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連載コラム

第14回「インドア派主婦の聖地・ホビーの殿堂2大店舗を徹底探検!」〜新宿VS吉祥寺・立地差による店舗展開の差が歴然!〜

[ 2005年2月1日 ]

●主婦ならみんな知ってる「オカダヤ」「ユザワヤ」を歩いてみた
 幼稚園や子ども会のバザーやフリーマーケットに行ったことのある人なら、そこで手作りの「ビーズ・アクセサリー」だの「テディベア」「カントリードール」などを売っている人を見かけたことがあると思う。手作りが好きな人、得意な人はいつ、どこの世界にもいるものだ、くらいに思っているかもしれないが、この「手作りブーム(ホビーブームとも言える)」案外、長く続いている。ゼロから自分でモノを作り上げる楽しさ、自分だけのオリジナルが作り出せる喜びなどが、その人気の理由ではあるが、同時に、このブームがバブル崩壊以降の不況と重なっていることから「自分で作ったほうが安上がり」という、趣味を兼ねた節約術として浸透してきた側面も無視はできないだろう。

 コストダウンという現実と、「手作り品があふれるステキな家庭」という夢の両輪で成長してきたホビー業界。その中核となっているのが「オカダヤ」「ユザワヤ」という巨大手芸材料店である。この店舗名自体、以前ならよほどの手作り好きしか知らなかったのではないかと思うが、今ドキの主婦にはかなり知名度が高い。「一度は行ったことがある」という人も多い。いや、一度どころか「毎週、なにかないかチェックしに行く」というフリークのような人さえいる。「ホビー好き」にはまさに聖地とも、殿堂とも言えるこの2店舗を今回はのぞいてみた。


●アーティスティックなオカダヤにどきどき!

 「オカダヤ新宿本店」はJR新宿駅から徒歩2分の好立地にある。周辺は駅から歌舞伎町に向かう繁華街にあり、初めて行くと見逃してしまいそうな店だが、中に入ると奥行きがあってフロア面積も案外広い。1階の入口には人気のビーズやスパンコールなどが、たくさん展示されている。きらきら、ピカピカ美しい! 一口にビーズと言ってもさまざまなメーカー、種類、色、形があって、ずらりと並んでいると、まるで芸術品。初心者向けの「これ1つ買えば作品ができる」キットも、いろいろ用意されていて、かなりゴージャスなリングやストラップなどができる、2000円前後のキットが多い。これには思わず、「作ってみようかな」という気にさせられる。

 さらに、階段を上がって2階に行くと、アクセサリー・パーツ売り場。チェーンやラインストーン、テグス、ワイヤーなど手作りアクセサリーのあらゆる材料が揃っている。この階には、おそらく服飾関係の専門学校生? といった風貌の若い人が多い。3階は、ブライダル関連品。ブーケや手袋、ティアラまで「こんなものも自分で作れるんだ」と驚くばかり。人気のテディ・ベアのブライダル関連品も多かった。同じフロアの奥に進むと、舞台化粧や特殊メイク用の化粧品コーナー、ウィッグ、羽根、扇子などコスプレや、ダンス、舞台などの関係者には重宝しそうである。のぞいてみたのは日曜だったが、このフロアも主婦というより、専門学校生、舞台関係者という雰囲気のお客が多いように感じた。

 

 4階はレース、リボン、ワッペンなどが揃っていて、女性が喜びそうなかわいいイメージのフロアだが、ここでも、「手作りが趣味」という感じの主婦よりも、ゴスロリ服を手作りしてそうな個性的なスタイルの若い女の子、もっているカバンから衣装らしき服を出してきて、飾りつけに合うレースやスパンブレードを探している人など、やはりこのフロアも主婦というよりアーティスト率高し、という感じだ。

 5階は、いわゆる手芸用品、毛糸などが置いてあり、ここはいわゆる「ホビー」感が強い。20〜50歳代くらいの女性がかなりいて、店の一角では手編み教室も開かれていた。テディ・ベア、パッチワークなどの材料、キットなどもそろっているが、この日のオカダヤの中では思ったよりもすいていた。むしろ、ほかのアート系のお客さんが多いフロアのほうが混み合っている印象だ。これは「新宿」という立地ゆえだろうか。

 6階のボタン売り場は、なんだか「ボタン」というよりは「宝石売り場」のよう。美しくボタンが陳列されていて厳かな雰囲気すらある。7階にはホビー関係の書籍、そして、地下1階にはインナーウエア売り場もあるが、とにかく細長いビル丸ごと、手芸、洋裁などに関心のある人にとっては宝の山のような店である。

