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連載コラム

第18回「出生率1.28」どこ吹く風の 東京ベイエリアの子連れ天国ぶりを直撃!

[ 2005年6月8日 ]

前回は、オリジナリティあふれる巣鴨の町の面白さをピックアップしたが、少子高齢化といえば、その一方をになう子ども市場もぜひ見てみたいというわけで、今回は、東京で一番子どもが威張っている街、葛西を取材してみた。

●「自転車にはキャリー付きが標準装備?」な街・西葛西

 また出生率が下がった。このままでは日本の国力は低下する一方、年金制度が崩壊すると巷はうるさいが、「それはどこの国の話かしら?」と、わが道を行く地区が東京にもある。それは江東区、江戸川区などのベイエリア。この地区は、近年どんどん子ども人口が増えているのである。新しい大規模マンションも多く、急激な人口増に小学校の教室が足りなくなり、プレハブ教室で授業をしているなどという「いつの時代の話か?」みたいな現象が、本当に起きているのがこの地区なのだ。

 そんな地域性に目をつけて出店したのが「SKIP KIDS」である。ここは、「子どもの遊びと大人の癒しの空間」をうたうアミューズメントカフェ。すでにマスコミでもかなり取り上げられている注目店だが、今回はこの「SKIP KIDS」をたずねてみた。

 西葛西駅に降りて、まず感じたのは自転車が多いこと。そしてその自転車に、ことごとく子どもを乗せるキャリーがついていることであった。まるでこの街では、それが標準装備であるように、コンビニの前にも銀行の前にもキャリーつきの自転車が、たくさん停まっている。多摩地区と違って平坦な街なので、かなりの距離を自転車で移動できる地区であること、そして子ども人口が多いということを、この自転車の数が物語っているようだ。

 駅から歩いても、そう遠くない位置に店はあった。マンションの1階が店舗になっており、それほど目立つ大きさではないが、遠くから見ても「あっ、あそこだ」とすぐにわかった。子どもキャリーをつけた自転車が、あふれかえるほど店の前に停まっていたからである。「ママたちが集う店」というオーラが店の外側にまであふれ出ている店、それが「SKIP KIDS」だ。

 

●まさにアミューズメントパーク! な店内に感嘆、驚嘆!

 店内に入るとすぐにレジがあり、スタッフの方が笑顔で迎えてくれる。入口で靴を脱ぎ、飲食スペースに入るが、そこには保育園などでよく見かける仕切り扉があった。中にいる子どもが、勝手に外に出ていかないための配慮なのである。ごていねいに、扉の前には大きなぬいぐるみも置いてあり、ハイハイの赤ちゃんや小さな子どもでは、簡単には出られない。

 仕切り扉を開けて中に入ると、こぎれいで開放的な店内にテーブルが並んでいる。それはごく普通のカフェの風景だが、店内の3分の1は占めようかというスペースが、子どもの遊び場になっている。ファーストフード店やスーパーの子ども広場などにもあるような、カラフルなすべり台や遊具、おもちゃ、柔らかいボールなどが用意されていて、これは子どもにはかなり魅力的な空間に違いない。

 母と一緒に、いったん席につくこともなく、このキッズスペースに飛び込んでいく子どももいる。そして、ママたちは、そんな子ども達の遊ぶ様子を見ながら、ゆっくり食事もできれば、お友だち同士でおしゃべりも楽しめるという寸法である。

 

 普通のカフェの感覚でいえば、店内はもちろん騒がしい。BGMも流れてはいるようだがあまりよく聞こえない。だけど、子連れママ達にとってはこの喧騒が居心地いいに違いない。子育て経験のある人なら、子連れでレストランに行ったときのあのドキドキを、たいていは経験しているのではないだろうか。店内ではしゃいで大きな声を出されても困る、機嫌が悪くなって泣いたら最悪・・・たまの外食にはそんなリスクがつきものだった。

 それが、ここでは子ども達がごく普通に大声をあげてはしゃいでいる、動き回っている。ママの席の近くに座っている子もいるが、ことさらに静かにしている必要もなく楽しそうだ。

 キッズスペースには保育士の資格をもったスタッフがついていてくれるので、よその子とケンカしないか、怪我しないかなど、ハラハラしながら見守る必要もない。心おきなくママ友だちと話し込める、ここは子どもにとってもママにとってもパラダイスに違いない。


●リーズナブルな料金が、リピーターを生み出す

 「子どもといっしょに気兼ねなく行ける店」というだけでも十分魅力はあるが、さらに食べ物もなかなかなのである。パスタやピッツァはかなり本格的な味で、ボリュームもある。これなら「子どもを遊ばせながらおいしいものを食べる」ことが可能だ。

 また、子どもが自分でピザのトッピングをしてピザを焼くという「お子様ピッツァ体験」も行っていて、日曜や夏休み、春休みなどはかなりの盛況らしい。

 キッズスペースの利用は1〜6歳に限っており、1時間250円の料金がかかるが、子どもも食事を注文した場合は、1時間までは無料で遊ぶことができる。ママたちがお茶しながら長居したいときは、利用料金を払ってでもキッズスペースで遊ばせることはできるし、食事の合間だけちょっと遊ばせたいなら利用料金はかからない。そのリーズナブルさも人気の理由だろう。私が行ったのは、平日の昼間だったが、ちょっと驚くほどの盛況だった。そして、そこにいるママたちの楽しそうなことと言ったら! やはり子育て中ママには、こういう場所が必要なのよね、と改めて思い知らされた。

 居酒屋でさえ最近は、託児スペースのある店も多いが、子どもにとって楽しく安全に遊べるスペースでなければ、預けていてもママも落ち着かないし、子どももハッピーでいられない。それがこの「SKIP KIDS」なら、ママにとっても、子どもにとっても「行きたい店」「行けば楽しい店」になっているところがスゴイ! しかも、子ども人口の多い江戸川区である、あたらない訳がない。

 ちょっと前の多摩ニュータウンにこんな店があったらさぞかし・・・と思わずにはいられない。きっと自分もしょっ中、利用しただろうなあと。


●子どもの多い街は活気がある! 少子化対策のヒントもここに

 感心、感動しつつ「SKIP KIDS」を出て駅まで少し遠回りをして歩いてみた。すると駅までほんの10分歩いただけでも、子ども服ショップあり、子ども服がたくさんあるリサイクルショップありなど、さすが江戸川区! と思われる光景にたくさん遭遇した。そして、どの店の前にも、子どもを乗せるキャリーつき自転車がある。

 少子化対策を考えるなら、まずは江戸川区あたり視察してみるといいのではないか。どういう環境があれば、女性が子どもを産み、育てようと思えるのか、ぜひ現場を見てほしいと思う。まあ、江東区、江戸川区といえば、以前から住宅補助や医療費補助などで「子どもを育てるにはいい街」と言われていたので、それらの努力が実ったということなのだろうが。子どもの多い街にはやはり活気がある、それは西葛西を歩いて感じた。

 実は、おしゃれな郊外のファッションビルの中に、ぽつりぽつりとではあるが子ども向けの有料プレーパーク等ができだしている。子ども向けの遊園地といえばデパートの屋上の専売特許だったが、どうやらこのあたり、施設や地域への誘引力のパワーテナントとして「子ども向け○○」というのは、キーアンサーである。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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