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連載コラム

第30回「オンナのコからおばさんまで、みんなが大好き! 「雑貨屋」の吸引力はどこからくるの?」

[ 2006年6月9日 ]

●こんなにある! My favorite 雑貨屋!
 「今回のテーマは雑貨屋にしよう!」と、いつものミーティングで決まるやいなや、キャリア・マム会員にアンケートをとってみた。
 「おすすめの雑貨屋をおしえて?」という問いかけへの回答の多いこと、多いこと! 今まで、ショッピングスポットや人気エリアなど様々な情報を寄せてくれたキャリア・マム会員たちだが、ここまでたくさんの情報が集まったのは初めてじゃないか? つまり、それだけ「雑貨屋」は女性にとって身近であり、それも全国津々浦々にある! ということを再認識したのだった。

 今回は、このアンケートにあがった「みんなのおすすめ雑貨屋」を、ずずずいっと紹介することから始めようと思う。
 まずはポピュラーなところから「Passport」(ショッピングセンターによく入っている。お手軽、気軽にカワイイものが買えるお店。1,000円くらいで、かわいい部屋着なんかもある!)、「マザーガーデン&マザーグースの森」(かわいいんだよね〜。遠くから見ても「あ、マザーグースだ!」ってわかるような商品がたくさんある。未就学児の女の子は、だーい好きなお店)、「ボザール」(マザーグースじゃ恥ずかしいってお年ごろになると、ここのモノトーングッズにひかれるようになる。オシャレなイメージのわりには、値段が手ごろなのもいい!)、「ヴィレッジヴァンガード」(もともとは古本屋だったはず? だが、おもちゃ箱をひっくり返したような煩雑さが魅力の、ザ・雑貨屋! ユニークなPOP広告も人気)など、おなじみの名前が続々。

 さらに、もうちょっとオシャレ感の高い店では「アフタヌーンティー」(おしゃれでセンスのいい雑貨がいっぱい! ハンドソープの泡立ちがよい!)、「キャトル・セゾン」(雑貨好きには聖地のようなお店。フランスの生活用品を揃えていて、商品もディスプレイもほんとにステキ!)、「無印良品」(無印だけあってリーズナブルなお値段だが、シンプルで洗練されたデザインは秀逸。長い間使っても飽きがこない)、「L.B.C」(自然に優しい生活雑貨とウェアを扱っている。リネン類も充実!)などなど。
 さらにちょっと変わり種では「竹虎」(高知県にある竹細工専門店)、「雑貨商・紅や」(髪飾りや足袋、アンティークの着物などを扱っている。お香コーナーも充実している)、「karako」(アジアン+和の雰囲気あふれる雑貨屋)なんてのもあった。
 これでも、まだまだ取り上げきれてない! ほんとに情報多すぎ! しかも雑貨となると、なぜか「興味なし」って人が少ない。「食べ物屋」や「ファッション」「化粧品」だと詳しい人は詳しいが、からきしダメという人もいるもんだが、雑貨ってほんとに万人にヒットする感じがする。
 「雑貨」の持つ、この力ってなんなんだろう? というわけで今回は、未就学児からおばさんまで、幅広い層の女性にとって切っても切れない存在となった雑貨屋の魅力を探ってみることにした。


●インテリア雑貨店の王道「Francfranc(フランフラン)」に充満する“幸せ”感の正体は?

 さて、雑貨屋探検をしてみようと思い立って一番初めに行ってみたのが、南町田グランベリーモールにある「Francfranc(フランフラン)」だ。ここは今やインテリア雑貨店の代名詞的存在とも言えるだろう。わが多摩ニュータウンにも南大沢のラ・フェットにあり、お正月ともなればここの福袋を持った人であふれてる!
 そんな「Francfranc」の南町田グランベリーモール店は・・・かっこよかったわ〜、おしゃれだったわ〜。メイン通路からの入口に面したスペースには「Francfranc」の家具、グッズでコーディネートされたベッドルームがディスプレイされている。黄色と黄緑を基調にしたブラジリアンな色合いは、なんとなくサッカーのワールドカップをイメージさせる。こんなオシャレな部屋で恋人同士、ビールを飲みながらサッカー観戦なんてよくない? そんなイメージが沸きまくる(妄想とも言える)ディスプレイだ。