 細い路地をはさんだ反対側には、生地館もあり、5階建てのビルは、コットン生地、特殊生地など、あらゆる種類の生地が陳列されている。手作り好きな人や、メイクやネイルのアーティスト、服飾関係の学生、仕事の人ならイメージを刺激される店には違いない。予想以上に若い人が多く、事前にもっていた「ホビーの殿堂」というイメージよりは、おしゃれな雰囲気だったことにはちょっと驚いた。なにしろ、小さい子ども連れのお客さんも少ない。その分、キット売りの商品も、子ども向けのものはあまり多くなかったようにも思う。


●ファミリー需要をしっかり取り込んだユザワヤ吉祥寺店

 さて、もう一方の雄「ユザワヤ」だが、こちらは祝日に吉祥寺の駅前の店舗へ行ってみた。京王井の頭線の改札からつながっている3階フロアは、なんとインナーウエア売り場。それも、女性だけでなく子どもや紳士モノもあり、お値段も安い。いきなり庶民的な空気をかもし出している。4階に上がると、洋裁材料、服飾材料とホビー色が強くなるが、なぜか調理道具も同じフロアで売っている。意外な感じもしたが、ちょっと目新しいものや趣味的なものが置いてあり、調理とはいってもやはりホビー色は濃い売り場になっていた。

 新宿の「オカダヤ」と違って、1フロアの面積が広く、通路も広いのでぶらぶら探索するのは楽しい。祝日ということもあって、ファミリー客も多い。お母さんにとっては楽しいだろうが、子どもやお父さんは、ややもて余し気味にも見えるが、「ファミリーで立ち寄る店」というポジショニングは、新宿の「オカダヤ」とは明らかに違う。5階は、生地売り場だが、このフロアになると、ますますファミリー色が強くなる。とにかく、目立つ場所は子どもの喜びそうなキャラクターもののプリント生地、ファンシーな生地が独占している。まさに「子どもが喜ぶママの手作り」を強力にサポートしている感じだ。新学期、新入学時の手作りの小物作りは、まるまるまかせて! という空気に満ち溢れている。なんと、自分では作れない〜というママのためには、ちゃんと出来上がった「いかにも手作り風バッグ」も数多く置いてあった。くぅ〜、私もここに買いに来ればよかったよ。

 6階は文具、画材などのフロア。これは、オカダヤにはなかったものだが、このフロアはお母さんにつき合わされている子どもたち、お父さん達には憩いのフロアのようだ。7階の手芸材料、毛糸、工芸材料のフロアは、いわゆる「ホビーの殿堂」だ。ビーズ、毛糸、ボタン、スパンコールから、トールペイント、粘土細工、デコパージュ、レザークラフト、ドールハウスなどあらゆるホビーの材料がそろう。ファミリー客が多い=子どもも多い、という特性のためか、子ども向けのキット類も充実している。手作り好きの母親に連れられてユザワヤ通い=手作り好きの女の子に成長、という構図が見えるようだ。8階、さらに1〜2階にはトイタウンというおもちゃ売り場もあり、8階にはお父さんにも愛好家の多い鉄道模型やプラモデルなどもある。

 

 休みの日に家族で出かけても、それぞれが楽しめるフロアがあり、隣接してカフェや飲食店もある吉祥寺「ユザワヤ」は、ホビー大好き主婦の聖地であると同時に、ファミリー・レジャーの場にもなっているようだ。置いてある商品の豊富さ、種類の多さなどはオカダヤ、ユザワヤ、どちらも負けていない。集客の多さもいい勝負だろう。だが、立地の違いによる地域特性を生かした店づくりで、ここまで印象の違う店になっていることにはちょっと驚いた。同じモノを買うのでも、その日の自分の状況、気分で使い分けてみるのもいいかもしれない。

 また、どちらの店舗でも、洋裁、手芸などの講座が数多く開講されていた。費用もかなりリーズナブルでこれは楽しめそうだ。昼間の講座などは、高齢者の利用も多いらしい。どちらも定期的に通うにはありがたい駅近くの店舗だけに、ホビー好きな人々のコミュニティーとしての機能も果たしているようだ。外へ外へと出ていくほどには景気の回復も本格的ではない。そして、外出や遠出はあまりできないという高齢者も増えてくる。さらに、オリジナル志向の高まりなど手芸、洋裁などのホビー需要は、まだまだ高まる土壌が十分にある。オカダヤ、ユザワヤは、これからもそんなホビー界を引っ張っていくに違いない。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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