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連載コラム

第20回「う〜ん、郷愁!」なぜか、なつかしく、ほっとする昭和レトロがキテる〜っ! 商店街、飲食店などのインテリアに定着した「古きよき時代の日本」の魅力を探る

[ 2005年8月5日 ]

●「昭和レトロ」なスポット、全国各地に続々出現!
 「新横浜のラーメン博物館、今さらだけど初めて行ってみたら、ラーメンよりも内装に感動したわ〜」とあるスタッフが言った。ラーメン博物館といえば、ちょっとレトロなインテリアで、まるで「昭和」のテーマパークのような趣がある。私も初めて行ったときは、とても感動して、なんだか懐かしい気分に浸ったものだ。

 「あ〜、うちの実家の大阪にもあるよ。なにわ食いしんぼ横丁っていうんだけど、昔なつかしいカブやテレビなんかが飾られてて、レトロ感満点なの!」と、スタッフ間でも「あそこにもここにも」と昭和レトロな空間、店舗の情報が相次ぐ。「これは、かなりのムーブメントなのでは?」ということになり「昭和レトロ体験」をするために、話題のスポット・台場一丁目商店街に行ってみることにした。


●夏の定番! お台場の「昭和な街」・台場一丁目商店街は大賑わい!

 「日本中が元気だった昭和30年代の下町でお買い物!」がキャッチコピーの台場一丁目商店街は、台場海浜公園駅からすぐのデックス東京ビーチの4階にある。

 約35店舗の飲食店、みやげ物屋などが軒を並べる商店街なのだが、エリア内に入るとそこは「昭和30年代の下町」になっている。エリア入口にはスバルが展示されていて、「うちの車、これだったわ〜!」と感激して記念撮影している人もいた。

 狭い路地裏のような造りの店内を散策すると、すぐに飲食街が現れるが、各店で買ったものを運んで食べられる飲食スペースも「昔なつかしい」安っぽいテーブル、イスである。決しておしゃれではないが、そこが「昭和レトロ」なのだ。

 立ち並ぶ店の合間に、「産婦人科」や「理髪店」など、雰囲気を盛り上げるために作られた店舗もある。もちろん、本当に営業はしていない。

 通りに面して縁側のある家も造られていて、記念撮影スポットになっていた。部屋の中にはちゃぶ台、古いテレビなどがあり、「星飛雄馬の家」そのもの。ここで写真を撮ればタイムスリップした気分が味わえそうだ。キャラクターグッズや雑貨屋、駄菓子屋なども多いが、扱っている商品もレトロである。子どものころ食べた覚えのあるメロン型のケースに入ったアイス、銭湯には必ずあった「ケロリン」の黄色い桶、オリエンタルカレーなど思わず「うひゃー! なつかしい!」という声があがる、あがる。商品ではなく、インテリアとして飾られているものも、なつかしさでいっぱい! である。ビクターの犬の置物なんてのもあった。子どものころ、これ好きだったのよね〜。

 射的場や、おばけ屋敷などもあり、ショッピングスポットというよりはテーマパークという感じ。行ったのが休日だったせいもあり、観光客も多かった。なかには希少価値があって値段も上がっているものもあるかもしれないが、レトログッズは、もとを正せばそれほど高級品ではない、むしろチープなものが多い。イタリア製のインテリアで統一されたカフェなどに比べれば、おそらく内装費も安上がりなのかもしれない。

 しかし、この集客力を見る限り、コストのわりにはすばらしい効果があがっていると言えるのではないだろうか。台場一丁目商店街、大繁盛していたのである。


●身近なところにも、あるある「昭和レトロ」なお店

 台場一丁目商店街の探索をおえ、事務所で「いいわ、キテるわ、昭和レトロ」と唱えていたら、マム事務局の隣駅にある居酒屋も、昭和レトロだという情報が入った。「なになに? そんな近くに?」ということでさっそく出かけてみた。

 京王堀之内駅から徒歩2分。居酒屋「おっけい」がその店である。店に入ってすぐ左手は、昭和モダンというのか、真っ赤なイスが目立つ洋風バーのような造りの部屋。店の奥に進むと、民家や駄菓子屋、銭湯などテーマに沿った部屋の造りになっている。民家や駄菓子屋は、室内に古いテレビが置いてあったり、かまどがあったり、生活感がたっぷりで、なんだか「おじゃましまーす!」と声をかけて入りたくなる。銭湯は、タイル貼りでお風呂の中で飲んでいるような雰囲気だ。

 各部屋だけでなく、通路やカウンター席などもなつかしく、レトロなポスターが貼ってあったりして、昭和30年代の路地の雰囲気を醸し出している。

 その、なつかしさゆえか、席に座って飲んでいても妙に落ち着ける。「おっけい」はそんな居酒屋だ。

 

 「おっけい」から車で5分も行かないところにあるお好み焼き屋も、まだ新しい店なのに、外観は最初から古臭い。店の前には地面から生えているようなずん胴の赤いポスト、外壁にはレトロなポスター。ここも昭和30年代に迷い込んだような気分にさせる店だ。

 多摩ニュータウンの、こんな狭い範囲内だけで2つも昭和レトロな店があるというのは、この流れが、一時的なブームとか観光的なスポットだけのものではなく、定着しつつあることを物語っているのではないだろうか。


●「あったよねえ」とみんなで盛り上がれる、それが昭和レトロの魅力!

 昭和30年代なんて、実はまだ生まれてなかったとか、リアルタイムでは知らないというものも多いのだけど、でも、ほんとは知らなくても「なつかしい」「そうだった」「親から聞いたことがある」など、やはり共通体験として語れるところも、幅広い人に支持されるゆえんなのだろう。

 また、今回いくつかの昭和レトロな店に行ってみて感じたのは、なぜか「元気が出てくる」ということだ。店側の演出もあるのだろうが、店のスタッフもおしなべて元気がよく明るい。スマートでおしゃれ、無機的な感じのカフェなどとは対極にあるのだ。

 いま見れば、なにもかもが安っぽい。洗練されているとは言い難い。そんな昭和レトロな品物やデザインには、未来に向かっての夢や希望や元気があふれている。そこがなんだかうれしくなるし「ああ、日本にもこんな時代があったんだ。また頑張っていけるかもしれないな」なんて気持ちにさせてくれるんじゃないかと思う。

 ユーミンの古い歌に「十四番目の月」という曲がある。「次の夜から欠ける満月よりも十四番目の月が好き!」という歌なのだが、昭和レトロの時代の日本はまさに「十四番目の月」の時代だったのかもしれない。まだ満月じゃない、伸びていくエネルギーのあった時代、そしてハングリーだった時代。

 ときどき、昭和レトロな雰囲気に浸るのは、なつかしさに和むだけじゃなく元気をもらえる、そんな効果も期待できるようだ。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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