 店内に進んで行くと右手は一段高くなっており、食器や文具、奥に行くとタオルやリネン類などが陳列されている。店内のメイン通路の左手は、バス用品やリラクゼーショングッズなど「癒し系商品」のコーナーだ。
 そして、さらに奥に行くと、かなり広いスペースをさいて家具が展示されている。カジュアルスタイリッシュな「Francfranc」の家具が並ぶ空間は、訪れる人に夢を見させてくれる。私もなんだか「このベッドを部屋に置いて、足元にこのテーブルを置けば・・・」なんて夢を描いてしまったが、ふと周りを見渡すと家具を見ているのは、みんなカップルなのだ! しかも、若い! 多分、まだ結婚はしてないだろうなという年齢層のカップルだらけだった。明らかに夫婦で、子どもがいそうなカップルも中にはいたが、こういうところで見るカップルは、もれなく「仲よさそう」に見えるから腹が立つ。いや、怒らなくてもいいんだけどね、なんていうのか羨ましいのだ。

 たしかになあ、雑貨屋にカップルで行く人は多いだろうが、小物なら2人して「かわいー! おもしろーい!」と言っていられるが、家具はちょっと違う。話しているうちにどうしても生活感が出てきてしまう。未婚の2人にも「結婚」の匂いがしてきてしまう。それに耐えられない関係だったら、一緒に家具は見ないだろう。夫婦だってそうだ。家具を前にすれば、生活感の差が顕著になる。そこで、もめることがわかっているような夫婦なら一緒に家具は見ない。より権力をもっているほうが発注して実力行使あるのみだ。

 

 「Francfranc」の家具コーナーには、思いがけないほどの幸せ感が漂っていたが、それはそこが「(まだ)愛に満ちた人々」が集っている空間だからではないかと思われる。そして、おそらくこれだけ広いスペースをさいていても、家具である。そんなにどんどん売れるものではないと推測される。「Francfranc」に吸い込まれている大量のお客が、実際に購入しているものを見れば、バスオイルだの、ハンドタオルだの、ちょっとオシャレなマグカップだのといった小物がほとんどだ。客単価は決して高くないだろう。
 だけど、みんなほんの少しの出費で、自分の日常生活を心地よくできそうなモノを手に入れて、ほんわか幸せそうだ。小さな買い物でも「Francfranc」の袋に入れてもらって、いい気分になる。さっきまで家具コーナーで夢を語っていたカップルだって、やはり買って帰るのは歯ブラシだったりするのだ。「ステキな夢を見て、ささやかな心地よさを買って帰る」・・・南町田の「Francfranc」はそんな店のように思えた。

 夢を見るだけで、なんにも買えるものがない(高級ブランドショップなどはそうだろう)のはつまらない。現実的な商品ばかりじゃ楽しくない。だから人は、雑貨屋に行くのではないか。
 南町田グランベリーモールには「Francfranc」の隣に「コムサイズム」もあり、ここでも雑貨を扱っている。こちらもオシャレな商品が多かったが、「Francfranc」といい「コムサイズム」といい、本当にシンプルなものが多い。シンプルゆえに上質感があるし、使っていても飽きがこないのはわかる、わかるが“楽しい!”“おもしろい!”という商品は少ないような気がした。

 また、客層としてもシンプル路線だと、やや年齢が上がる傾向はあるようだ。
 中高校生だと「Francfranc」や「コムサ」にあこがれてはいても、実際に買い物する雑貨屋は「サンルージュ」や「ブルドッグ」だったりするもんね。地域のショッピングセンターなどによく入っている、これらの雑貨屋はお値段も手ごろだし、若い子の流行をうまくとらえている。「センスがいい!」ものばかりでなく、ときには「悪趣味」に思えるようなものも、「流行モン」なら置くというフレキシビリティがこの手の雑貨屋の真骨頂だから、豹柄もあればハイビスカス柄もある、スーパールーズソックスも売っているし、冬場には安っぽいフェークファーの小物もたくさんある。くまプーもアンパンマンもいる!
 このごった煮感は、シンプル&おしゃれ系雑貨屋とは明らかに違っているが、そこを通過してこそ、「Francfranc」や「コムサ」にたどりつく、とも言えるだろう。だって、「サンルージュ」や「ブルドッグ」体験しないような女の子だったら、成長しても雑貨にお金なんか使わないものね!


●狭い通路が賑やかさを盛り上げる「George's(ジョージズ)」人気のヒミツ!

