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連載コラム

第15回「飲むなら「個室ダイニング」! そのプライベート感が人気の秘密」

[ 2005年3月16日 ]

恋人同士ならもちろん最高!お友だち同士でも周囲に気がね無用がいいね!


●「個室ダイニング」は快適さがクセになる

 「個室ダイニング」が人気らしい。雑誌やテレビでも、ときどき特集が組まれているようだ。しかし、そういう企画ではたいてい「彼と2人で」「恋人同士なら食事しながらいろんなことができる!」という視点に立っている。けれど、主婦にとっての個室ダイニングはそういううまみはない。

 だが、はたと考えてみたら、あったあった、個室ダイニング体験! 近くにある中華レストランがそうだったじゃないか! テーブルごとに区切られた造りが、とても新鮮な店だった。窓ぎわに設けられた席などは、壁で隣と仕切られ、また、通路側にはのれんがかかっていて目隠しになっている。まさに、食事しながらほかのことだってできるんじゃない? というアヤシサもよかった。どのみち主婦がランチで使う分には、「アヤシク」もなんともないのではあるが、「いざというときは使えるかも」と妄想したものである。もちろん、主婦ランチ、主婦ディナー、主婦飲み会だって、区切られた空間ならより気がねなしである。ご近所の人と「あら、こんなところで」と顔を合わせることもなく、食べて、飲んで、しゃべることができる! おまけに、のれんの奥にいれば、従業員の顔が見えないため、「長居する客だなあ」と思われていたってへっちゃらだ。 そんなメリットが多くて、一時期はその店でよくランチしてたっけ…。

 そう、「個室ダイニング」は一度知ってしまうと、その快適さがクセになるのである。そして、最近になって続々と「個室ダイニング」の人気店が、主婦の間でも話題になり始めたのだ。


●メニューも店舗も主婦好み! 「月の雫」がブレイク!

 年末ともなれば、忘年会が夫より多い主婦は少なくない。会社中心の生活を余儀なくされている男性より、女性のほうが、つき合いが広いことが多いのだから当然と言えるが。

 その傾向は年々強まっているようで、それに対応して居酒屋も、女性に好まれるかどうか? が大きなポイントになってきている。女性に好まれる飲食店の条件は、「ヘルシー、低カロリーメニューが充実」そして、「デザートメニューが魅力的!」さらに「おいしい!」は絶対にはずせない。そして、「落ち着いて飲食、おしゃべりができる空間であること」が大きくクローズアップされるようになってきた。

 チェーン展開をしている豆腐料理の店「月の雫」(立川店)は、そのすべてを満たす店であり、女性客率が非常に高い。主婦グループで一度行ったらやみつきになり、次は家族でも行った! などという話も聞こえてくる人気店だ。

 豆腐料理店だけあって「月の雫」の料理は、豆腐を素材にしたものが多く、いかにもヘルシー。ダイエット中の女性でも、心おきなく食べられるのがうれしい。そして、できたての温かい豆腐を食べさせてくれる「引き上げすくい豆腐」などデリケートで、家では味わえないおいしさが人気である。

 そして、なによりもこの店のよさは、一部カウンター席以外はほとんどが個室だというところなのだ。従来なら、個室で飲食しようと思ったら、まずは「個室でお願いします」と予約を入れなければいけなかった。しかし、「月の雫」はあえて「個室」と予約しなくても、個室が用意されている(ほとんどが個室だから当然?)。

 一度、個室で周囲に気がねなく飲む経験をしてしまうと、「おしゃべり命」の主婦たちは、とりこになること間違いない。学生時代、よくお世話になったガヤガヤ騒がしい居酒屋で、大学生たちのコンパと同居して飲むのは、私たちにはもう無理よね〜と改めて感じてしまうのだ。


●まだまだ増える「個室ダイニング」

 いわゆる都心部では、この手の個室ダイニング人気は、かなり前から盛り上がっていたらしいが、多摩地区にもどんどん進出してきている。なんと! 多摩ニュータウンのいちばん奥・多摩境にもその波がきていた。駅から徒歩圏内にある居酒屋「とりあえず吾平」もまた、おしゃれ〜な個室ダイニングの居酒屋である。

 かなりおしゃれな造りの店で、店内はほとんどが個室。恋人同士でくればさぞかし…と思う店だが、多摩境はファミリー客が多い。居酒屋にファミリー? と思う人も、今はめっきり減ってきているだろうが、確かに、こういう個室ダイニングなら、なおさら子連れでも、リラックスして時間が過ごせそうだ。 「とりあえず吾平」も、メニューは豊富でバラエティーに富んでいる。女性や子どもには、魅力的なデザートメニューも充実! これならファミレス代わりに十分使える。ちょっとした行事のあと、家族の誕生日などの「特別な食事」にうってつけである。ましてや個室。家族だんらんムードも高まるというものだ。

 

 都心ではカップル中心に客足を伸ばしてきた個室ダイニングだが、郊外に行けば、主婦グループ中心だったり、ファミリー客が多かったり、同じチェーン店内でも違いはあるだろう。

 しかし、いずれにしても、食事をしたりお酒を飲んだりしながら、親しい人といっしょに過ごす時間をより濃密なものにしたい、というニーズにマッチした個室ダイニング人気は、衰えることはなさそうだ。 「若いころにこういう店があったら、彼と来たかったわ〜」という主婦からの声が多かったことも、補足しておこう。まあ、これからだってチャンスはあるかもしれないし〜。そんな淡い期待や妄想も、個室ダイニング人気を支えているのかもしれない。

(ここで取り上げた店の特徴は、取材した店舗についてのことであり、同一チェーン店のすべてが同じ造りではないことを、予めご了承ください。)

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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