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連載コラム

NIR容器内液体爆発物検知技術 阪大とクボタで来年度実用化へ

[ 2009年7月13日 ]

文部科学省安全・安心科学技術プロジェクト

文部科学省安全・安心科学技術プロジェクト

文部科学省(科学技術・学術政策局)が平成19年度から開始した提案公募型研究開発事業として、今年度は大阪大学大学院基礎工学研究科の糸﨑秀夫・システム創成専攻電子光科学領域教授が進める「NIR容器内液体爆発物検知技術の実用化」事業が採択された。今回はメーカー側としてクボタ(大阪)が共同参画しており、早い時期での製品化が期待される。

"液体爆発物"をペットボトルに入れ、空港・鉄道などの公共交通機関や公共施設など大衆が行き交うエリアに持ち込もうとするテロリストに対して、ペットボトルを開けることなく、中身が液体爆発物かどうかを瞬時に判定できる検査装置の開発を進めるのが、糸﨑教授が進める研究テーマ。現在空港で運用している液体物検査機器は中身が可燃物かどうかを検査する装置で、全く違う技術。

今回、同事業には応募が8件あり、実現を目指す装置の妥当性、適用技術の妥当性、研究計画の妥当性や実施計画の妥当性などを評価し、最終的に残った3件をヒアリングした結果、実用化の可能性を高く評価された糸﨑教授の提案が採択された。実施期間は21~23年度で、単年度予算は5000万円程度。

今回の採択について糸﨑教授は「今回、文科省さんの事業公募で採択されたことは光栄です。これまで、開発してきた技術は実用化レベルには達していますが、使いやすさや耐久性をクリアする必要があります。10月開催のテロ対策特殊装備展ブースで実演するほか、22年度内にはクボタさんより製品を出していただくよう、要望しております。
一方、ハンディタイプなど小型化や色の濃いビン、牛乳パックのような光を透過しにくい容器なども計測できる高精度化も追求していく方針です」と抱負を語る。

糸﨑教授が研究開発する液体爆発物検知技術といえば、昨年度FS(試験的)として文科省プロジェクトで採択された。底部から近赤外線を照射し、散乱光を解析する計測手法で、複数の吸収スペクトルから液体爆発物原料などの濃度を推定する。また、計測対象もペットボトルに限らず、ビン容器などの計測も可能。耐久性とコンパクト化などの課題をクリアすれば、すぐにも実用化できるレベルにあるとされる。

現在、ICAO(国際民間航空機関)における保安強化の動きを受け、世界の主要空港が警戒警備強化、航空機内への危険物持ち込み禁止措置の強化などの対策を講じている。半面、客室内への液体物持ち込み制限の緩和に向けた動きもあり、我が国も含め欧米諸国が検知技術を確立すべく、研究開発を鋭意進めているが、検査時間の短縮、高い検査精度を合わせ持つ液体爆発物検査器に最も近い存在が糸﨑教授の技術。国土交通省(航空局)も純国産技術による航空保安機器(液体物検査機器)の調査研究を進めてきており、文科省の支援事業による世界屈指の検査機器の製品化が成功すれば、日本発の検査装置が実現することになり、世界レベルでの航空保安向上に貢献すると、期待されている。

(2009年7月10日発行号より)

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