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連載コラム

セキュリティで培ったノウハウを活用し、介護や見守りシステムに展開 【アイホン株式会社】

[ 2010年12月10日 ]

アイホン株式会社
営業本部 販売促進部
部長代理
鶴見 育久

ナースコールが見守りシステムの原点

 インターホンの専業メーカーとして63年の歴史を持つアイホンは、業務用機器からテレビドアホンなどのホームユース製品まで幅広く展開している。インターホンは室内連絡用として発展したもので、当初はオフィスや工場などで使われる、内線と放送用の設備だった。そのため最初に導入されたのは旅館で、厨房と帳場をつないで接客の打ち合わせなどに使われるものだったという。

 その後、その有用性はナースコールという形で花開くことになる。「ナースコールにインターホンを応用することで、患者さんが手放しで話すことができるようになり、病院内の業務用という市場を形成するまでに成長しました」と鶴見氏は語る。数ある病室とそれを統括するナースステーションを、ナースコール子機とステーションの親機でつなぐ「親子式」という仕組みは、今でも基本が受け継がれている。このナースコールのシステムがベースになり、エントランスから部屋の住人を呼ぶという住宅用のインターホンシステムに発展している。さらに、そのナースコールと住宅用インターホンの合わせ技で開発したのが見守りシステムということになる。

アイホン 営業本部 販売促進部 部長代理 鶴見 育久 氏
アイホン 営業本部 販売促進部 部長代理 鶴見 育久 氏

4つの事業がすべてセキュリティに結びつく展開

 アイホンでは、住宅関連である戸建て用のテレビドアホンと、マンション集合住宅のオートロックシステムをはじめ、ケア関連製品、オフィスや工場・プラント向けの業務用セキュリティ製品という4つの市場をターゲットに事業展開している。ケア関連のカテゴリーでは、高齢者向け施設が増えてきたことから、ナースコールを応用した製品の導入が増大し、導入先には病院だけではなく高齢者の福祉住宅も含まれているという。同社の製品といえばインターホンというイメージになりがちだが、現在展開している4つの事業は、そのすべてがセキュリティ関連に結びついているといえよう。

 いずれのカテゴリーの製品も、カメラ映像と音声の組み合わせや携帯電話との連動が当たり前のようになっており、高齢者向けや業務向け製品にも応用されているという。また、「セキュリティ上、対象の人間を正面から堂々と撮れるのはインターホンだけですから、住宅系の製品でも録画機能が標準装備されるようになってきており、犯人検挙につながるケースも多く見受けられるようになりました」と鶴見氏が語るように、防犯カメラや監視カメラと比べて人物の特定がしやすく、防犯上の大きなメリットになっている。さらに、カメラ映像がカラー化されただけではなく、液晶画面のデジタル画像になったことで視認性が向上。また画像データのコンパクト化が可能になったことが追い風となって一般的なテレビドアホンでは録画機能付きが当たり前の機能になってきているという。

テレビドアホンで、エリアごとの不審者、侵入者から家庭をガードテレビドアホンで、エリアごとの不審者、侵入者から家庭をガード

防犯とケアの技術を生かした、高齢者向けの見守りシステム

 ケア関連製品の中で、SECURITY SHOW 2010でも紹介されていた「FAGUS」は、同社が今最も注力している分野だ。防犯の技術とケアのマインドが融合されて完成したシリーズだが、鶴見氏はその開発にあたって、「考え方そのものはそれほど難しくはなかったのですが、防犯とケア関連はそれぞれ別の道を歩んできたために、どちらをベースに設計するかが当初の課題でした」と当時を振り返る。結果として、「緊急呼出」システムの応用として最初の見守りシステムはナースコールベースになっている。しかし、ナースコールはオープンな同一フロアを管理するのが主目的で、集合住宅のように専有部分や上下階までを管理するシステムではなかったため、それを補う目的でマンション系の製品をベースにナースコールのシステムを加えたコンセプトの製品に変更しているという。

 システムが完成して導入される一方で、「見守りに際しては、異常事態が発生した時にいかに素早く駆けつけてあげられるかが一番重要だと思っています」との鶴見氏の言葉通り、現在同社では見守りと駆けつけに対応できる事業者との連係も数多くの事例があるという。更にこれからは集合住宅に限らず、戸建て住宅で何か異常が発生したときに携帯電話などで指示を送るというシステム(ネットワークインターホン)と、駆けつけサービス会社とのコラボレーションの拡大なども将来構想に入っているようだ。

シニアライフをサポートする高齢者向け集合住宅システム「FAGUS」のシステム構成シニアライフをサポートする高齢者向け集合住宅システム「FAGUS」のシステム構成

SECURITY SHOWへの取り組み

 例年出展しているSECURITY SHOWに対しては、「出展製品を見ていただき、使い勝手の良し悪しの意見を聞くのもひとつの目的ですが、さまざまな端末や商材を加味することで、異なる使い方を探ることができるなど、その効果は大きいと思っています。また、見守りや防犯だけではなく、防災用の商材としての有用性も確認していきたい」という考えがあるという。

 また同社が昨年初めてSECURITY SHOWに出展したビジネス向けインターホンは、大規模インターホンシステムをアクセスコントロールと一緒に販売していくという目的もあったため、「ICカード関連のユーザーにも来場していただければ、さらに効果が上がると考えていた」という。そのため、東ホールでの開催となりIC CARD WORLDとの隣接が7年ぶりに実現する2011年の展示会は大いに期待できるのではと語っている。

SECURITY SHOW 2010でも展示されていた「FAGUS」
SECURITY SHOW 2010でも展示されていた「FAGUS」

セキュリティ事情最前線 ~連係、展開、快適に向かうセキュリティ

【インタビュアー】西山 恵造(有限会社 センス・アンド・フォース 代表)
オーディオ・ビデオ機器、計測制御機器、コンピュータ周辺機器などを製造販売する電気機器メーカーの宣伝部にコピーライターとして勤務。計測制御機器やコンピュータ機器に関するパンフレット、広告等のコピーを制作する際に接した、産業機器関連に興味を持つ。1995年に独立後も、IT関連と産業機器関連のコピーおよび原稿制作等に関わりを持ち、2005〜2006年には「震災時帰宅支援マップ」(昭文社刊)の原稿制作にも携わる。セキュリティ分野では、ネットワークセキュリティと防犯のいずれにも携わっており、2007年からはセキュリティ雑誌への記事掲載も担当した。現在、防犯だけでなく防災にも興味を持ち、2008年に「防災士」と「防犯設備士」の資格を取得。

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