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連載コラム

第9回「景気回復はまず主婦のランチから? 隠れ家レストランランチがポピュラーに!」〜やっぱり、「外食は気分よく」! がキーワード

[ 2004年9月3日 ]

●「パトリック・キソ・ガーデン」でお姫様気分!
 主婦はランチが大好きだ。ファーストフードだろうが、ファミレスだろうが、お友達と思う存分おしゃべりできれば「主婦のランチ」の目的は達成される。たとえ小さな子ども連れでも、「たまにはランチした〜い!」は主婦の合い言葉だ。だから、昼時のマックやデニーズには、子連れの主婦がたくさんいる。幼稚園での保護者会の日なんぞ、20名様(うち半分以上が未就学児)なんて団体さんで店を占拠していたりして、居合わせたほうはちょっと迷惑・・・ということも少なくない。

 おそらく主婦には「ランチしたい」というDNAが組み込まれているようだが、ここにきてそのランチ風景にやや変化が見られるようになってきた。都心にあって雑誌などでよく特集されている「隠れ家レストラン」的な店が、ランチタイムは主婦で埋まっているというのだ。とくに郊外の店は、ビジネスランチなどで使われることが少ないだけに、主婦率が高いという。

 しからばこの目で確認してみようと、行ってみたのが町田市木曽にある「パトリック・キソ・ガーデン」。レストラン&ウエディングチャペル、つまり結婚式場であり、レストランである。外観はまさにお城か中世の教会! 120年前のイギリスの由緒ある建造物を移築したと聞くと、「なるほど!」と思う趣きのある建物である。


 建物に入ると、すっかり気分は「お姫様〜」。大理石の床、豪華であり上品な家具、調度類、壁面にはステンドグラス。2階にあるチャペルの巨大なステンドグラスは、ニューヨークのセント・パトリック聖堂から移築した1907年制作のもので、そりゃまあ圧倒されるものすごさだが、1階のレストランのステンドグラスだってなかなかのものだ。ロビーや廊下にさりげなく置いてあるソファもかなりいい感じ! このハイソな雰囲気のなかで食べられるランチが、2,000円(サービス料・消費税込み)のコースから!(3,000円、5,000円もあり。ともにサービス料・消費税込み) どんな料理なのか聞けばていねいに答えてくれて、うやうやしい〜雰囲気。いつものファミレスの喧騒とはやっぱ違うわ〜! そのわりには、2,000円のコースでも食べきれないくらいのボリュームがあって、なかなかリーズナブルなところが主婦のハートを直撃している。コースについているオードブルの盛り合わせは「豚肉のパテ」など、家では絶対作らんぞ的な手のこんだものもあり、「ちょっと特別なランチ」という気分を盛り上げてくれる。店の雰囲気、料理、お値段のバランスを考えると、ファミレスよりは高いけれど、十分に「お値打ち」だと言えるだろう。

  


●まだまだあるぞ、主婦が集う「隠れ家レストラン」

 こういったハイソな雰囲気が味わえるレストランだが、主婦率の高い店というのは、やはり郊外に多い。パトリック・キソ・ガーデンもそうだが、やはりこれだけの店を都心に構えるとなるとコストも高い。それが郊外なら、広々とした敷地にゆったりとした建物を建て、贅沢なくつろぎの空間を演出できる。それでも、ランチなら5,000〜10,000円で提供できるのは郊外でこそだろう。

 八王子市にある鶯啼庵では、ランチタイムには桐壺弁当(3,500円)から本格的な京懐石を楽しませてくれる。昼のコースは雪(7品)が5,775円〜の鶯啼庵としては、破格の桐壺弁当だが、手提げ籠二段重ねのお弁当にデザート、コーヒーもついて大満足間違いなしの味とボリューム。なんと言っても、平安時代の貴族の館に迷い込んだような錯覚を起こさせてくれる店の造り、庭園の景色は、非日常の世界に連れて行ってくれる。この雰囲気で3,500円は安い! もちろん、主婦には大人気だ。

 香川県高松市にある創業57年の二蝶も、もともとは接待などで使われることの多い高級料亭だが、昼会席の時間には主婦の姿も多い。手入れの行き届いた素敵な庭園を眺めながら部屋へと案内されるが、大小13の部屋は全て個室。料理がおいしいことはもちろんのこと、誰にも邪魔されることなくゆったりとくつろげるところが主婦にはうれしい店だ。子どもの年齢に合わせて料理を考えてくれるので、誕生日などに子ども連れの主婦のグループがランチに来ることも。

 一見、普通の家なのに実はレストランというテルミニ(八王子市)も、「非日常的」とはいかないが、料理上手なお友達の家にお邪魔しているような温かい雰囲気が人気のレストラン。スープ、サラダ、肉か魚料理が選べて、デザートもつくランチは、1,500円と2,000円のコースがあり、完全予約制。普通の戸建ての家をレストランにしてあるので、一度にたくさんのお客は入れないが、その分、落ち着いてゆっくりと食事することができる。

 建物にも凝ったハイソな店でも、温かみのある家庭的な店でも、こういった「隠れ家レストラン」に共通しているのは、「おもてなしされてる感」を十分に味わえるということであり、それが、主婦には大きな魅力なのではないだろうか。

 


●「ドリンクバーは嫌なのよね」な主婦層は無視できない存在に

 1980年代は、ファミリーレストランには「ちょっと特別な外食」というニュアンスがあった。おかわり自由のコーヒーを「おかわりはいかがですか」と聞いて回ってついでくれていたあの時代。たった280円のコーヒーでちゃんとお客さん扱いしてもらえていた古きよき時代のファミレスだった。デニーズでは温かいおしぼりも手渡ししてくれてたっけね。

 しかし、バブルが崩壊した90年代になり、ファミレス業界もコストダウンと値下げを余儀なくされ、「コーヒーのおかわりはいかがですか」は急速に姿を消してきた。代わって台頭してきたのがドリンクバー。好きな飲み物が選べるし、飲み放題。出始めのころは「こんなにいいシステムはない」と歓迎したものだが、ドリンクバーだけで何時間でもねばれる学生ならともかく、主婦のランチにとってはこのドリンクバー、あまりよろしくないのである。

 主婦のランチのメインディッシュは「おしゃべり」である。とにかくしゃべりたいからランチするのである。それなのにドリンクバーは席を立たなければいけない。それも複数でランチしている場合、話が盛り上がっている最中に席を立てば話についていけなくなる可能性がある。それは避けたい。となると、いくら「飲み放題」と言われても、つぎに行くのが嫌でドリンクバーの恩恵を案外うけてないという主婦は多いのである。

 また、しゃべりたいのに、周囲で子どもが騒いでうるさくて、負けずに大声でしゃべっていたら喉をつぶした、なんて主婦も実在する。つまり、「主婦はランチが好き=おしゃべりが好き」、なのだ。その観点から見れば、いくらステキな建物でもすばらしい料理でも、おしゃべりを妨げるようでは、主婦のランチの場には選ばれない。同じファミレスでも、今だに「コーヒーはいかがですか」をやってくれる店には、「今日は話がたくさんある」という日には行くという主婦もいる。

 隠れ家レストランには、個室がとれる店や、個室ではなくても敷地がゆったりしているため隣席が気にならない店、静かな雰囲気でゆっくりできる店が多い。おまけに料理もおいしいとなると、「学食みたいな店はちょっとねえ〜」な主婦へのアピール度は満点なのである。景気は徐々に回復してきたというが、主婦のランチの動向を見てもちょっとその気配は感じられるようである。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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