連載コラム

人体通信×バイオメトリック暗号

[ 2009年3月17日 ]

早大・小松教授/NTT研究所

人体通信「Firmo」とバイオメトリック暗号で利便性と安全性を備えた本人認証を実現

人体通信「Firmo」

早稲田大学理工学術院の小松尚久教授とNTT研究所(マイクロシステムインテグレーション研究所&サービスインテグレーション基礎研究所)は、バイオメトリック暗号を用いた認証手段と人体通信技術を連携させ、安全性と利便性を両立させて認証技術に関する共同研究を進めてきた。
研究所など重要施設はもとより、オフィス・工場などの入室をはじめ、携帯電話等へ搭載されると幅広いシーンでの活用が期待でき、次世代ICT社会到来への"起爆剤"として注目される。

システムの基本となる"人体通信"とは、人間の体に微弱な交流電界を誘起し、その電界を変調することでデータ通信を行うが、専用の装置(カード、チップなど)を身につけ、ドアノブやタッチプレートを通過する際、端末に内蔵した情報を送信するシステム。NTT研究所が開発した人体通信技術「RedTacton」をNTTエレクトロニクスが製品化した「Firmo」は、受信機(リーダー)とカード(送信機)で構成され、現在は送信機(Suica並みの230k/bps)から受信機への片方向通信により、IDデータ容量10バイト分の情報を送る仕組み。ただ、知らない間にほかに触れた際、個人情報が流れたり、カード等端末を紛失すると、他人が通信を悪用することが人体通信の弱点。

そこで、小松研究室では従来の人体通信の課題を解決することを目的として、指紋情報を用いたバイオメトリック暗号を用いて実現される個人認証手順と、Firmoによるカードを用いた本人認証とを組み合わせることによって、利便性とともに従来のカード認証の課題を解決する研究開発をNTT研究所と共同で行った。

バイオメトリック(バイオメトリクス)暗号とは、生体情報から予め設定した秘密鍵を生成する技術であり、生成された秘密鍵を用いたチャレンジ・レスポンス型認証で、生体情報を用いた認証がサーバー・クライアント間で実現できる。
また、ドアノブに触れるなどの自然な動作から生体情報を取得することを目的として、その第一段階である「複数指紋認証装置」の試作機も開発しており、人体通信のメリットである利便性を活かしながらセキュア環境の構築を可能にした。バイオメトリック暗号は、指紋情報以外に、顔、音声などを利用しても実現でき、さらなる用途の広がりが期待できる。

NTTマイクロシステムインテグレーション研究所の品川満・主幹研究員は「端末自体、現在はカードタイプだけですが、今後の計画として通信モジュールがワンコインと言われる500円台までコストダウンできれば、バッジ、スマートキーや携帯電話等への組み込みも可能になります。そのためモジュールの小型化とコストダウンも合わせて実現できるよう、研究開発を継続していきます」と抱負を語る。

(2009年3月10日発行号より)

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