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連載コラム

国産『Quince』、原発投入、真価発揮に期待!<NPO法人国際レスキューシステム研究機構会長(東北大学大学院・田所諭教授)に聞く>

[ 2011年5月19日 ]

正確な情報公開やロボット市場育成を強く要望

 国内における先端的緊急災害対応システムの研究、開発・普及などを行うNPO法人国際レスキューシステム研究機構会長の東北大学大学院(情報科学研究科応用情報科学専攻)の田所諭教授(工学博士)が単独インタビューに応じ、「国内の災害対策ロボットの開発は阪神・淡路大震災を契機に本格的に始まったもので、海洋資源探査ロボットなどは実用化され実績を積んでいるが、災害時に活用できる海中探索ロボットや地上で使う遠隔ロボットの実績は非常に少なく、海外に比べ遅れを取っている」と前置きし、「建物崩壊時等で活用する地上ロボットが多く、また(緊急時に)用途毎で活用できるロボットの所在、機能・特性など共通の情報プラットフォームが確立されていないため、政府をはじめ関係機関等が把握できていない。更に震災や原発事故現場で最優先するべき正確な情報公開が遅れたことで国産ロボットの導入が遅れた要因ではないか」と述べた。

 実際、4月19日から5日間に亘り、南三陸町と陸前高田市の沿岸部の行方不明者の捜索に東京工業大学の広瀬茂男教授が開発した水中探査ロボット『アンカーダイバー3号機』が使われたほか、東京大学生産技術研究所の浦環教授(海中工学国際研究センター長)は単独で、4月29日、30日、5月1日の3日間、三井造船が開発した遠隔海中探査ロボット(ROV)で岩手県大槌町赤浜沖の海底探索を行い、2遺体(海上保安庁に連絡、引き揚げに)、更には車5台を発見する実績を残した。このほか、テキサスA&M大学のRobinMurph教授は『seamor-RON』と『SeaBOtix SARbot&LBV-300』を持ち込み、合同チームで探索した。また、(瓦礫などを除く無人建機は別にして)原発に初めて投入された地上ロボットが米国製「iRobot」(2台)で、今月から新たに米キネティック社製の『TAlON』、更に千葉工業大学・東北大学・国際レスキュー研究機構、情報通信研究機構・産業技術総合研究所・NEDO等が共同開発してきた国産クローラーロボット『Quince』や日本原子力開発機構(JAEA)が開発した3次元・熱画像カメラ搭載車『TEAM NIPPON』なども原発事故現場に投入され、その真価が試される。特に、『Quince』はロボット上部に搭載する放射線測定プローブ・測定器で環境モニタリングをはじめ、カメラ・熱カメラが現場の映像撮影、3次元形状計測や自由度アームで軽量物を動かせる閉塞空間探査用レスキューロボット。

 田所教授は「海外勢のロボットと同等の性能を保有しており、放射線測定等で性能を発揮できると確信している」と自信を見せると共に、「国を挙げて軍事、レスキュー向けのハイレベルなロボット産業を育成する米国など海外と比べ、日本は政府・関係機関の産業に対する支援が薄く、結果、市場が育たないため開発段階で終わってしまうケースが殆ど」と、政府・関係機関などが主体となり、本腰による産業(市場)の育成を要望した。

 なお、東日本大震災後、超学会組織「対災害ロボティックス・タスクフォース」(ROBOTAD)を設立、政府PT(プロジェクトチーム)の一つリモートコントロール化PTへの協力参加をはじめ、日本学術会議への国産ロボット活用を緊急提言、更に5月2日には公開シンポジウムを開催した。

(2011年5月10日発行号より)

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