今どき主婦のShopウォッチ
2004.06.01
●気づいてた? スーパーのPOPが変わった!
ちょっと前までスーパーに行けば、「特売品」「広告の品」「特価」などの赤い文字が主婦をおおいに誘惑してくれたものだった。しかし、いつごろからだろうか(半年前くらい?)、大手のスーパーから昔ながらの手書きのPOPが減って、印刷物や小型テレビモニターのPOPが目に付くようになってきた。値札も手書きから、"電子棚札"というらしいのだが、通常価格と、ものによっては単価(グラム当たりいくらか)、そして今日の販売価格がデジタル表示されるようになったのだ。特売品の場合は、表示の横に赤く「特価」とか「お買い得」という文字が出ているが、インパクトにはやや欠ける。安くなっているものも、そうでないものもみんな同じ顔に見えてしまうようになったのが、この電子棚札の残念なところだ。
お店のIT化やマニュアル化は必要だということは分かっているのだが、「赤字放出!先着100名様限り」なんて力強いPOPを見つけたときのわくわく感は薄れてしまったように感じ、ちょっとさびしい気がしてしまう。
●印刷されたPOPでは書かれた内容以上のことが伝わりにくい
かつての手書きPOPは「この商品を売りたい、買ってちょうだい!」という店側の意欲の現れだったのではないかと思う。さらに、「この商品を買えばこんなものも作れますよ!」「この商品でぐっと節約できますよ!」などという提案もしてくれていた。それがPOPであり、それにまんまとのせられて、冷しゃぶやゴーヤチャンプルなどは食卓にのぼる頻度が高まってきたメニューなのではないかと思う。既製品のPOPではどうも迫力に欠ける。もっとも、最近はレシピカードを商品の近くに並べておいたり、商品自体にレシピカードがついていたりという工夫はされているが、小売店独自での提案は減少傾向にあるように思う。
そんななかでも、まだ手書き感あふれるPOPでがんばっている店もある。いや、POPに賭けている店と言ってもいいのか。それは、深夜営業で有名になったディスカウントストア「ドンキホーテ」である。
●POPを見るだけでも行く価値ありの「ドンキホーテ」
「ドンキホーテ」は、激安のジャングルなんだそうだ。たしかに、あのわざと迷子にしようとしているとしか思えない陳列方法といい、商品の雑多さといい「ジャングル」感は満点だ。そして、なんと言っても、ここのPOPはすごい。決してきれいとは言えないホンモノの手書き文字のものから、手書き風の文字で印刷されたものまでさまざまだが、とにかくどの商品にも「これでもか」ってほどのPOPがついてる。それも、読みきれないほどのたくさんの文字があふれていて、どれが値段かもわからないくらいだ。

しかし、この猥雑ともいえるPOPがなかなか力作揃い。いったい誰が考えているのか?
いずれにしても相当しゃれっけのある人だろうし、またそれを通してしまう企業姿勢もふとっ腹だ。入口近くにあったくんせい風味のポテトチップには「くんせいくさいあなたに」(くんせいくさいっていったい?)ドラエもんのキャラクターのついたお菓子には「国民的アイドルからあなたへ」(なるほどね)お菓子のコーナーを見てみたら、棚いっぱいに並んだお菓子すべてにオリジナルコピーのついたPOPが貼ってあった。「いい意味で裏切られます」(どういうこと?)「一度買った人は8割がリピーターに」(えー、ほんと?)「見た目のインパクトがすごい」(ど、どんなおかしなんだよ?)小さなガム、チョコの1つ1つまでこの調子である。
ビデオテープやDVDディスクなど電化製品のコーナーでは、「ナイショの話ですが、●●電機では798円でした」とか「お安くしたいのですべて現金決済で仕入れてきました」などなど、激安、どこよりも安いということを謳う、謳う。「倉庫ごと買い取ったのでこの値段!」「担当の●●が気迫で価格交渉しました」「あなたに喜んでもらうため、メーカーに泣いてもらいました」なんてのもありました。なんだか、商品に仕入れ担当者の汗がにじんでいるような感じすらする。

今回、訪ねてみたドンキホーテ堀之内店には、なんとコスプレ用のセーラー服や婦人警官、看護婦などのセットや、「ありえない!」ようなセクシー下着も売っているが、これもまたおもしろPOPがついているから笑える「特別な一夜に!」(まぁ〜、そうかも)「これでどんなときでも大丈夫」って看護婦セットなんだけど、ほんとに大丈夫なんだろうか?
体操服セットには「体育の時間はちょっとゆううつなの」なんてHビデオっぽいPOPもついていた(苦笑)。でも、ちょっと淫美な感じのこういう商品もなんだか「おもしろグッズ」というノリで明るく販売できているのは、このPOP効果も大きいのではないだろうか。

●店員は語るな、POPで語れ!
買い物に行っても、店員から「なにをお探しですか?」と声をかけられるのは好まない客が多いのは現実だが、だからと言って店側から、「ぜひこれを買って!」「こんなにいい商品なんだよ」「こんなお値打ち品なんだよ」とアピールする機会をまるまる放棄する必要はないのではないか。ドンキホーテのPOPを見ているとそう思う。この数多くのPOPはなによりも雄弁な宣伝マンであり、マーフィー岡田が店中にあふれている! とも言える。
最近、すごい勢いで店舗数を増やしているおもしろ古書店(雑貨屋という色合いのほうが強いが)「ヴィレッジ・ヴァンガード」もたしか、あえて煩雑にした陳列、オリジナリティーのあるPOPで店を演出して人気を博していた。
店員からおすすめされるのは押しつけられているようで嫌だけど、商品への熱い思いを知るのが嫌なわけではない、そんな消費者のわがままな心理に応えるのが、こういったおもしろPOPと言えそうだ。
スーパーの値札が電子棚札に変わっていくのが悪いわけではない。メリットが多いのも事実なのだから。しかし、その分、お店の魅力が減少するのではつまらない。POPで勝負しているこれらの店舗のよいところは、どんどん取り入れて、価格表示はスッキリした分、店の情熱や提案が際立つような、手作り感を演出できる店づくりをこれからのスーパーには期待したい。