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連載コラム

<第4回> 的確なヒアリングと系統立てたセキュリティ提案で、信頼を獲得 【日本ビクター 新木健治氏】

[ 2009年4月15日 ]

日本ビクター株式会社
プロシステム事業部 国内マーケティング部 セキュリティグループ 主席
総合防犯設備士 第07-0205号
新木(にっき) 健治 氏


資格取得で、体系的にセキュリティ知識を習得

日本ビクター 新木 健治 氏日本ビクター 新木 健治 氏

日本ビクターは、ほぼ半世紀にわたって監視カメラを提供している、セキュリティ業界の老舗企業だ。当然、カメラに関するノウハウや知識は、業界でも有数の高いレベルで蓄積されている。しかし、セキュリティ提案をするにあたって、カメラの知識だけでは全体を俯瞰した提案ができないことを感じていたという。

「カメラの知識だけに頼ると、カメラが万能であるかのような提案をしてしまいます。しかし、それはまったくの間違いで、お客様の要望からはかけ離れた提案になってしまう可能性が高いのです。数ある防犯機器アイテムの中で、カメラができることを把握しようというのが、防犯設備士資格を取得するひとつの目的でもありました」と、新木氏は語る。

防犯設備士に挑戦した当時、セキュリティは学問として系統立っていないと感じていたというが、日本防犯設備協会のテキストで体系的に知識を習得できたことは、その後の同社の取り組みや、総合防犯設備士への挑戦にも好影響をもたらしたという。

資格の信頼感で、コンサルティングやアドバイスも的確に

防犯設計をする際に「警戒線」という考え方があり、セキュリティのひとつのセオリーになっている。この領域性を確保する考え方を基にお客様に説明することで、分かりやすさとともにシステム提案の理由付けがしやすくなったという。

それによって、カメラの画質提案が可能になり、システムのメリハリを付けることもできる。要求に合わせた提案に、アドバイスというスパイスを加えることができるようになったのも、大きな効果だろう。例としては、カメラが有効に稼働できるような進入経路を制限する造作変更なども、理論的に提案できるのが大きな強みで、お客様からの納得も得やすいという。受け身の姿勢から、よりアクティブな提案へのステップアップといえよう。

また、企画提案段階において、カメラの画角や解像度を決めるうえでも役立っているという。新木氏は、日本防犯設備協会の映像セキュリティ委員として、画角や画質、機能について年間を通じて研究活動を行っており、委員会の共同作業で場所によって異なる画角や画質、コマ数を系統立ててまとめあげている。

ネットワークカメラ+アナログカメラの混在システムで、ユーザー負荷を軽減

日本ビクターでは、セキュリティカメラとしてアナログカメラとネットワークカメラを市場投入している。現在は伸長がめざましいネットワークカメラを一押し商品としているが、売り上げはまだアナログカメラの方が多いという現状がある。今後は、フレキシブルでカメラとモニターの設置が自由にできるという特徴も併せ持っているネットワークカメラがさらに進展していくと、新木氏も見ている。

また、バイオメトリクス系の認証装置やPOSレジとの連動も図りやすいだけでなく、最近のメガピクセルタイプでは、メカレスのPTZカメラとして機能するなど、ネットワークカメラの発達には著しいものがある。
しかし、アナログカメラのユーザーが多い現状を考えると、ネットワークカメラへの一斉転換は難しい。現実的には、現在設置されているアナログカメラを生かしながら、徐々にネットワークカメラへと移行していくことになろう。

多層階システムにも対応できる、ネットワークカメラ+アナログカメラの混在システム例多層階システムにも対応できる、
ネットワークカメラ+アナログカメラの混在システム例

マスターサーバーPCで、複数システムを一元管理マスターサーバーPCで、
複数システムを一元管理


そこで同社では、ネットワークカメラとアナログカメラの両方に対応したエンコーダーや、最近脚光を浴びているハイブリットレコーダーなどを中心に、ユーザーが設置している現在のカメラをそのまま使った、ネットワークカメラ+アナログカメラの混在システムを提案している。無駄な廃棄の必要がなく、ユーザー負担も軽減できると歓迎されているという。

PCレス・オペレーションにより、ノータッチでの停電復旧を実現

新木氏

ネットワークカメラシステムは、通常PCでモニタリングするが、同社のシステムは「PCレス」を特徴にしており、PCなしでカメラとビューアーを直接つなぐことでシステム運用ができるようになっている。

その最大のメリットは、停電復旧時に停電以前のモードで動作を再開できることにある。つまり、停電前に録画状態なら、復電時には録画状態に戻って再度録画を開始できる。PCを利用したシステムでは、PCやソフトの再立ち上げが必要になり、この動作復活は困難だ。言い換えれば、ネットワークカメラでアナログVTRと同じ使い方を実現したことになる。

しかも、カメラビューワーに直接マウスをつないで、画面上で操作することもできるだけでなく、フロントボタンでカメラを選択したり、パン・チルト・ズームや録画のスタート/停止など、いままでのアナログタイプと同等の操作ができるので、セキュリティで必ず問題になる停電対策に大きな効果をもたらす機能といえよう。

PCレスで、ネットワークカメラ最大16台のモニタリングが可能 PCレスで、
ネットワークカメラ最大16台のモニタリングが可能

「停電対策だけではなく、セキュリティに関するコンサルティング要求は多いのですが、海外と違って国内には専門の機関が少ないため、私たち防犯設備士がコンサルティングの役割を果たしていくことになります」と語る新木氏は、犯罪を抑制し、より住みやすい社会にするために、カメラ設置を行政、地域、企業が一体となって、推進できるようにしていきたいとしている。 (終)

セキュリティ事情最前線 〜総合防犯設備士に聞く

【インタビュアー】西山 恵造(有限会社 センス・アンド・フォース 代表)
オーディオ・ビデオ機器、計測制御機器、コンピュータ周辺機器などを製造販売する電気機器メーカーの宣伝部にコピーライターとして勤務。計測制御機器やコンピュータ機器に関するパンフレット、広告等のコピーを制作する際に接した、産業機器関連に興味を持つ。1995年に独立後も、IT関連と産業機器関連のコピーおよび原稿制作等に関わりを持ち、2005〜2006年には「震災時帰宅支援マップ」(昭文社刊)の原稿制作にも携わる。セキュリティ分野では、ネットワークセキュリティと防犯のいずれにも携わっており、2007年からはセキュリティ雑誌への記事掲載も担当した。現在、防犯だけでなく防災にも興味を持ち、2008年に「防災士」と「防犯設備士」の資格を取得。

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