 そこで、キャリア・マムの地元・多摩センターに戻って「George's(ジョージズ)」に行ってみた。
 「ジョージズ」は国立駅前にも大きな店舗があり、先月取り上げたケヤキモールにも入っていた。多摩地区では、なかなか根強い人気のある雑貨屋だ。多摩センターにも比較的最近、出店してきたが、かなり人気を集めているらしいと聞いていた。
 多摩センターの「ジョージズ」は店舗面積が広くない。それゆえにちょっと窮屈な感じは否めないが、そこが雑貨屋的な雰囲気をより盛り上げているような感じもある。

 「ジョージズ」も「Francfranc」同様、家具も扱っているが、多摩センターにはほとんど置いてない。置いてあってもデスクやチェアが単品で置いてあるだけで、部屋のコーディネートを提案するまでには至ってない。しかし、この「ジョージズ」の家具は、なかなかいい。シンプルな中にも遊び心があり、値段もリーズナブルだ。
 スペースがないからだろうが、多摩センター店では素っ気なく置いてあるのも、かえって気軽に買える感じで悪くない。先月行った、ケヤキモールの「ジョージズ」はもっとスペースが広かったはずだが、やはり似たようなごちゃごちゃ感はあった。どうも雑貨屋は通路も狭め、店もそれほど広くないくらいのほうが、賑やかでワクワクさせるという効果があるのではないかと思う。
 またジョージズでは、家具はシンプルなものが多いが、小物はちょっと派手めな原色のものなども目につく。(キッズコーナーなどはかなりカラフル!)タオルやリネン、食器類もかわいい柄モノ、ポップなストライプやドット柄など、見ていて楽しいものが多い。こういうちょいムダに派手めな商品が紛れているのも雑貨屋の楽しさを倍増しているように思える。
 ここは、言ってみれば、「サンルージュ」と「Francfranc」のちょうど中間地点、そんなポジショニングの雑貨屋と言えそうだ。

 

 派手な雑貨は見るのは楽しいが、いざ家に買って帰って使うとなると、やはりシンプルなもの、に落ち着くのが日本人だとしたら、雑貨屋はどこもシンプル一辺倒になってしまう。オシャレには違いないがそれではつまらない。必要なときには足を運ぶとしても、ふらっと頻繁にのぞいてみようという気にはなれないだろう。
 だから、あえて狭めの通路や広すぎないスペースで、あれこれ見て回る探検のような楽しさを演出しているのが雑貨屋なのではないだろうか。そういえば、スーパーや100円均一の店などにはあるコーナー表示(天井から下がっている「バス用品」「食品」などの表示)が雑貨屋にはない。目的の物の売り場に一目散、という動き方をお客にさせない、またお客もたいていの場合は、そう動かないのが雑貨屋なのだろう。
 迷路に迷い込んだみたいにウロウロとお目当てのモノを探す、目的はないけど歩き回る、それが雑貨屋での正しい買い物の仕方なのだ。


●生まれたときから、サンリオ世代の私たちにとっての「雑貨」!

 今回、何軒かの雑貨屋を見て回っても、私は結局何も買わなかった。買い始めればキリがなくなるのがわかっているから、とりあえず今はパス、と決めているのだ。だけど、もう少しゆとりのある生活ができるようになったら、やはりこういう店で楽しんで買い物したいな、と思う。私のような実際には雑貨屋で買い物はしないという人間でも寄りたくなる、受け入れてくれるキャパの広さが雑貨屋人気のゆえんかもしれない。

 そういえば橋本にある、輸入バラエティ雑貨の「Sweet Georgia Brown」も、通りかかれば思わずのぞいてみたくなる店の一つだ。ポップで、お茶目な商品が並ぶ輸入雑貨屋は、店全体がカラフルで派手でかわいいし、見ているだけでも楽しくなる!
 実は、そういう意味でも今回の雑貨屋探検でいちばんワクワクさせてくれたモノは、某輸入雑貨屋で見つけた「ジョーロ型のバッグ」! なんとも実用性はないのだが、だからこそ「雑貨」だ〜と思うのだ。

 思えば、今のママたち世代は物心ついたときからサンリオ製品に囲まれて育ってきた。普通のノートじゃなくて、「パティ&ジミー」や「キキララ」がついてるノートがいいのっ! とダダをこねた。お友だちの誕生日となれば、サンリオ商品、ディズニーグッズなどを、おこづかいを握りしめて買いに行ったもんだ。三つ子の魂百までとはよく言ったもので、私たちはきっとそういう「かわいい」や「心地よい」を探す、買うという行為なしでは生きられない世代なのだ。だから、価格やテイストの違いはあっても、ほとんどの女子は(年をとった女子もね!)お気に入りの雑貨屋があり、いくつになってもそこに行けばワクワクできるのだろう。
 子どもが言うことを聞かなくても、夫がやさしくしてくれなくても雑貨屋を歩けば心が少し軽くなる・・・それがオンナってもんよ。これからもよろしくね〜! 雑貨屋サン!

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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