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連載コラム

第3回「バレンタイン過ぎれば春来たるらし」......コンビニ店頭は、現代の歳時記か?〜コンビニが、私たちに季節感を教えてくれる

[ 2004年3月11日 ]

●2月20日、コンビニはすでに春色満載だった!
 うっかり油断していると季節感なんてものとはどんどん縁遠くなっていく現代社会。小さい子どものいる人なら、子どもの幼稚園や保育園での行事でかろうじて「ああ、2月だから節分ね」「7月7日は七夕ね」と意識することもあるだろうが、そうでない人間は、一体どこで季節を感じるのだろうか?

 吹き抜けていく風が暖かくなったこと?
 庭先の花がつぼみをつけたこと?
 いーや、私は断然コンビニのレジ前の棚だね。あそこにこそ、季節感ってものが常にある! と言っても過言ではないと思う。


 2月の節分が終わってからは、バレンタイン一色だったコンビニだが、バレンタイン商戦がひと段落した2月20日、果たしてどんな季節感を演出してくれているのか。それを調査するために、早朝から午前中にかけてわがキャリア・マムの本拠地である多摩ニュータウン内すべてのセブン−イレブンを回ってみた。

 多摩ニュータウンといっても広い。そこには微妙な時差はあったものの、18店舗回ってみてわかったことは、「ひなまつり」と「ドラえもん」の季節だということだった。そして、季節はずれの商品は、通常の売り場から撤去され、ディスカウント販売していた。

 とにかく、ひなまつり関連のかざりつけが目立っている店が多かった。広さに余裕のある店舗では、レジカウンターに小さなひな人形を飾っているところもあったし、入口脇にひなまつり関連菓子の専用棚を並べているところもあった。「ひなまつりケーキ予約受付中!」というピンクのチラシも店内あちこちで目について、すでにお店の中は一足先に春! という趣きであった。「バレンタインのあとはホワイトデーだよね」と、実は思っていたが、間にしっかりひなまつりもあったのだ。うーん、さすが季節感のある行事はとりこぼさないコンビニだっ!


 ひなあられを食べる家庭がそんなに多いとも思えないのだけど、でも、ひなあられが店頭に並ぶことによって「春来たるらし」の演出効果は大きい!
 なんだかうきうきしてきちゃうものね。

 おまけに、セブン−イレブンでは2月20〜29日で「ドラえもんフェア」を開催していた。店内のいちばん目立つ棚をドラえもん関連商品で埋めている店も多く、春休みの映画の鑑賞券の前売りをもしっかり印象づけている。バレンタインとホワイトデーという大きな商戦のすき間をひなまつりとドラえもんというプチイベントでしっかりつないでいるわけだ。お見事と言うしかない。かくして、2月20日の時点でコンビニは「もうすぐ春ですねぇ(byキャンディーズ)」のムードに満ちていたのである。


●「どこも同じでしょ?」いーえ、コンビニは個性化時代に突入してるぞっ!

 さて、今回18店舗を回ってみてわかったことがほかにもいろいろあった。とくに感じたのは、「コンビニ」「セブン−イレブン」と一言でまとめてしまいがちだが、店による個性がけっこうあるということである。同じセブン−イレブンでも立地が違えば客層も違う、店舗形態も違う。その差はやはり出てくるようだ。多摩ニュータウン内でも、店舗面積が広く、広い駐車場完備の店舗が多い八王子市に比べて、多摩市の古くからある店の中には駐車場のない店もあるし、マンションの1階でとても狭い、という店もあった。狭い店ではやはりそのときどきのフェアや催しの告知でスペースがいっぱいで比較的店による差は出ない。

 しかし、より郊外になり、より新しい店になるとスペースに余裕のある店が多かった。たとえば、八王子市堀之内界隈の店舗では入口近くに掲示板風のコルクボードを立てて、そこに「今週のおすすめ品」などのPOPを掲示していた。これはなかなかのインパクトがあり、思わず「試しに買ってみようか」という気持ちにさせる効果がありそうだ。また、多摩地区ならではの地元の吟醸酒「新選組」のPOPや商品をレジカウンター脇に並べたり、「ヘルシア緑茶」のようなプッシュ商品を並べたりと、店独自の「おすすめ商品」が際立つ店づくりをしているところが多かった。

 この手の店は、店による個性も強く、同じセブン−イレブンではあっても、それぞれにどこか違っているように感じられる。お菓子やカップめんの棚に独自の手書きPOPをつけているのも、これがなかなか楽しかったりする。


 また、バレンタインチョコなどの季節ものは場所を変えてディスカウント販売していた。この棚を見ると、「ああ、もうチョコの季節は終わりか」「ココアの売れる時期を過ぎたんだな」と、ここでもまた季節感を感じることができる。また、食玩に代表される企画モノ商品のヒット具合もこの棚を見ればわかってしまうからちょっとおそろしい。前から欲しかったフィギュア入りのお菓子、もう見かけなくなったと思っていたら、某店で50円引きで売っていたのでつい買ってしまったのは私だ〜。


●コンビニのレジ前ではこんなものが売られていた!

 たいていの店がレジ前に特設棚を作っていたが、そこに並んでいるものも、案外まちまちだった。この日に関していえば、「DHCクレンジングオイル」6店舗、「美濃焼(キリンビールのプレミアム)」6店舗、「カップみそ汁」2店舗などが目立ったところ。レジ前の陳列ひとつをとっても、やはりコンビニは、立地、客層に合わせた個店対応をしてきていると言えそうだ。


 せっかくなら提案力のあるコンビニを見つけて、常にチェックしておくようにすれば新商品情報から遅れずにすむかも。1年中、季節ごとにこれからもコンビニにはお世話になりま〜す!

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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