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連載コラム

第28回「コンビニが女性のオアシスになる!「HAPPILY」の幸福度はかなり高いぞ!」

[ 2006年4月17日 ]

●きたぞ! 新世代コンビニは「女性向け」がキーワード
 「コンビニで買い物する」ことが、「わびしさ」の象徴だった時代があった。それも女性となると「えー、コンビニ?」という言い方をされた時期もあった。コンビニはたしかに便利だけど、決しておしゃれではない「割高だし間に合わせ」という印象はだれもがもっていたように思う。
 コンビニ依存症という言葉もあるくらい、コンビニに立ち寄るのが習慣になっている人も少なくないが、それは「さびしい現代人の病気」のような言われ方をする。女性で「コンビニをのぞくのが楽しみ」なんてなんだか恥ずかしいと思う人もいたのではないだろうか。
 しかし、ここにきてコンビニはまた進化を遂げた。am/pmが新たに展開を始めた「HAPPILY(ハピリィ)」はその進化形と言えるだろう。昨年12月19日に虎ノ門3丁目にオープンした「HAPPILY」はここが1号店。3月現在、まだ全国でここにしかない女性向けコンビニである。
 「女性にとって入りやすい、使いやすい」「ちょっとしたうれしさ、楽しさがある」とプレス資料には書いてあるが、さて、いったいどこがどう女性向けなのか? さっそく調査に出かけてみた。


●これがコンビニ? なおしゃれな外観にビックリ!

 出かけたのは土曜の夜、すでに周囲は真っ暗でオフィス街の人けもまばらになっていた。そんな虎ノ門の街並みの中で、白を基調にしたおしゃれなディスプレイが浮かび上がっている。赤と緑、オレンジとブルーなど強い色が多いコンビニのイメージカラーとはかなり趣きが違う。ガラス面にもPOPなどは貼ってないし、店頭旗も出ていない。遠目で見るとおしゃれなヘアサロンとか、コスメショップのようだが、これでもれっきとしたコンビニ!なのだ。

 店内に入ってみると、正面にはカウンターがあり、肉まん、焼きいもなどのホットフーズ、その場で作ってくれるフレッシュジュース(この日は夜遅くでちょうど品切れ中だったが)などのスタンドになっている。世界各国のミネラルウォーターが並ぶウォーターバーも併設していて、肉まんとおでんとフライドチキンが定番の既存コンビニとは一線を画している。

 カウンターつながりでレジもあるが、レジ前には輸入菓子などが積まれ、会計に並んでいる間の「うっかり買い」の誘惑に負けそうになる。このへんに置いてあるお菓子のセレクトもなかなか女性好みなのがニクイ!


●フレーバーティーも充実のひと味違う食品ラインナップ

 ウォーターバーの手前にはお惣菜やお弁当の並ぶ保冷ケースがあったが、量は少なめでヘルシー感のあるお惣菜、お弁当はまさに女の子仕様。
 入口から入って店内左手は、ほとんどが食品だが、並んでいる商品はいわゆるコンビニとはひと味もふた味も違う。どちらかといえばソニープラザあたりのラインナップに近い。輸入物が多く、カロリーは高そうだが見るからに楽しいポップなお菓子が並んでいる。
 私がびっくりしたのは飲み物関係の充実ぶりだ。ペットボトル飲料だけでなく、コーヒーや紅茶も驚くほど多種にわたる品ぞろえなのだ。それもただのコーヒー、紅茶じゃない。フレ〜バ〜ティ〜なの〜〜〜〜。キャラメル風味だのミントだの、それから冬には欠かせないマサラチャイも! 私はお気に入りのフレーバーティーをネットショップで注文したりしていたのだが、「HAPPILY」でなら買えるんだ〜と幸せな気分になった。おっと、しかし虎ノ門にしかまだないじゃん。う〜ん、もっと近くにできてほしいぞ。コーヒーだってフルーツフレーバーのものがたくさんあった。いろいろ試してみたい好奇心旺盛な女性にはぴったりだよね。おまけにこのフレーバーティーは「HAPPILY」のオリジナル商品だそうで、「HAPPILY」のかわいいロゴシールがラッピングについていて、見た目もなんともかわいいのだ。これは絶対、女の子にウケるはず!
 ガラス張りの壁際には雑誌コーナーがあるのは従来のコンビニと同じだが、もちろん雑誌も女性向けだ。18禁のエロ漫画なんて当然置いてない。女性向けの雑誌しかないとなんだかとても整然と見えて素敵な一角となっている。雑誌の隣には、CDの視聴もできるCDコーナーがある。CDはなんでも置いてあるわけではなく、セレクトされた心地よく聴けるサウンドばかり。クラブやカフェなどで流れているような曲が主なラインナップだ。このCDコーナーも同一レーベルのシリーズ物なのでジャケットを並べたときの見た目がとてもすっきりしている。


●トイレの快適さに感涙。こんな「女性向け」ならもう大歓迎さっ!

