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連載コラム

<第6回>東京の安全・安心なまちづくりに貢献する防犯対策のプロ集団【東京都セキュリティ促進協力会 高尾祐之氏】

[ 2009年7月13日 ]

NPO法人 東京都セキュリティ促進協力会
防犯アドバイザー
総合防犯設備士 第08-0248号
高尾 祐之 氏

首都の安心・安全を担当するNPO法人

東京都セキュリティ促進協力会 高尾 祐之 氏東京都セキュリティ促進協力会 高尾 祐之 氏

現在、111会員が参画している東京都セキュリティ促進協力会(以下、東セ協)は、警視庁生活安全総務課の指導により発足して、9年になる。警視庁生活安全部委嘱の建物防犯協力員、財団法人東京防犯協会連合会より業務委託の東京防犯優良マンション・駐車場登録制度の調査および審査、各自治体より要請のある防犯診断、防犯機器の展示など、首都東京の地域安全活動に積極的に協力していくという主旨で活動しているNPO法人だ。

東セ協には2006年から参加しているという高尾氏は、防犯設備士委員として活動する中で、総合防犯設備士資格の取得を薦められ、2008年に資格取得している。東セ協の中では、広報渉外委員会と防犯設備士委員会に参加しており、活動の中心的な存在になっている。

また、SECURITY SHOWの「防犯相談コーナー」にも、2007年に続き2009年も防犯相談員として参加している。

東セ協と同様の団体は、全国各都道府県に32団体あり、防犯設備士協会として活動していることが多い。社団法人日本防犯設備協会(日防設)では、このような団体活動を通じて、全国を網羅することを目標としており、各都道府県で平均的に防犯設備士の設置を考えているという。その中で、各都道府県の団体は防犯設備士の資格取得者をどのように活用していくかを考え、より活動の具体化を目指していくとしており、地域ごとのネットワーク構築を目指す。

高尾氏は、2009年3月に立ち上げられた総合防犯士会にも参加しており、「この会の今後の動向に注目しており、会を利用したネットワークが確立できるのではないかと考えています」と語っている。

防犯対策の提案と学校110番非常通報システム

東セ協では、住まいの防犯対策として、「時間かせぎ」「目」「光・音」の3つの対策を提案している。東セ協全体としては、一般住宅や一般住民レベルの防犯活動が多いため、法人よりは一般の生活者レベルをターゲットに、自治会などを通じて戸建て住宅やマンションなどの防犯活動を推進している。

活動としては、各自治体などからの要請や要求に従ってセキュリティの提案を行い、当該対策に長けたメンバーを募って対策を練るのはもちろんのこと、機器やシステムの提案と販売・設置も行っている。

特に、メインの事業として現在推進を強化しているのが、「学校110番非常通報システム」だ。東京都にある私立・公立の中学校・小学校・幼稚園・保育園約6,000施設の中で、約2,000施設をターゲットに活動しているという。具体的には、銀行などとまったく同じシステムを導入することで、池田小学校事件のような犯罪から児童・生徒たちを守ろうという主旨である。東セ協では、これらの施設にシステムを納めるだけではなく、メンテナンスや運用管理のサポートも行っている。

ss_2009071301_02.jpg東京都セキュリティ促進協力会が提案する、3つの防犯対策

ss_2009071301_03.jpg学校110番通報の中央監視システム

防犯診断や優良マンション制度の調査員として活躍する防犯アドバイザー

「防犯アドバイザー」は、東セ協独自の認定資格であり、高尾氏も資格取得者である。資格取得は、防犯設備士や総合防犯設備士、または防犯の知識を持ち合わせた人を対象としている。現在は東セ協のメンバーであることも必要になる。

基本的な座学研修会を2回ほど行い、実地の研修を行った後、協力していただけるマンションで最終的な本試験をするというステップだが、資格取得にはそれなりの勉強が必要という。しかし、座学だけではないため、より実際の防犯診断を想定しており、資格に対する信頼度は各方面からも高いようだ。

東セ協では、総合防犯設備士と並び称されるほどに、より現場に近いオールラウンドの知識を身に付けた資格として認められることを目指しているという。

「防犯診断には、さまざまな制約があります。例えば、マンションの管理組合の予算の中でどの程度の防犯対策ができるかが重要になってきます。依頼者と物件とを見極めて、その機微を感じ取ることが重要で、防犯アドバイザーの腕の見せ所でもあります」と高尾氏も語っている。

また、防犯アドバイザーの一部は、防犯優良マンション制度の調査員・審査員としても活動している。しかし、防犯優良マンション制度は、検査基準も厳しいため、中古マンションでは基準を満たすことが難しい。そこで、個々の中古マンションに対して、どのような防犯対策が最適かを提案するための活動も行っている。防犯アドバイザーが防犯診断し、防犯対策提案を行っていくことで、診断と対策に一つのつながりを持たせれば、より安全・安心の防犯環境が構築できることになる。

ss_2009071301_04.jpg防犯アドバイザー 資格者証

システム導入が防犯の始まり

東京都セキュリティ促進協力会 高尾 祐之 氏2

高尾氏は、「防犯環境を作ることが重要です」と訴える。防犯意識を高くし、犯罪の起こりにくい環境を作ることが肝要ということだ。

防犯カメラや補助錠は防犯対策全体からみれば、一つのパーツであり、パーツの話だけをしていると「木を見て森を見ず」になってしまうと警告する。そのため、高尾氏はユーザーに対してまず始めに、防犯やセキュリティ全体の話をするように心がけているという。

その上で、「隙のない防犯システムが重要です。防犯はシステムを導入して終わりではなく、そこからがスタートで、日々の運用などを考えていくことが本来の防犯対策として求められるところです」と指摘する。

活動の中で、セキュリティへの認識が高いユーザーからは教わることも多く、育てられていると感じることがあるという。「ユーザー要求のどこに注目し、どのように防犯提案をしていくか。良いユーザーに助けられながら活動を続けています」と高尾氏は語る。 (終)

セキュリティ事情最前線 〜総合防犯設備士に聞く

【インタビュアー】西山 恵造(有限会社 センス・アンド・フォース 代表)
オーディオ・ビデオ機器、計測制御機器、コンピュータ周辺機器などを製造販売する電気機器メーカーの宣伝部にコピーライターとして勤務。計測制御機器やコンピュータ機器に関するパンフレット、広告等のコピーを制作する際に接した、産業機器関連に興味を持つ。1995年に独立後も、IT関連と産業機器関連のコピーおよび原稿制作等に関わりを持ち、2005〜2006年には「震災時帰宅支援マップ」(昭文社刊)の原稿制作にも携わる。セキュリティ分野では、ネットワークセキュリティと防犯のいずれにも携わっており、2007年からはセキュリティ雑誌への記事掲載も担当した。現在、防犯だけでなく防災にも興味を持ち、2008年に「防災士」と「防犯設備士」の資格を取得。

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