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連載コラム

航空機旅客の覚せい剤密輸入、過去最高。高齢者の運び屋、アフリカ仕出しが増加

[ 2011年2月22日 ]

財務省(関税局)平成22年関税法違反

 財務省(関税局)は先程、「平成22年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況」を発表した。それによると、航空機旅客による覚せい剤密輸入が過去最高を更新し、摘発件数の約半数に上ったほか、高齢者や多国籍者が運び屋となる傾向、更に体内隠匿など手口の巧妙化、また、特に従来仕出しで多かった中国に代わりアフリカ仕出しが急増や地方港・地方空港を狙った密輸入事犯が急増と報告している。

 今月3日、「平成22年事務年度第3回税関長会議」を開催し、冒頭、野田佳彦財務大臣に代わり出席した尾立源幸・財務大臣政務官が昨年の取締り状況について報告後、最近の違反事案の傾向を述べ、これに対する各税関における更なるより厳格な摘発に向けた職務の徹底要請を指示した。

 発表された詳細内容によると、昨年の不正薬物の摘発件数は296件(対前年比26%減)、また覚せい剤・大麻等の押収量は約363kg(同10%減)、更にMDMA・向精神薬等の錠剤型薬物の押収量は約3万錠(同67%減)といずれも減少した反面、覚せい剤の摘発件数は、過去最高を記録した前年(164件)に及ばないものの152件(同7%減)、押収量も約322kg(同3%減)と、いずれも高水準。 

 この中、航空機旅客による覚せい剤の密輸入摘発件数(119件)、及び押収量(約235kg、末端価格約212億円)が過去最高を記録、摘発件数の約半数にのぼった。財務省では海上ルートによる大量密輸入事案が減少した反面、航空機にシフトしたものと分析。また、運び屋として高齢者(60歳以上)の摘発が急増、平成20年に5件(押収量5.7kg)、同21年の7件(同8.4kg)、昨年は11件(同24.3kg)となったほか、密輸入者の国籍では欧州国籍者、更に手口が呑み込みなどの体内隠匿で増加したと報告。

 また、覚せい剤の仕出し国で、特に南アフリカ、ベナン、ガーナ、ナイジェリアなどが急増したが、従来多かった中国が減少した背景には上海万博等の開催により密輸入のハードルが上がり、反対にアフリカ等のチェックが脆弱な国での密造所が増加する傾向にあると指摘した。

 更に、国際組織犯罪化の進展から、航空路線の整備等に伴う地方空港を活用した密輸入事犯が増加しており、広島・富山・室蘭空港など初めて摘発された地方空港が出てくるなど、一層広域化した。背景には、成田・羽田など税関職員が多く、チェックが厳しい国際空港を避けた地方空港ルート、更に海外との直行便が離発着する空港などが狙われる傾向にあると指摘。

 こうしたことを受け、関税局・税関では(1)外国税関や国内関係機関との情報交換の促進、(2)X線検査装置、麻薬探知犬やその他検査機器の有効活用、(3)水際取締りの一層強化のため、地方港・地方空港や警察、海上保安庁等関係機関との連携強化、(4)航空機旅客に対する一層効果的かつ効率的な密輸取締りを実現すべく、既に関税法改正法案提出するなど制度整備―などを通じて犯罪撲滅を目指す。

 なお、不正薬物の密輸入事犯のほか、国際経済を脅かす知的財産侵害物品の密輸入事犯、北朝鮮向け虚偽申告輸出事犯、更に関税及び消費税等ほ脱事犯の告発なども積極的に展開している。

(2011年2月10日発行号より)

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