 コンビニといえば、あらゆる雑多なものがつめこまれた幕の内弁当的なにぎやかさが特徴ではなかったかと思う。しかし、この「hHAPPILY」はまったく違う。どこまでもすっきりとおしゃれな感じなのだ。これがつまり「女性向け」ってことか〜と感じ入ることしきりだった。
 なんと言っても、トイレが違う。コンビニのトイレはいざというとき便利に使えるものだが、たいていの店では、トイレはバックステージの中にあり、目につくところに掃除用具が置いてあったり、暗かったりしてあまりいいイメージはない。それが、この「HAPPILY」では180度違う。まるで「トイレだけでも来てください」と言わんばかりの快適さなのだ。デパートやホテルのような水回りの美しさ。化粧品のサンプルなどが籐のカゴに入れて置いてあったり、ストッキングをはきかえる台が置いてあったり、これでもかと気配りが行き届いている。もちろん、鏡も大きくて全身チェックできる。いやあ、このトイレ目当てに来るお客さんも多いんじゃないの、と思わせるだけのものがある。


●女の子の必須アイテム・コスメだって大充実!

 さらに、この日はたまたま棚卸をやっていて入ることができなかったのだが、入口から入って右手半分はほとんどがコスメコーナーだ。マツキヨやソニプラの化粧品コーナーに集まるような女の子達ならきっと毎日でも通いたくなるような楽しくてバラエティ豊かなコスメたちが決して広くない店舗スペースの半分近くを割いてお出迎えしてくれる。

 コンビニを見かけるとつい入ってしまうという「コンビニ依存症」まではいってない人でも、この「HAPPILY」を見かけたら、つい入ってしまう、ということはありそうだ。コスメには興味なくても、おいしいものは好き! 食べものには興味なくても雑誌は大好き! 「フリーク」といわれるほどのコスメ好き! そんないろんなタイプの女性たちの感性のどこかには引っかかる、そんな多面性をもちつつも「女性向け」という大きなテーマがあるから、統一感を失わない。そんな店つくりが「HAPPILY」のおしゃれ感を支えているように思う。


●「おしゃべりなPOP」で口コミ好きな女性のハートをつかむ

 さらに店内を見ていて気がついたのは、とにかくまめにPOPがつけてあるということ。それも手書きでメッセージ性の高い楽しいPOPなのだ。その商品をおすすめしている人のパーソナリティーまで感じさせる親しみのあるPOPも非常に女性の感性に訴えるものがある。
 女性はやはり口コミ好きであり、テレビで大量に流されるCMの情報よりも同僚や友人からの「よかったよ」という言葉を信じる傾向にある。この「HAPPILY」に氾濫するPOPは、まさにその口コミに近い感覚があるのだ。店のスタッフの似顔絵や特徴も店内に掲示してあり、「おいしくてもう何回も買った」とか「私は冬にはこれがなきゃ」などのスタッフからのコメントは、お客に語りかけているようだ。「一番売れているのはこれ!」「一番紅茶に合うスイーツはこれ!」「お茶うけにはこれが一番!」など、スタッフのおしゃべりが聞こえてきそうなPOPも非常に女性の特性をとらえた戦略だと思う。
 「HAPPILY」は女性向けの商品をそろえて売っているから女性向けコンビニなのではない。ジュースバーやウォーターバー、輸入菓子に最新コスメ、快適なトイレ、スタッフのおしゃべりを聞いているような気分になるPOP、それらで作り出す空間の雰囲気そのものが「オンナノコ」の好きなものなのだ。
 虎ノ門3丁目店の健闘いかんではこれから全国に「HAPPILY」が増えていく可能性はあるという。「便利なだけ」のコンビニでは飽き足らなくなった欲張りな女性たちにはきっと歓迎されるのではないか。そして、そういう女性は、都心部に限らずあちこちに多数存在する。「HAPPILY」は女性の元気さが増すのに比例して伸びていきそうな予感がする新世代型コンビニだった。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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