分からないことが多いと思います。そのときこそ、私たち『防犯のプロ』の出番だと思っています。いかに費用対効果を考えて優良な防犯機器・システムを提案し、運用までも責任を持っていけるか、常に改良・改善を心がけ、脆弱性を見つけ出し手当てをしていくか、『防犯』は永遠の課題と認識しています。」

総合防犯士会会員 全国分布図

全国で活躍する、総合防犯士会のメンバー

総合防犯士会会員・総合防犯設備士 都道府県別分布一覧表

全国で活躍する、総合防犯士会のメンバー全国で活躍する、総合防犯士会のメンバー

会員増と防犯設備士資格の地位向上に努めるのが総合防犯士会の役割

全国で活躍する、総合防犯士会のメンバー

「犯罪は、セキュリティの対象としている阻害リスクの一つであり、防犯はセキュリティ対策の一部である」と、日防設の「総合防犯」ガイドブックにうたわれている。
すべての人が望む「安全で平和な生活」を、セキュリティ対策によって確保しようというのが防犯に携わる者の切実な想いであり、総合防犯設備士や総合防犯士会の役割でもあると武富氏は語る。

設立から1年を迎えようとする総合防犯士会では、防犯設備士等資格者制度の認知度向上も一つの務めであると認識しているという。
確かに、日防設が設立された当初、「設備士資格を国家資格にしたい」という願いがあり、国家資格者によって防犯を業態として広げて行こうという基本姿勢があった。しかし、規制緩和により国家資格への道が多少遠のいた感は否めない。

資格の魅力は多少低下したとはいうものの、もっと幅広く設備士等の知識・経験を活用できる制度や活躍の場があれば、その力を有効に生かせるはずだ。
「設備士等制度の認知度向上、普及促進、活躍の場の創出で、これから資格をとろうとする人を増やすとともに、資格を持っている人を積極的に活用して、国民の安全につなげていきたいというのが願いです」という武富氏。
防犯設備士等といっても、人それぞれに得手不得手がある。しかし、連携することでほとんどの仕事はこなせる力量は持っている。つまり、セキュリティの総合病院のような「総合防犯設備士事務所」が各地にできれば、すべての対策や対応が可能になる。そういった体制を目指すためにも、会員を500人以上には増やしたいとしている。 (終)

セキュリティ事情最前線 〜総合防犯設備士に聞く

【インタビュアー】西山 恵造(有限会社 センス・アンド・フォース 代表)
オーディオ・ビデオ機器、計測制御機器、コンピュータ周辺機器などを製造販売する電気機器メーカーの宣伝部にコピーライターとして勤務。計測制御機器やコンピュータ機器に関するパンフレット、広告等のコピーを制作する際に接した、産業機器関連に興味を持つ。1995年に独立後も、IT関連と産業機器関連のコピーおよび原稿制作等に関わりを持ち、2005〜2006年には「震災時帰宅支援マップ」(昭文社刊)の原稿制作にも携わる。セキュリティ分野では、ネットワークセキュリティと防犯のいずれにも携わっており、2007年からはセキュリティ雑誌への記事掲載も担当した。現在、防犯だけでなく防災にも興味を持ち、2008年に「防災士」と「防犯設備士」の資格を取得。

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