日経メッセ > リテールテックJAPAN > 連載コラム > 今どき主婦のShopウォッチ > 第8回「毎日がおまつり気分! 屋台がなんだか楽しくっておしゃれ。」〜ニューウェーブ移動販売車、増殖中!

連載コラム

第8回「毎日がおまつり気分! 屋台がなんだか楽しくっておしゃれ。」〜ニューウェーブ移動販売車、増殖中!

[ 2004年8月2日 ]

●一度食べたらくせになる......新顔クレープ屋の魅力!

 私がよく利用している郊外型の大規模スーパーの入口付近にクレープの移動販売車が登場したのは、今年の5月末ころだったろうか。最初は「たまたま今日はやっているのかな」と思っていたが、どうも毎日のように出店しているらしい。あまりにもいつもいるので、つい味見をしてしまったが、これがなかなか美味! お値段は350円からだが、おすすめ商品や季節モノは大体500円。決して安くはないが、ここのクレープ、見た目がかわいいのだ。昔、原宿あたりでかじっていたクレープといえば、折りたたむような形だったと思うが、ここのクレープは、巻いてある。ちょうど小さなブーケのような形といえばイメージしてもらえるだろうか。このくるりと巻いたクレープの中にフルーツや生クリームがたっぷり入っていて、見た目もおしゃれだし、折りたたみ型よりは食べやすいように思う。この移動販売車は、全国に現在36店舗を展開中の「ROMANDO ROLL(ロマンドーロール)」というフランチャイズだそうだ。もともとはテレビ番組「マネーの虎」への出演から始まったというクレープの移動販売だが、従来のクレープよりもぱりっとした食感の生地、生クリームのおいしさ、ロール型という目新しさなどがうけて、順調に店舗数を増やしている。

 車の外見もえんじ色を基調にしていて、昔のバスっぽいイメージがちょっとこじゃれている。最初のころはモノ珍しさで買っている感じのお客が多かったようだが、週末以外は毎日、このスーパーの前で営業しているということですっかり定着してきたようでリピーターも増えつつあるそうだ。かつて一世を風靡したマリオンクレープが子どもっぽいイメージだったのに比べると、こちらは「動く洋菓子店」という雰囲気で、主婦でも抵抗なく買える。自慢の生クリームは味が変わりやすいので、なるべくすぐにその場で食べたほうがいいそうだが、立ち食いになるがちょっと大人にはつらいが、けっこうみんな大きな口をあけてぱくついている。縁日の屋台もそうだが、外で売ってるものを食べるときは、人間ってなんだか開放的な気分になれるようだ。

 


●「こんなものもある!」意外性が今の屋台の傾向

 そんな人の性を見込んでか、最近、「屋台(=移動販売車)」がちょっとしたブームなのではないか、とスタッフの間でも話題になった。前述のクレープ屋のほか、多摩地区だけでも「やきたてメロンパン」「アイスクリーム」「デリおばさんのキムチ(これもマネーの虎出身らしい!)」「エスプレッソコーヒー」など、えっ? そんなものも? という屋台の目撃情報があがった。さらに、移動はしないがドン・キホーテ堀ノ内店では店の入口に向き合う形で「お好み焼き」「コロッケ」「メロンパン」「ラーメン」の店舗が軒を並べる「ゴールデン街」を改装オープンした。これらの店舗は移動はしないプレハブ造りだが、さながら屋台村の様相を呈している。

 きちんとした店舗ではなく、屋台や屋台風のお店でモノを買う、飲み食いするということが定着してきたのか? と思われるが、この傾向は郊外だけではなく都心でも見られるようだ。すでに、屋台村、という形で、WEB上に、その営業地区と営業日まで公開して、都心を巡回しているネオ屋台村は、大手町や有楽町の国際フォーラムなどでは、ランドマークにすらなりつつある。お昼時、炎天下でも、外でのランチを楽しむOLや会社員など、まるで昼休みのひと時を、非日常の世界にワープしているような彼女たちに、圧倒的な人気で支えられている。やはり、外装はアジアンテイストのPOPでキッチュな現代屋台が、新たな中食・外食文化を作っているのである。

 


●「少ない資本で独立できる」が追い風に

 そういえば、15年ほど前にも都心におしゃれなフランス料理の屋台が出てるだのと評判になったことがあったのを思い出す。あのころはバブル絶頂期でいい場所に店舗を借りれば莫大な資金が必要だった。そのため開店資金を抑える苦肉の策が「屋台」だったという側面もあったようだ。もちろん、単なるチープな店ではなく、屋台なりのおしゃれや贅沢を追究したからこそ人気を博したのではあるが。

 今の屋台ブームも根底には、「企業でリストラされて再就職先がない。だったら少ない資本で独立してやっていけることはないか」という人の増加という事情があるのは間違いない。だから、フランチャイズチェーンとして成長しているのだろう。

 しかし、博多では屋台村が伝統的に繁盛しているのを見てもわかるように、どうも日本人の感覚に屋台、移動販売というのは基本的にマッチしているのかもしれない。週に1度、同じコースで販売にくる「やきたてパン」の移動販売や2日に1回くる野菜の移動販売車など、スケジュールに組み込んで楽しみにしたりするものなぁ。さらに、クレープやコーヒー、ラーメンなどのように「その場で食べる」というタイプの屋台だと、居合わせた人との交流があったり、お店の人とも親しく言葉をかわしたり、現代では失いがちな温かさを思い出させてくれたりするのも魅力なのかもしれない。

 「屋台=移動販売」という店舗形態はこれからも増えていくような予感がする。この先はいかに「こんなものが屋台で?」という意外性のある店を出していくかが勝負かもしれない。もちろん、意外性だけではすぐに飽きられるから、食べ物ならまずはおいしい! 安全! などなにかウリがなければ難しいだろうが。かつては「ラーメン」と「おでん」「やきとり」くらいしか思いつかなかった屋台にこんなにいろいろな種類が出てくるとは! これからどんなニューフェイスが現れるか楽しみである。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

バックナンバー

PAGE TOP