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連載コラム

<第8回>市民の安心・安全に寄与するのが総合防犯設備士の使命【TOA 三澤賢洋氏】

[ 2009年9月8日 ]

TOA株式会社
セキュリティ開発本部 プロダクトマネージャー
総合防犯設備士 第06-0181号
三澤 賢洋 氏

市民の安全・安心に寄与するのが、総合防犯設備士の使命

TOA 三澤 賢洋氏TOA 三澤 賢洋氏

防犯にはさまざまな方法があり、総合防犯設備士講習で学んだことをベースに、業務だけでなく個人としても防犯に関することを分析、評価、提案しているという三澤氏は、「総合防犯設備士は自分の得意分野を軸に他の分野も勉強して、日本の安全・安心に寄与するのが使命だ」という考えを持っている。社団法人日本防犯設備協会の前・映像セキュリティ委員会委員長で、現在は優良防犯機器(RBSS)委員会副委員長を務めている。
「総合防犯設備士は、防犯に対して全能であれ」という講習の教えを基に、得意分野以外の総合防犯設備士との協力も実践し、色々な方面から防犯映像技術についての相談も多いという。

その三澤氏は、国内で防犯を体系的に考えて教育している場が、ほとんど存在していないことに疑問を持っている。
総合防犯設備士や防犯設備士講習のカリキュラムにはさまざまな情報が含まれており、防犯を体系的に学習できるが、その後専門的に学習できる場がないことも事実だ。
「アメリカにはASIS(※)が実施するセミナーがあり、基本から色々な分野の応用まで、体系的な情報提供を行っている。そのような仕組みが日本にも育つことを望みます」と三澤氏は語っている。

ASISインターナショナルは、米国を中心に世界で37,000人以上の会員を持つ世界最大のセキュリティ団体。毎年秋に米国において4日間で100以上のセミナーを中心としたイベントを開催している。本部は米国バージニア州。

エリアの安全を増やす防犯カメラシステムを提案

防犯意識の高まりとともに、最近は防犯カメラで「見守りたい」といった住民の意識も増えている。三澤氏は、防犯カメラの設置提案をする際に「防犯カメラは住民の一員である」という説明を行っているという。

防犯では、エリアを安全・安心にしていくための設計手法の一つとして、犯罪者が入りにくい環境を作るという考え方がある。環境によって犯罪を防止する防犯環境設計は、アメリカでスタートし、イギリスでも同様の対応が取られている、いわばセキュリティの国際標準だ。
国内でも総合防犯設備士の講習で取り上げるように、防犯には「領域性の確保」「監視性の確保」「接近の制御」「対象物の強化」の、4つの要素がある。その中で「監視性の確保」が防犯カメラの主な役割である。防犯環境設計は防犯カメラだけでは成り立たない。しっかりした防犯カメラシステム設計とともに、ほかの防犯設備や防犯体制などと連携する必要がある。

その防犯カメラシステムの設計については、4つのステップとして「防犯カメラ設置場所の選定」「防犯カメラの選定」「設置目的と画角の選定」「デジタルレコーダの選定」を、日本防犯設備協会がガイドしている。
特に対象となるエリア全体を守るために、どこに住民の目の代わりとなる防犯カメラを設置するかが重要で、防犯基準やエリアでの脆弱性を考慮して配置設置するのが、総合防犯設備士や防犯設備士の職務になるという。

優良防犯機器認定制度(RBSS)

優良防犯機器認定制度(RBSS)

TOA 三澤 賢洋氏

日本防犯設備協会では、平成20年10月から優良防犯機器認定制度(RBSS)を実施している。市民の安全・安心のために、防犯機器に必要とされる機能と性能の基準を策定し、基準に適合した機器をRBSS機器と認定することで、優良機器の普及促進を図る取り組みだ。

現在は、カメラとデジタルレコーダーについて認定を進めており、認定機器は間もなく100機種を超えようとしている。これは国内のカメラシステムの大半であると想定されており、大いなる躍進と見られる。
三澤氏はRBSS委員会の副委員長として、「防犯カメラシステム設計の『防犯カメラの選定』『デジタルレコーダの選定』は、RBSS機器を使うことで実現できる」と語り、制度をさらに普及させていきたいと考えている。
RBSS認定には、日本国内でのメンテナンス体制や部品の供給保証が求められている。これらをクリアできれば海外製品でも取得が可能で、今後は国内メーカーとともに海外メーカー商品でもRBSS認定を申請するものが増えてくると考えられている。

暗さに強いカメラと画角設計を手助けする画角シミュレーションソフト

日本の場合、屋外街路の照度基準(水平面照度3ルクス)が平成12年に作られていた。カメラメーカーはその基準での撮影を可能にするため、最低被写体照度0.5ルクスでもカラー撮影できる、世界でも最高水準の暗さに強いカメラを競争で開発し、TOAもその先頭にいると三澤氏は語る。そのレベルは、"人間の目以上に見えるカメラ"といわれるほどだ。
最近は、昼はカラー撮影し、夜は感度の高い白黒撮影を行うデイナイト型や、赤外LED照明を搭載した機種も発売している。

屋外赤外デイナイトカメラ「C-CV450R-3」屋外赤外デイナイトカメラ「C-CV450R-3」

カメラの設置には照度だけではなく、特に重要な撮影画角の問題がある。画角C(バストショット)で撮影すれば「人相の認識」、画角B(全身ショット)で撮影すれば人物の特定が可能であると、日本防犯設備協会がガイドしている。しかし、どのカメラにどのレンズを組み合わせて使えればよいかを計算するのはなかなか難しい。
TOAでは、カメラの画角シミュレーションソフトを自社サイトにて無償で提供している(http://www.toa-products.com/)。焦点距離を入力するだけで対応する画角を確認できるため、TOA製以外の製品でも利用が可能だ。

画角シミュレーションソフト画角シミュレーションソフト

このソフトを使うと、あるカメラとレンズを組み合わせた場合に、どの程度の距離でどのように撮影できるかをシミュレーションできる。画面上で簡単に画角を確認することができるので、利便性が高く説得力も十分だ。 (終)

セキュリティ事情最前線 〜総合防犯設備士に聞く

【インタビュアー】西山 恵造(有限会社 センス・アンド・フォース 代表)
オーディオ・ビデオ機器、計測制御機器、コンピュータ周辺機器などを製造販売する電気機器メーカーの宣伝部にコピーライターとして勤務。計測制御機器やコンピュータ機器に関するパンフレット、広告等のコピーを制作する際に接した、産業機器関連に興味を持つ。1995年に独立後も、IT関連と産業機器関連のコピーおよび原稿制作等に関わりを持ち、2005〜2006年には「震災時帰宅支援マップ」(昭文社刊)の原稿制作にも携わる。セキュリティ分野では、ネットワークセキュリティと防犯のいずれにも携わっており、2007年からはセキュリティ雑誌への記事掲載も担当した。現在、防犯だけでなく防災にも興味を持ち、2008年に「防災士」と「防犯設備士」の資格を取得。

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