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連載コラム

第1回「これが百均?」なサプライズショップが続々!

[ 2004年1月1日 ]

●百均利用のインテリア、ブレイク中!
 今や、すっかり定着した百円均一(いわゆる「百均」)だが、最近では百均の商品をインテリアのパーツとして利用することがブームになっている。書店のインテリアのコーナーには、「百円でつくる収納」「百均ですてきなお部屋つくり」といったタイトルの特集を組んでいる雑誌が驚くほどたくさん並んでいる。

 しかし、今までは百均の商品といえば、安っぽいプラスチック製が多く、色もいかにもチープ感ただようものだった(おしゃれにしようと試みてスケルトンにしたり、パステル調にしたりしてもチープさはぬぐえず)。インテリアに利用するとしても、そのチープさを逆手にとってポップに演出するしかなかった。

 ところが、ここにきて様子が変わってきた。『プラスワンリビング』『私の部屋』『わたしのカントリー』だのといったインテリア雑誌に載っているような、シンプルかつハイセンスな商品を取り揃えた百均が続々と増えているのだ。そして、そういう店は、商品にふさわしい店づくりをしており、一見百均とは思えないたたずまいを見せている。

 


●ニュータウンを彩るおしゃれな家は百均コーディネイト?

 たとえば、2003年11月末にオープンした八王子市みなみ野の「三和みなみ野店」では、レジ近くの一等地に、白木やクラフトを中心としたおしゃれな雑貨を扱う店が入っている。無機質で雑然としたスーパーの一角でそこだけが別世界のような造りで、商品の陳列棚も商品に合わせて白木やダークブラウン、スチールと使い分けてあり、ダークブラウンの棚は「和」のコーナーとして、和風のインテリアグッズ、雑貨、食器などが並ぶ。もちろん、「和風」といっても年寄りくさいものではなく、今風のおしゃれ感のある「和風」だ。白木の棚には「はいせんす絵本」に載ってそうなポップな食器、クラフト紙を利用したボックス、白木造りの小物、雑貨、キッチュなびんや缶など代官山などの雑貨屋を思わせるたたずまいだ。

 しかし、ふと天井を見あげると「The DAISO」の文字が。そう。百均の大手・ダイソーの店舗なのである。一見、おしゃれな雑貨屋と見まごう一角だが、その正体はなんと「ダイソー」! これには驚いた。よく探索するとダイソーらしい商品をダイソーらしいレイアウトで陳列している一角もあるのだが、そこは、正面からは目につかないようになっている。店舗入口やレジ側から見れば、どう見てもおっしゃれーな雑貨屋である。この界隈にはインテリア誌から抜け出してきたようなすてきな家が建ち並んでいるのだが、おそらくそれらの家のインテリアにはこのダイソーが一役買っているに違いない。


●関東上陸した「ナチュラルキッチン」が旋風を巻き起こす

 いや、驚くのはまだ早かった。吉祥寺にある「ナチュラルキッチン」(通称「ナチュキチ」)は大阪発祥のおしゃれな百均。吉祥寺店は東京進出の1号店だが、決して広くない店内は平日の昼間でも大混雑という盛況ぶりだ。とてもわかりにくい路地に面しているところも、都心の雑貨屋らしさを演出しており、表から見るとどこにも「百円」の表示はない。店の外観からまさかここが百均だとはだれも思わないに違いない。かつておしゃれな雑貨屋の代名詞である「キャトル・セゾン」「F.O.B.COOP」、古くは「クロワッサンの店」などの雰囲気がそっくりそこにあるのだ。

 店内に入ると左側が、いわゆる洋風のシンプルでセンスのよい商品のコーナー。白木、タイル、陶器、ワイヤー、ガラスなどを使ったかわいい商品が並んでいる。フォトフレームや食器、またアロマオイルなどのいやし系グッズもおしゃれなびん入りのものが揃っている。コンクリートの感じをあえて残した壁に、棚はすべてナチュラルな木造り。カントリー調のお家にお邪魔しているような雰囲気である。

 店内右側は和風とアジアンテイストの商品が並ぶ。一つひとつの商品を見れば、案外チープなものもあるのだが、トータルコーディネイトされているとそうは感じられない。アジアンコーナーにはサイパンやグアムのみやげ物屋では数十円で買えるような小物、器もあるが、この店の中で見るとなかなかの味わいだ。陶器、ガラス商品を買うと、新聞紙でくるんでくれるがその新聞もしっかり英字新聞。たかが百円なのにどこまでもおしゃれな店なのである。


●一点豪華よりもトータルコーディネイト

 レジに並ぶ人たちを見ると、大体どの人も2000円程度は買い物をしている。単品で買えば「しょせん百均」に見えてしまうものも、コーディネイトしてしまえばそれなりの雰囲気が出せる。インテリア雑誌やお気に入りのカフェみたいなインテリアに自分の部屋をしたくても、高い雑貨はそうそう買えない。でも、部屋をコーディネイトするには数を買わなきゃ意味がない。だったら有名店で高いカフェオレカップを1個買うよりも、ナチュキチでランチョンマットからカップ、ソーサー、カトラリ、キャンドル、スパイス入れ、シュガーポット、お菓子皿などぜーんぶを揃えたほうが、なんとあこがれのカフェスタイルに近づけることか。

 現にナチュキチでは店のあちこちにガラス張りの宝石店のようなショーケースがあり、ケース内には店内の商品を使ったテーブルコーディネイトが展示されている。大体総額2000円以下程度の組み合わせだが、そのまま雑誌に掲載してもおかしくない見事なコーディネイトなのだ。これは女性のハートをわしづかみにする。「私の部屋もこんな風にすれば」と夢見るのも不思議はない。だって、同じものが2000円そこそこで買えるのだから。

 たしかに、品質に差はあるのかもしれない。しかし、高級感を求めるには寒い状態が続いている日本経済である。それでも、女性たちは高級感はあきらめられても、おしゃれ感はあきらめきれない。そのバランス感覚に限りなくマッチしているのが、この「おしゃれな百均」なのではないか。ナチュキチは、吉祥寺に続いて横浜の青葉台に関東2号店をオープンした。この勢いは当分止まりそうもない。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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